途方もなく長い年月をかけて造形された大自然の景観を前に、思わず人類の来し方のはかなさを想う。そんな経験はないでしょうか。圧倒的な自然にふれると、人は謙虚になるものなのかもしれません。そしてそれは時に清々しい体験でもあります。そんな圧巻の大自然を目の当たりにできる、とっておきの旅を2つご紹介しましょう。
まずは、夏のベストシーズンに北欧3カ国をめぐる旅です。北欧周遊に欠かせない自然景観といえば、なんといってもフィヨルドでしょう。長い時間をかけて氷河が削った谷に海水が入り込んできたこの自然の造形を、ツアーではフィヨルド地域に5日間滞在し、たっぷり味わいます。短期のツアーでは訪れる機会の少ないガイランゲルフィヨルドをじっくり観光するのもポイント。標高約1,500メートルのダールスニッパ展望台から見下ろしたり、水面を滑るように進むクルーズのデッキから見上げたりと、氷河の芸術ともいえるフィヨルドの美しさをさまざまな角度から堪能します。
ヨーロッパ最大、世界最深のソグネフィヨルドももちろん訪れます。切り立った山に囲まれた狭い水路を進む2時間のクルーズのハイライトは、世界遺産にも登録されている最奥部、ネーロイフィヨルド。多くの鉄道ファンに愛されるフロム山岳鉄道からの眺めも壮観です。多彩な方法でフィヨルドを楽しむ今回のツアーでは、さらに滞在するお部屋からもお楽しみいただくべく、ガイランゲルでの宿泊場所に「ホテル・ユニオン」を選びました。客室の大きな窓から眺めるガイランゲルフィヨルドは、また別の表情を見せてくれるに違いありません。
そして、もう1つが、世界最大の島グリーンランドへの旅です。面積の約80%を氷が覆うこの島には、氷床と呼ばれる巨大な氷の塊が存在します。世界には氷河を観察できる場所はいくつもありますが、氷床があるのは南極とグリーンランドのみ。この巨大な氷の塊は、端の部分から崩れて氷河となり、長い時間をかけて流れ下ります。そして海に落ちると、ここから巨大な氷山となって海をたゆたいます。人の目では捉えられないほどのゆっくりとした速度ながら確実に変化を続ける氷河。その壮大な姿を通して悠久の時の流れを体感できるのが、グリーンランドです。
ツアーでは、カンゲルルススアークで氷床の上を歩き、イルリサットでは巨大な氷山が浮かぶディスコ湾をクルーズします。巨大な氷河や氷山が視界いっぱいに広がる様子は圧巻。氷床観光では、氷河期を生き抜いたジャコウウシに出あうチャンスがあるかもしれません。世界遺産にも登録されているイルリサット・アイスフィヨルドでは、無数の氷の塊が時にきしみながら海へと注ぐ様子に圧倒されることでしょう。さらに今回、初の試みとして、上空からの氷山観光もお楽しみいただきます。セスナ機から下を眺めれば、そこに広がるのは白と青が織り成す氷の世界。それはしばし言葉を失う美しさです。
4連泊するイルリサットのホテル「アークティック」では、部屋にいながらにしてディスコ湾の氷山が見られます。日の出を前にラベンダー色に染まっていく氷山はえもいわれぬ美しさ。レストランでの夕食時には、食事を楽しむ人々の顔をオレンジ色に染めながら、1日の最後の光を放って夕陽が沈みます。陽光によって劇的に表情を変える氷の景観は、強く心に残るものとなることでしょう。
砂漠並みの乾燥地として知られ、雲のかかる日がほとんどないカンゲルルススアークと、オーロラ観光の拠点として有名なイルリサット。10日間のうちこの2つの街に計6泊する今回のツアーでは、日中の観光に加えて夜のオーロラ観賞という贅沢な楽しみもあります。夕食後、最果ての島の夜空を彩る光のショーをぜひご堪能ください。
日本からの直行便でコペンハーゲンへ。そこからもう1フライト飛べば、もうグリーンランドです。圧巻の景色が待つ場所へのハードルは、おそらく想像するほど高くはありません。この夏、これらの壮大な自然景観に出あう旅へ、ぜひ。