ラグジュアリー砕氷客船が目指すのは北極点(北緯90度・北極の中心点)です。快適なクルーズを運航する船の名は「ル・コマンダン・シャルコー」。フランスの著名探検家ジャン・バティスト・シャルコーの名を冠し、2021年10月に就航した新造船です。
私は、この船を所有するフランスの船会社ポナンの日本・韓国支社長を務める伊知地 亮と申します。
今回ご紹介する北極点までのクルーズの旅では、三越伊勢丹ニッコウトラベルのお客さまの専属ガイドとしてご一緒させていただきます。極地を訪れるチームを束ねるエクスペディション・リーダーとして活動を続け、北極へは50回以上、北極点へは一度訪れた経験があります。
「ル・コマンダン・シャルコー」は、「より快適でラグジュアリーに。そして、地球に負担をかけずに、極地のさらに奥へ、史上初の航路に行ける砕氷船」を目指し、誕生した究極の極地客船です。その特徴の1つは、環境への配慮がされた動力。電気とLNGを燃料とするハイブリッド客船であり、高度な汚染処理システムも搭載しています。また、厚さ約6メートルの海氷も割って進むことができ、極地観測船と同じレベルの機能を持っています。そのため、これまでの耐氷客船では行けなかった場所まで進むことができるのです。
最北極地帯を航行する船から見える風景は絶えず変化します。水平線の先まで氷原が広がり、地球の丸さを感じられるのも、北極点を目指すクルーズならでは。白い氷の海が果てしなくどこまでも続く風景は地球上のものとは思えず、まるで〝凍った砂漠〟のようです。氷と空の境目がわからなくなる曇りの日の景色は、とても神秘的。そして、ぜひ見ていただきたいのが、晴れた日の青く澄んだ空と果てしなく続く白い氷原のコントラストです。また、航行中に鳥類やセイウチ、アザラシなどの動物に出あえることも極地クルーズの魅力です。船上から地上最大の肉食動物であるホッキョクグマを見ることができるかもしれません。
北極点は、世界中の探検家を魅了してきました。その地点には恒常的な目印があるわけではありません。探検家のように計測し確認しながら到達することができる特別な場所なのです。
船の内装を手がけているのは、フランス人デザイナー、ジャン=フィリップ・ニュエル。船内はラグジュアリーで、居心地の良い空間が広がります。雪が積もらないように温められたバルコニーの床や、暖炉のオブジェなど、随所に極地専用船ならではの工夫が施されています。
中央にあるアトリウムには、横幅約3メートル、高さ約9メートルの巨大なLEDと、その下のモニターにデジタルアーティスト、ミゲル・シュバリエによる自然をモチーフにしたアートが映し出され、オリジナル音楽が響きわたります。9階までガラスのエレベーターが設置された吹き抜けの空間は、船内であることを忘れてしまうほど壮観。洗練され落ち着いた客室、シアター、シガー・バー、ラウンジ、船尾にある温水プール、室内プール、ジム、スパ、サウナ、美容室やトリートメントルームなど、彩りある施設がクルーズライフを充実させてくれます。
レストランは3カ所あり、そのうちの1つであるメインダイニング「ルナ」では、フレンチの巨匠アラン・デュカス監修のディナーを楽しむことができます。厨房で腕を振るうのは、彼のレストランから派遣されたシェフ、パン職人、パティシエたち。ワインは著名なソムリエが選んだ100種類ほどが用意されていますので、お料理とのマリアージュをご堪能ください。
また、ミュージシャンやダンサーによるさまざまなエンターテインメントも毎日お楽しみいただけます。同船には、極地研究所としての役割もあり、乗船している科学者の講義も開催されます。今回のツアーでは、極地の魅力についての講座を、私が日本語で行う予定ですので、どうぞご期待ください。
クルーズ中は、毎日バラエティに富んだ観光内容もご提案します。氷上で釣りをしたり、専用ボートに乗って野生動物を間近で観察したり……。お客さまのなかにははじめての方も多く、安全第一で丁寧にインストラクターがサポートしてくれるので初心者でも安心です。専用ボートに跨いで乗ることさえできれば、特別な体力がなくともご参加いただけます。
北極は地球温暖化の影響を最も感じる場所です。氷に覆われた北極点をこのまま残すことができるか。その行方は私たち世代の行動にかかっているといわれています。極北へのクルーズは、地球の美しさ、尊さにふれる旅なのです。
予約制(限定20名さま)
開催日:2021年12月24日(金)11:00〜
会場:三越伊勢丹ニッコウトラベル 東京本店 ゲストルーム(日本橋三越本店パーキングビル3階)
当誌面でインタビューした伊知地さんにクルーズの魅力をご紹介いただきます。
お問合せは:03(3276)0111〈海外旅行窓口〉
※ツアー催行の可否は外務省発出の感染症危険情報ならびに、訪問国および帰国時の自主隔離日数を総合的に鑑みて判断します。