[ 世界を旅する・イタリア編 ]

ドロミテ峡谷最深部に
ひっそりと佇む
フネス谷サン・マッダレーナ村

企画=瀧石博史 文=清野協子
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イタリア北東部にある山岳地帯ドロミテ峡谷。垂直に切り立った山塊群と、ふもとに広がる針葉樹の森。かわいらしい民家が寄り添って立つ素朴な村の佇まいは、スイスアルプスとはちがった独特の景観を見せてくれます。

峡谷の間を縫うドロミテ本街道は、雄大で変化に富んだ景観のヨーロッパ屈指の景勝道路です。ゆったりとバスに乗ってドライブしていくと、車窓にはそれぞれの谷に島のように独立してそびえる山塊が次々に現れ、見飽きることはありません。

そんな本街道から少し寄り道。峡谷の最深部にひっそりと佇むフネス谷のサン・マッダレーナ村は、地元イタリア人に人気の景勝地。青空に映える、するどく尖った稜線のガイスラー山群と、白壁の教会を中心にした、宝石箱のような家並みが調和しています。のどかなカウベルの音、鳥の声、谷に響く教会の鐘の音は、この風景とともに心に焼き付けたいものです。

フネス谷から南へいくと、「ドロミテの展望台」と呼ばれる、ヨーロッパ最大の広さのシウジ高原があります。360度のパノラマが広がる頂上からは、緑の大海原に浮かぶ、連なる塔やお城のような山塊を眺めることができます。初夏には野生の高山植物が咲き揃い、一面のお花畑になります。