今秋、三越創業350周年を記念して開催する「ベルサイユ宮殿晩餐会」。当企画をお楽しみいただく旅として、計16の多彩なコースをご用意しました。今回は、“憧れの豪華列車”の代名詞「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」、プレミアム客船「ルノワール号」のセーヌ河チャータークルーズをそれぞれ組み入れたコースをご紹介しましょう。いずれも、移動手段自体が旅の目的にもなる魅力的なコースです。
フランス・ベルサイユ宮殿での晩餐会という特別な機会を楽しむにふさわしい旅とは何か。考えをめぐらせた企画担当者が真っ先に着想したのが“憧れの豪華列車”でパリを目指す旅でした。そう、鉄道ファンの間だけでなく、広くその名を知られる「オリエント急行」で行く鉄道旅です。
ただ、「オリエント急行」と呼ばれる列車は実は1つではありません。パリからオリエントの地コンスタンチノープル(現在のイスタンブール)を目指す“元祖オリエント急行”が誕生したのは1883年のこと。以降、オリエント急行を名乗る列車が次々登場、豪華列車全盛の時代を迎えました。その後、旅客機の登場によって人々の関心は空の旅に移り、1977年、オリエント急行は一度歴史の幕を閉じますが、この魅力的な列車を人々が忘れ去ることはありませんでした。やがて当時の客車が整備・復元され、現在再び「オリエント急行」の名を冠した複数の鉄道がファンを楽しませています。
そして今回、ご用意したのが、なかでも人気の高い「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス(VSOE)」の旅です。
イタリアのベニスからパリを目指す1泊2日の鉄道旅のはじまりはサンタ・ルチア駅。映画『旅情』にも登場した、まさに“旅情”あふれるこの駅ほど、旅の出発点にふさわしい場所はないかもしれません。この鉄道旅は、朝、ホテルを出て専用ボートで駅に向かう瞬間からすでにはじまっています。駅のホームで待つのは、鉄道ファン垂涎の重厚な濃紺の車体。乗車中、お世話をしてくれる「スチュワード」と呼ばれるスタッフの礼儀正しい出迎えが、旅への期待をさらに膨らませてくれるでしょう。
車内に足を踏み入れれば、当時のままの寄木細工やガラス装飾のすばらしさに思わずため息。1920年代の寝台車を復元した車両のキャビン(客室)には、ソファや洗面台などが整然と収まり、往年の鉄道旅を味わわせてくれる雰囲気に満ちています。
しばし寛ぎの時を過ごしたら、お待ちかねの昼食です。レストラン・カー(食堂車)に並ぶのは、およそ列車内とは思えない重厚感あふれるテーブルや椅子。磨き上げられた食器類も気分を盛り上げてくれます。車窓を流れるイタリアの自然景観とともに、専属シェフが腕によりをかけて用意したフランス料理を堪能しましょう。
夜はぜひドレスアップしてお楽しみください。これからの時間が鉄道旅の真骨頂。夕食は4コースの優雅なフランス料理です。食事の前後には、バー・カー(バー車両)で優雅なひと時を。オリエント急行が登場してからというもの、王侯貴族や大富豪、小説家などがこぞって列車の旅を楽しみました。急行の名を冠した推理小説で知られるアガサ・クリスティーもその1人です。当時の車内はヨーロッパの社交場そのもの。鉄道という未知の移動手段に心躍らせた人々の興奮はいかほどだったか。生演奏のピアノの音色が静かに響く空間でグラスを傾ければ、往時の乗客が味わった胸の高鳴りを追体験できることでしょう。
夕食の間に、キャビンのソファはスチュワードの手で快適な2段寝台に早変わり。心地良い振動で眠りについた翌朝は、指定の時間にスチュワードがキャビンに朝食を運んでくれます。温かいパンとペストリーにフルーツ、そして香り豊かなコーヒー。爽やかな車窓風景とともに楽しむ朝食は、前日の豪華な食事とはまた違う、忘れがたいものとなるでしょう。
下車はパリ東駅。かつてストラスブール駅と呼ばれていたこの駅は、1883年、オリエント急行の1番列車が出発した記念すべき場所です。きめ細かなサービスでもてなしてくれたスタッフとの別れを惜しみつつ、ここからフランスの首都パリとベルサイユでの滞在を楽しみます。高速鉄道ではなく、ベニスからあえて1泊2日でパリへ向かう。これもまた贅沢ではないでしょうか。
ベルサイユでの宿泊は、名門ホテル「トリアノン・パレス」本館です。ベルサイユ宮殿はベルサイユ条約締結の場として知られますが、宮殿から目と鼻の先の位置にある「トリアノン・パレス」は、まさにその条約が起草された館。晩餐会で特別な時間を味わったあとは、宮殿とともに歴史を刻んできたこの由緒ある建物で、その余韻に浸ってください。朝、広大な宮殿の庭を散策する贅沢もこのホテルに滞在する特典の1つです。
ツアーでは、乗下車地であるベニスとパリ、ベルサイユなどをじっくり観光します。
また、ワンランク上の旅として、VSOEでは、2020年に新設された最上位キャビン「グラン・スイート」、ベルサイユでは、2021年、敷地内に開業した全14室の「ル・グラン・コントロール」に宿泊するコースもご用意しています。
魅力的な旅の移動手段として鉄道とともに欠かせないのが船です。今回の旅では、フランス最大のリバークルーズ会社クロワジーヨーロッパのプレミアム客船「ルノワール号」をチャーターしました。パリを出航、途中、ポワシーで下船してベルサイユ宮殿での晩餐会を楽しみ、その後、ノルマンディー地方のオンフルールまで5泊6日でセーヌ河を下ります。夜間航行を極力少なくし、日中に河岸の風景をお楽しみいただける行程でご案内できるのは、当社のお客さまだけの貸切りだからこそです。変わり行く景観を眺めながら、船旅の醍醐味を存分に味わってください。
乗船日の夜景クルーズもぜひお楽しみに。パリ市内中心部に停泊できる客船は限られており、セーヌ河遊覧の多くは背の低い観光船によるもの。2階建ての客室フロアのさらに上に屋上デッキのあるルノワール号では、より高い位置から街が一望できます。他船を見下ろし、橋桁すれすれに橋をくぐるクルージングは迫力満点。エッフェル塔、ノートルダム大聖堂、ルーブル美術館、グラン・パレなど、ライトアップされた世界遺産を船上からじっくり、堪能ください。
パリをあとにしたルノワール号は、サンジェルマンの森や田園風景を進み、晩餐会会場となるベルサイユへの拠点となるポワシーへ。ブルボン王朝期の雰囲気を醸し出す宮殿へとゆったり時間をかけて向かう船の旅も、鉄道同様、趣のあるものになることでしょう。
ベルサイユでの優雅な時間を満喫したら再び船へ。翌日訪れるのは“フランスの最も美しい村”の1つに認定されているリヨン・ラ・フォレ。一般的なフランスのツアーではあまり立ち寄ることのないこの小さな村の秋景色をぜひお楽しみください。その後、古都ルーアンやノルマンディー地方の景勝地を訪れながら船の旅は続きます。寄港地観光では、見どころをじっくりめぐる「しっかり観光」と、歩く距離を抑えて楽しむ「ゆったり観光」をご用意しています。体力やお好みに合わせてご選択ください。特産のリンゴを使ったシードルや郷土菓子のお買物も旅を印象深いものにしてくれるでしょう。
もちろん食事もフランスの客船ならではの楽しみです。河面を滑るように進む船の上、地元の食材を使ったフランス料理を堪能ください。こだわりの盛り付けや、キノコをはじめとする秋の味覚にもご期待を。レストランやバーではお飲み物が無料でお楽しみいただけます。ピアニストとシャンソン歌手を招いての船内特別演奏会も、貸切りだからこそのイベントです。気兼ねのいらないアットホームな雰囲気の漂う客船で、寛ぎの時間をお過ごしください。
セーヌ河クルーズの旅は、全旅程九日間の基本コースのほか、モン・サン・ミッシェルを望むホテル「ルレ・サン・ミッシェル」連泊を加えた 11日間コース、ベルギーに足を延ばして城館ホテルに連泊、秋の味覚を楽しむ12日間のコースがお選びいただけます。