「そうだったのか!」 知れば「なるほど!」、知っ得情報
その⑪
ものづくりの町のコト 知っ得‼
井上智之

えっ!⽇本製のカトラリーが、ノーベル賞授賞式の晩餐会に!!

  • イメージ ノーベル賞授賞式はスウェーデン・ストックホルム市庁舎で
  • イメージ ノーベル賞授賞式の晩餐会で愛用されるカトラリー
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ものづくりを『下町ロケット』の心意気で

品質の高さで世界をリードする“Made in Japan”。そのものづくりを支える町といえば、東は東京都大田区、西は東大阪市が筆頭でしょう。規模は小さいながらも、オンリーワンの技術を礎に果敢なチャレンジを展開しています。

たとえば東大阪市の町工場は、「つくりまっせ! やりまっせ! 本気でっせ!」の心意気とともに宇宙開発の協同組合を結成。2009年には人工衛星「まいど1号」をつくりあげ、種子島での打ち上げに成功。あの『下町ロケット』を彷彿させるような夢を実現させました。現在は、人型宇宙ロボットの開発を目指しています。

一方、約4,000もの町工場が集う東京都大田区も負けてはいません。職人技を結集してボブスレーのフレームをつくり、世界の舞台に挑んだのです。このボブスレーは一時、ジャマイカチームに採用されたものの、残念ながら2018年開催の冬期平昌オリンピックでは不採用に。けれど、この「下町ボブスレープロジェクト」は、町工場ならではのものづくりへの想いと情熱が注がれた好例といえるでしょう。

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星のように煌めく「ものづくりの町」

ものづくり立国にふさわしく、日本には「ものづくりの町」がきら星のように輝いています。伝統工芸なら、鉄器で有名な①□□市(岩手県)、約400年もの歴史ある銅器の産地②□□市(富山県)、光を通すと美しい輝きを放つ和紙を産する③□□市(岐阜県)、平安時代からの歴史ある指物を創る④□□市(京都府)、世界中から刀剣ファンが訪れる日本刀の聖地⑤□□□□(岡山県瀬戸内市)……と、ご紹介するのはほんの一例。さて、皆さまは、いくつ、町の名をご存知でしたか?(答は記事の文末に)

文明開化にはじまり、高度経済成長を牽引してきた製鉄・造船・紡績・石油精製・製紙・自動車などの町も見逃せません。これらの工場地帯の楽しみ方の1つが、夜景観賞です。近未来を感じさせる工場群や、コンビナートがつくり出す幻想的な情景に思わず息を呑むことでしょう。“工場萌え”として愛好家も多く、隠れた人気スポットになっています。

  • イメージ 凛とした雰囲気に圧倒される、ものづくりの現場
  • イメージ 町のものづくりを後押しする燕三条地場産業振興センター
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知る人ぞ知る ものづくりの聖地

新潟県の燕三条(燕市および三条市)は、国内の知名度以上に世界にその名を轟かせる金物の町です。信濃川の氾濫に悩む農民たちの副業として、江戸時代に和釘づくりが推奨されたのが発端だとか。

今では600を超える中小企業が、金属洋食器や刃物、その鍛造技術を使った多彩な製品を輩出。鍛冶の伝統技能を受け継いだ職人が生み出す品質は、世界の折り紙つきです。たとえば、芸術品ともいえる山崎金属工業製のカトラリー(ナイフ・フォーク・スプーン)は、1991年以来、ノーベル賞授賞式の晩餐会で愛用され続ける逸品(現在は、製造・販売されておりません)。金「鎚」で打ち、「起」こしながらつくりあげる玉川堂の「鎚起銅器」も、無形文化財に指定される見事さです。そんなものづくり現場もぜひ、見学したいものです。

金物づくりから派生した研磨技術も、この町ならでは。あのiPodの美しい背面も、燕三条で鏡面磨きされたのだとか。同地で金属研磨の職人たちが立ち上げた「磨き屋シンジケート」のプレミアムな製品にも心惹かれます。ピカピカに磨き上げられたビアタンブラーを傾けながら、ものづくりのロマンに想いを馳せてはいかがでしょう。

 

[答] ①盛岡 ②高岡 ③美濃 ④京都 ⑤備前長船(びぜんおさふね)

「銀食器」のこと、知っ得!!
毒殺防止?

銀食器は、王侯貴族の食卓で重用されていたこともあり高級食器の代名詞。でも、その発端は毒物であるヒ素の検知用でした。中世ヨーロッパでは王位継承者に対し、無味・無色・無臭かつ水溶性のヒ素による毒殺が横行。銀食器は、ヒ素が混入した料理を盛り付けると黒変することから、毒殺防止に用いられていたそうです。