1894年に創業し、避暑地としての軽井沢の歴史とともに歩んできた「万平ホテル」。2024年秋、創業130周年を迎えてリニューアルオープンしました。今回、春風が気持ち良い4月上旬、リニューアルを機に新築された「愛宕館」に私と妻、子どもたち(10歳の男子、2歳の女児)の家族4人で滞在。旅行業に携わる者としての目線と、家族目線で感じたことをお伝えします。
軽井沢、しかも、あの「万平ホテル」に泊まるとあって、私を含め家族全員が、到着まで少し緊張していました。到着してまず感じたのは、フロントマンやドアマンたちの対応のすばらしさです。「子ども連れの宿泊者はいないのでは?」と思っていたのですが、到着とともに温かく迎えられ、子どもに対しての丁寧な声がけや、心づかいにも感心させられました。ロビー近くの窓辺にロッキングチェアが置いてあり、さっそく腰かけてリラックス。滞在中、子供たちのお気に入りの場所となりました。
新しくなった愛宕館は、2フロア全30室。このホテルならではの伝統と格式が感じられるクラシカルな面持ちを残しながら、現代的なデザインも施された雰囲気。随所にさりげなく、組子格子など伝統的なモチーフをあしらったインテリアが施されています。館内どこにいても心地良いのですが、なかでも特筆すべきことは全室温泉付であることでしょう。
宿泊した客室は、ツインの客室でした。2つ並んで置かれた大きなベッドは、子どもと一緒に休んでも十分な余裕があり、家族一同大いに盛り上がりました。愛宕館の一番の特徴は、全客室の浴室に南軽井沢の塩沢温泉から引いた温泉が引かれていることです。小さな子供と一緒に、快適な温泉にゆっくりと入ることができたことも思い出になっています。妻は、温泉はもちろん、浴室をはじめとした設備の良さや、充実したアメニティにも感激していましたね。
翌日は前日からの雨も止み、晴天となりました。アルプス館にあるメインダイニングルームで朝食をいただきます。レストランをはじめ、アルプス館のクラッシックな装飾などが、このホテルの歴史と風格を感じさせます。今回のリニューアルにあたって、愛宕館は新築されましたが、有形文化財のアルプス館は、建物ごとジャッキで持ち上げて、耐震基準を満たすために土台から造りなおす大工事だったと聞きました。こうした工事も含めて、リニューアルに1年半の期間を要したとのことです。
朝食時には、子供用メニューや食器セットなども用意されていて、万平ホテルならではの、さりげない心遣いを感じることができました。また、朝食後に、中庭の散策を楽しんだことも良い思い出です。愛宕館に戻ると、子どもたちは、備え付けの万平ホテルのオリジナル絵はがきに短い言葉を添え、曾祖父宛に、ホテルのポストから投函。帰宅後、子供たちは「ホテルのポストから絵はがきを送ったこと」が一番楽しかったと話していました。
クラシックホテルながら、リニューアルによって最新の設備も取り入れて進化した万平ホテル。昔ながらの趣を残しつつ、新しい感覚も融合させ、サービスも行き届いており、随所で「さすがだな」と感じた貴重な滞在となりました。
チェックアウト後は、旧軽井沢銀座通りを散策して帰路へ。途中、レンガ造りの4連アーチとして有名な「碓氷第三橋梁(めがね橋)」に立ち寄り、廃線ウォークなども楽しみました。野生の猿との遭遇(走って逃げました)も、今は思い出の1つです。