[ クローズアップ ]
味覚で旅するヨーロッパ
絶対食べたい10の料理!
企画=南家知文/原田優美子/我満弘充/森脇潤/大泉千晶
文=佐藤淳子
ヨーロッパの国々での楽しみの1つが「食」。特にラテン系の国で食文化が発展したのは、快楽への耽溺を罪とするプロテスタントに対し、こうした罪も懺悔すれば許されるカトリック、という宗教観の違いに由来するという説もあります。いずれにせよ、食を愛する人々と同じ空間で味わう食事は忘れがたいものとなるはず。今年秋冬の旅のなかから、心踊る食体験がお楽しみいただける6コースを、「必食グルメ」を中心にご紹介します。
鉄板のおいしさ!
本場スペインの定番料理
最後の1粒までおいしい出汁たっぷり本場パエリア
スペイン料理の定番として筆頭に上げられるのがパエリア。日本では、ムール貝や手長海老など、海鮮のたっぷり入ったパエリアが人気ですが、スペイン発祥のパエリアに当初使われていたのは山の幸だとか。どちらにせよ、多彩な具材からにじみ出た出汁をたっぷり吸い込んだ米は、カリカリに焦げた最後のひと粒まで食べ尽くしたくなるおいしさ。スペイン周遊の旅では、そんな本場のパエリアを心ゆくまで堪能いただきます。
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発祥の地スペインで本格パエリアに舌鼓
市場で生ハムを食べ歩き バルで人々とふれあう
バルセロナでは自由行動の日をご用意しました。その際、ぜひお立ち寄りいただきたいのが、「グルメ市場」として知られるサン・ジュセップ市場です。ここでは、イベリコ豚の生ハムをぜひお楽しみください。なかでも、広大な敷地で主にドングリの実を食べてのびのび育った最高級のイベリコ豚、ベジョータの生ハムは格別です。肉の脂が口のなかで甘くとけるような食感に、「今まで食べた生ハムは何だったのか」と感嘆する人もいるそう。食べ歩きできる量を購入できるので、各店で好きなものを少しずつ味わってはいかがでしょう。ご希望があれば添乗員がご案内します。
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バルセロナ最大規模のサン・ジュセップ市場。スペインのグルメが大集合
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イベリコ豚にはランクがあり、最上級がベジョータ
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1度は味わいたいイベリコ豚の生ハム
もう1つ、この旅で体験いただきたいのが、スペインのインフラともいえるバルの文化です。タパスと呼ばれる小皿料理とともに、ワインやビールを軽く1杯。おいしい料理とお酒が地元の人々との距離を縮めてくれることでしょう。
サン・セバスチャン5連泊でバル満喫
「美食の地」バスクのバルで 各店の名物ピンチョスに舌鼓
「美食の地」として知られるバスク地方。なかでも、フランスとの国境近くのスペインの街、サン・セバスチャンは、人口に対する星付きレストランの数が世界有数という食通必訪の地です。今年は、この街に連泊してバル文化をとことん味わっていただくコースを設定しました。お目当ての店が定休日だったなどということがないよう、たっぷり5連泊です。
バルの楽しみは各店自慢のピンチョス。これは食べやすいよう串で刺したつまみのことで、種類は多彩ですが、あえて必食のピンチョスを紹介するならヒルダでしょう。シシトウの酢漬け、オリーブ、アンチョビを串に刺したシンプルなつまみながら、酸味とピリっとした辛さ、塩味の組み合わせが絶妙。定番メニューとして用意している店が多いので、心躍るバルのはしごで、各店の名物とともに1度は味わってみてください。
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サン・セバスチャンのバル。店ごとに名物料理がある
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ピンチョスの原型ともいえるヒルダ
イタリア屈指の
食材の宝庫で特産に舌鼓
良質な食材を産む美食の州 世界一ともいわれる生ハムも
生ハムならイタリアも負けてはいません。美食の州として知られるエミリア・ロマーニャ州には、パルマ周辺の8つの村でつくられるクラテッロと呼ばれる生ハムがあり、「これが世界一」と語る食通もいます。このほか、日本でパルメザンチーズとして知られるパルミジャーノレッジャーノ、バルサミコ酢など多くの特産がある同州。ポー河周辺の肥沃(ひよく)な土壌がイタリアを代表する穀倉地帯を生み、ここで収穫される小麦やトウモロコシ、大豆などを食べて育った牛や豚もまた良質な食材となるという良い循環がここにあります。DOP(原産地呼称保護)やIGP(地理表示保護)認定の製品が国内で最も多いことも美食州の面目躍如でしょう。
生ハムメロンとボロネーゼ 本場の味はこう違う!
そんな同州の必食グルメとしてご紹介したい1つ目が、プロシュット・エ・メローネ。日本でもお馴染みの生ハムとメロンの組み合わせですが、イタリア産のジューシーなメロンと、味の濃い生ハムとの組み合わせは格別です。そしてもう1つが、ラグー・アッラ・ボロネーゼです。日本ではスパゲティ・ミートソースとして知られるものですが、スパゲティではなく、タリアテッレと呼ばれる平打ちのパスタを絡めていただくのが現地流。肉も野菜もたっぷりのソースに、名産のパルミジャーノレッジャーノを贅沢にかけた魅惑のひと皿をぜひご堪能ください。
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組み合わせの妙が楽しめるプロシュット・エ・メローネ
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平打ちのパスタで楽しむラグー・アッラ・ボロネーゼ
味覚で旅するヨーロッパ 絶対食べたい10の料理!
イタリアからフランスへ美食の連携
ピエモンテ州で味わう 生パスタと冬の味覚
イタリアとフランス、両国屈指の美食の地をつなぐ旅です。まずはイタリアのピエモンテ州。かつてフランスにルーツをもつサヴォイア家の拠点でもあった州都トリノを中心に上品な雰囲気が漂う地です。料理もまた然りで、フランス料理のようにソースをメインとするメニューが多いのが特徴。ここでぜひ味わっていただきたいのが、細パスタ、タヤリンです。「タヤリン」とは、「タリオリーニ」のピエモンテ方言ですが、違いは呼び名だけではありません。全卵を練り込むタリオリーニに対し、タヤリンに練り込むのは卵黄だけ。より黄色く味の濃いパスタがソースと絡まり、いうにいわれぬ濃厚な味わいを生みます。スローフード運動発祥の街、ブラのレストランで、穏やかな街の空気のなか、丁寧に手をかけられた料理を堪能ください。
もう1つの必食グルメが、地元で冬の名物料理として親しまれているバーニャ・カウダです。イタリア語で「温かいソース」を意味するこの料理は、温野菜にニンニクやアンチョビを混ぜたソースをかけていただくもの。日本でもお馴染みですが、イタリア特産の材料を使ったソースは、ひと味もふた味も違います。
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本場バーニャ・カウダは冬の名物料理
家庭料理も魅惑の味わい 有名シェフ輩出の街リヨン
旅の後半は、フランス料理の巨匠ポール・ボキューズを生んだフランスのリヨンへ。この地が美食の街と呼ばれるようになった背景には、食材の豊かさと、第1次世界大戦で戦場に向かった男性たちに代わり、女性たちがシェフとして活躍するようになった歴史があります。この旅では、ボキューズのレストランで本場フランス料理を味わっていただくほか、ブションと呼ばれる大衆食堂でクネルという地元料理もお楽しみいただきます。これは、白身魚や鶏肉などのすり身を団子状にしてオーブンで焼き上げたもので、いわば、「おふくろの味」の御馳走版です。
リヨンでは、冬のお祭り「光の祭典」もお楽しみに。屋台のホットワインが心も体も温めてくれるでしょう。
シャンパン発祥の地で美酒とともに
シャルドネの魅力の詰まったシャンパンとともに昼食を
フランスのシャンパーニュ地方といえば、その名からわかるとおりシャンパン発祥の地として知られます。この地には、ぶどうの栽培から醸造、販売まで一貫して行うシャンパン生産者、シャンパーニュ・メゾンが数多くありますが、現存する世界最古のメゾンといわれるのが、ランスに拠点を置く「ルイナール」です。同地出身の高僧、ドン・ティエリー・ルイナールが、貴族の間で好まれていた発泡性ワインに着目して研究、その製法を引き継いだ甥のニコラが1729年に設立しました。限られた地域で収穫されたシャルドネを核としてつくられるルイナールのシャンパンは評価が高く、現在でもフランス大統領公邸の公式晩餐会で提供されています。
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シャルドネの魅力が凝縮された「ルイナール」のシャンパン Credit terms : Mr. Philippe Vaurès
今回の旅では、この「ルイナール」を訪れ、ワインセラーの見学後、プライベートダイニングでの貸切昼食会で、シャンパンと料理の絶妙なマリアージュをお楽しみいただきます。きめ細かな泡を放つシャンパンとともに、専属シェフが腕を振るう本格フランス料理を堪能ください。
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シャンパンとともに楽しむフランス料理の昼食。写真は、シャンパンを大胆に使ったソースが味わえる「セロリと海苔のミルフィーユのシャンパンソースかけ」(一例) Credit terms : Mr. Philippe Vaurès
パリ開催のチョコの祭典 サロン・デュ・ショコラへ
そして、この旅のもう1つのお楽しみが、毎秋、パリで開催される世界最大級のチョコレートの見本市「サロン・デュ・ショコラ」です。フランスはもちろん世界中から集結したショコラティエやブランドとの出あいは、心ときめくものとなることでしょう。本場ならではの熱気と規模をぜひ体感ください。
アドリア海の恵みを丸ごと味わう
豊穣のイストラ半島でトリュフ三昧の贅沢旅
クロアチアは東欧の国ですが、沿岸部がかつてヴェネツィア共和国の支配下にあったことなどから、アドリア海を挟んだ対岸のイタリアから文化的な影響を多大に受けています。食文化も同様で、食はこの国の魅力の1つ。ワインやオリーブオイルなどの特産のあるイストラ半島では、隠れた名産、トリュフをお楽しみください。アドリア海からの湿った空気が届く丘の村モトブンで採れた良質のトリュフを、麓のリヴァデ村の人気レストラン「ズィガンテ」で堪能いただきます。料理の詳細は訪れてのお楽しみですが、サラダからデザートまで、トリュフ尽くしの料理でその芳香をたっぷり味わっていただけることでしょう。ちなみに「ズィガンテ」の創業者はかつて、当時世界最大となる1.31キロの白トリュフを収穫した人物。店先に飾られた巨大トリュフのレプリカもお見逃しなく。
旅の後半では、イストラ半島の付け根にあるイタリアの街、トリエステを訪れ、名産の発泡酒、プロセッコの試飲もお楽しみいただきます。
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トリュフをふんだんに使った料理をコースで堪能
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クロアチアの市場に並ぶ特産のオリーブ
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発祥の地で味わう発泡酒プロセッコ