清々しい気候の7月、“もう1つのアルプス”の風景を訪ねる12日間の旅をご紹介します。スイス側から見上げることが多いアルプスの山々。名峰マッターホルン、モンテローザ、モンブランなど、一度は訪れたことがあっても、イタリア側から見るとその山容の違いに驚かされるはずです。スイスからは日陰となりがちな北壁を見ることになるアルプスも、イタリアからは長く日が当たる南壁を見ることができます。アルプスに囲まれたアオスタ渓谷に4泊して、谷の奥深くに点在する小さな村々から絶景の展望台に上がり、アルプスの名峰の大パノラマをお楽しみください。
旅のはじまりはスイスとの国境地帯に広がる北イタリア湖水地方から。ここはアルプスの山々と湖が美しい、歴史あるリゾートです。マジョーレ湖のベッラ島は、島全体が、17世紀に建設されたイタリアバロック建築最高峰の宮殿と庭園。噴水と花々に彩られた壮大なバロック庭園に、白い孔雀が優雅に散歩する様子は楽園のようです。さらに“小さな宝石”ともいわれるオルタ湖の湖畔にある「イタリアの最も美しい村」の1つ、オルタ・サン・ジュリオへもご案内します。
イタリア統一後最初の首都だったトリノは、フランス出身のサヴォイア王家時代のフランス風カフェ文化が残り“リトルパリ”の愛称で呼ばれる洗練された街。重厚な佇まいの老舗カフェで優雅な時間をお過ごしいただきます。さらにトリノ近郊、ピエモンテに広がる丘陵地帯の景観と、伝統の味もご紹介。“ワインの王様”といわれる赤ワイン・バローロのワイナリーと世界遺産のぶどう畑にご案内し、スローフード協会直営レストランで夏の黒トリュフをご賞味いただきます。トリュフの産地アルバ村では本場のトリュフオイルなどお土産にいかがでしょう。
モンブラン、マッターホルン、モンテローザなどアルプスの名峰に囲まれたアオスタ渓谷。渓谷最奥の村チェルビニアは、イタリアでは“モンテ・チェルビーノ”と呼ばれるマッターホルン(標高4,478m)の麓の村。スイス側でのマッターホルン観光の拠点となるツェルマットより、はるかに近く正面から覆いかぶさるような大迫力のマッターホルンが見られます。“魔の山”と地元民に恐れられてきた荒々しい姿は、スイス側から見た鋭く尖った端正な山容とあまりにも違います。この村に2連泊しますので、夕陽に照らされ、朝焼けに染まるマッターホルンの姿をご満喫ください。ブルー湖の湖面に映る、逆さマッターホルンの神秘的な光景も必見の美しさです。
また、チェルビニアからロープウェーで絶景を眺めながら、スイス国境近くのプラトー・ローザ展望台でマッターホルンを間近にご覧いただきます。さらに、ピラ展望台からはイタリア三大名峰モンブラン、マッターホルン、モンテローザの大パノラマのほか、グラン・パラディーゾ山群も見られます。
高級山岳リゾート、クールマイユールから回転ロープウェーでエルブロンネル展望台へ(標高3,466m)。フランス側とは違う険しく切り立った迫力のあるモンブランが観賞できます。次に3連ロープウェーでジュアン氷河を眼下に、イタリアから国境を越えフランスのエギーユ・デュ・ミディ展望台へ。モンブランからは少し離れていますが、こんもりとしたやさしい山頂の姿は悠久の美しさです。
旅を締めくくるのはヨーロッパ有数の高い透明度を誇るアヌシー湖のほとりの街、「サヴォアの宝石」といわれるアヌシーです。アルプスの山岳風景に囲まれ、旧市街は運河沿いにかわいらしい家々が立ち並ぶ「フランスのベニス」ともいわれる美しい街。フリータイムには、アヌシー湖を一周する遊覧船もおすすめです。船上からは、印象派の巨匠セザンヌの作品「アヌシー湖」にも描かれた「デュアン城」の眺めを楽しむことができます。
アヌシー湖畔に建つ「インペリアル・パレス」は1913年に開業したベルエポック調の真っ白い宮殿のようなホテル。湖が見えるお部屋に2連泊します。窓を開けて心地良い風に吹かれながら、澄んだ湖面に煌めく陽の光を眺め、時間が経つのも忘れてのんびりとホテルの優雅な滞在をご満喫ください。
イタリア側のアルプスは、静けさを求める欧州のセレブな人々には大人気なものの、スイス側に比べてあまり知られていない、知る人ぞ知るもう1つのアルプス。ベストシーズンにも関わらず観光客が少なく喧騒とは無縁です。山の景色だけでなく北イタリアの湖水地方や気品ある都市トリノ、フランスのアヌシー湖畔など美しい景色を厳選したこの旅へ、ぜひお出かけください。