[ 海外特集② ]

太古の自然に抱かれた、
知られざる美食の楽園

豊穣の大地タスマニアへ

企画=木村聡 文=吉田千尋
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オーストラリア大陸から分かれ原始の記憶を今に伝える島

太古の昔、南米やアフリカ、インドなどが地続きでとてつもなく広い大陸だった時代。今もなお、その遠い記憶を抱いている島があります。オーストラリア大陸の南東部に浮かぶタスマニアです。

6,000万年以上前、南半球を覆っていた大陸からオーストラリアが分離。その後、海面が上昇したことで別の島となったタスマニアでは、氷河が削った荒々しい山並み、巨大なシダが生い茂る森、ここでしか出あえない動物たちが原始の世界を物語ります。

地球の壮大なドラマを目の当たりにできるこの大地には、もう1つ、知られざる魅力があります。自然とともに生きる人々が大切に育んできた、美食の数々です。近年、日本でも人気が高まっているのがタスマニア産ビーフ。豊かな大地でのびのびと生育した牛肉は脂肪が少なく、柔らかい肉質と濃厚な旨みが多くの人を魅了しています。

  • イメージ 脂肪が少なく、柔らかな赤身が特長のタスマニア産ビーフ
  • イメージ 冷たい海で育ち、小粒な身に旨味が凝縮されているタスマニア産のオイスター

タスマニアの愛称である「アップルアイランド」は島の形がリンゴに似ていることに由来していますが、リンゴも名産の1つです。冷涼な気候で病害虫が少なく、オーガニック農法を無理なく実践できるこの地でゆっくりと熟していくラズベリーやぶどうなどのフルーツ。艶やかな彩りのなかに風味をしっかり蓄えたその実は、驚くほどジューシーです。

四方を囲む海も、この島ならではの美味を豊かに育んでいます。冷たい海のなかで少しずつ育つオイスターは、小ぶりな身に旨みが凝縮され、とろりとクリーミー。ほかにもサーモンなど、目移りするほど多彩なシーフードがタスマニアの食卓を彩っています。

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山と海、それぞれのロッジで連泊し、恵みの季節を満喫する

タスマニアが豊穣の秋を迎える2月から3月。太古の自然を体感し、大地と海の恵みを堪能できる特別なツアーをご用意しました。なかなか予約の取れない2つの高級ロッジに滞在し、それぞれの地での連泊を含む9日間の旅をお届けします。

はじまりは、美しい水辺の街ホバートから内陸のマウントフィールド国立公園へ足を延ばし、約2億年前から続く神秘の森を歩きます。個性豊かで巨大な植物は圧巻で、まさに大陸の記憶を受け継ぐ風景です。

  • イメージ イメージ 巨大なシダの森が広がる「マウントフィールド国立公園」に現れる、迫力あるラッセル滝 

海岸を望む「フレシネ・ロッジ」では、オイスター湾のパノラマを望むレストランでシーフードをお楽しみいただくほか、美しいワイングラス湾をクルーズする優雅な滞在が待っています。

  • イメージ イメージ フレシネ国立公園のワイングラス湾では、優雅にクルージング(@Tourism Austraria)

締めくくりは、原生林を抱くクレイドルマウンテン国立公園の玄関口に位置する「ペッパーズ・クレイドル・マウンテン・ロッジ」。大自然に包まれたすばらしい景観のなかで、ずんぐりとした体つきが愛らしいウォンバットや、恐ろしい名前に似合わずつぶらな瞳のタスマニアデビル、世界で2番目に大きな有袋類のフォレスター・カンガルーなど、珍しい野生動物との出あいも楽しめます。ロッジのメインダイニングで味わう地元食材のディナーも格別です。

  • イメージ 「フレシネ・ロッジ」のレストランでは、新鮮なシーフードに舌鼓
  • イメージ ここに泊まることが旅の目的にもなる「ペッパーズ・クレイドル・マウンテン・ロッジ」
  • イメージ 愛らしい風貌と歩き方で大人気のウォンバット
  • イメージ タスマニアの悪魔ともいわれるかわいいタスマニアデビル

最後にご案内するのは、ワインの一大産地で知られるテイマー・バレー。ここはどこまでも続くぶどう畑とともに、小さなワイナリーがいくつも点在しています。そのなかの1つを訪ね、ワイナリー併設のレストランでグラスを傾けながら、秋の恵みたっぷりのランチを堪能しましょう。

まるで奇跡のように、太古の昔を残すタスマニア。圧倒的な力を放つその姿を人々が大切に守ってきたからこそ、大地や海が育む豊穣の恵みを享受することができるのでしょう。その魅力が最も輝く季節に、知られざる美食の楽園を存分に楽しんでみてはいかがでしょうか。

  • イメージ タスマニアのワインは世界的にも人気。こだわりのワイナリーを訪ねるひと時も
  • イメージ ワイン農家でいただくランチは恵みの秋ならではの彩りがあふれる
タスマニアを訪ねる旅の詳細を見る