[ クルーズ特集 ]
冬の日本から、暖かさに包まれる楽園へ
陽光あふれる
南太平洋クルーズ
企画=内島雄貴
文=吉田千尋
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珊瑚礁の海はもちろん、出入港時に見あげる山岳美にも圧倒されるボラボラ島
頬を刺すような冷たい風に、思わず足がすくんでしまう……。まだまだコートが手放せない。そんな1月、2月に、まったく反対の暖かな季節を謳歌できる、南半球のクルージングへ出かけませんか。美食自慢の船「オーシャニア・ノーティカ」で航くタヒチの7島や、「クイーン・エリザベス」でめぐる3つの国。大自然の絶景だけでなく、歴史ある街並みや島の文化にふれる時間も散りばめました。待っているのは、日本の冬を忘れる日々。陽光あふれる楽園へ、出発しましょう。
美食自慢の
プレミアム客船「ノーティカ」で、
タヒチの七島を訪ねて
カジュアルに味わえる世界的シェフのメニュー
テラスの向こうは、穏やかに輝くターコイズブルー。海の上に建てられた、1棟丸ごと客室となっている水上バンガロー発祥の地はタヒチです。南太平洋のほぼ真ん中に浮かぶ島々をつなぐように大海原を進み、水平線まで独占できる水上バンガローにも滞在。開放的な南国時間を満喫できるクルーズをお届けします。
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珊瑚が多いエリアに位置する水上バンガローで、贅沢なひと時を
洋上の日々を彩るのは、美食が自慢のプレミアム客船「オーシャニア・ノーティカ」。フランス大統領の専属シェフなどを務めたジャック・ぺパン監修の多彩なメニューが楽しめます。このクラスの船は通常、ディナーではフォーマルな服装に着替えますが、こちらは正装不要。肩肘張らず、気軽に味わえるのも魅力です。
今日は正統派のイタリア料理レストラン、明日はクラシックなステーキハウス……と、さまざまな料理に舌鼓を打つうちに、船は次の寄港地へ。7つの島をめぐるクルーズを堪能しましょう。
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エレガントな雰囲気でありながら、気楽さも兼ね備えた「オーシャニア・ノーティカ」
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上質な空間で寛げる客室(写真はペントハウス・スイート)
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美食客船の名にふさわしい数々のメニューを堪能できる
大陸から遠く離れた諸島へ水上バンガローにも宿泊
「タヒチ」は、フランス領ポリネシアである118の島々を指す総称です。首都のパペーテがあるのは、ソシエテ諸島のタヒチ島。華やかなリゾートであるこの地から出航し、訪れる機会の少ない北東へ向かいます。ひと味違う航路を体験できる旅のはじまりです。
ツアモツ諸島では、手付かずの自然が残るファカラバ島などに上陸。ラグーンと呼ばれる珊瑚礁に囲まれた内海の煌めきと、青いグラデーションが放つ目の覚めるような鮮やかさにはきっと驚かれることでしょう。
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どこまでも続くラグーンが鮮やかなツアモツ諸島のファカラバ島
さらに終日の航海を経て、マルケサス諸島へ。ここは世界中すべての大陸から最も離れている群島で、珊瑚礁は少なく、秘境らしさが漂います。小説『白鯨』で知られるメルヴィルが滞在したヌクヒバ島では、荘厳な火山島の風景が圧巻です。
ランギロア島は、無数の小島がネックレスのように連なるラグーンの光景が幻想的。ここでは船底がガラスになっているグラスボトムボートに乗り、色とりどりの魚たちが泳ぐ姿を楽しめます。
ソシエテ諸島に戻り、ボラボラ島では優雅な水上バンガロー「コンラッド・ボラボラ・ヌイ」に宿泊。午後早めのチェックインで、心地良い空間と絶景を味わっていただきます。テラスからそのまま海に入ってシュノーケリングなどを楽しめるのも、水上バンガローならではの贅沢なひと時です。
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水上バンガローでは、テラスからそのまま海に出ることもできる
タヒチ島の多彩な表情をゆったり楽しむ3日間
クルーズのあとは、タヒチ島でゆったり3連泊。フレンチコロニアル様式の建物が美しい首都のパペーテ、東海岸と西海岸、それぞれに個性ある表情をめぐります。
火山性の黒い砂浜が広がる東側は、ジャングルから顔を出す「ファアルマイの滝」など、自然豊かな風景のなかへ。『戦艦バウンティ号の叛乱』の作者、ジェームズ・ノーマンホールが暮らした家も訪ねます。白砂が広がり、花々が彩る西側では、画家ゴーギャンが愛した村の風情も魅力的です。
遠く離れた諸島も含め、まだ見ぬタヒチに出あえる船旅。新たな年のはじまりにふさわしい、まぶしく煌めく時間が待っています。
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タヒチを愛し、描き続けたゴーギャンゆかりの地も訪ねる
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タヒチの首都パペーテは、フランス領らしい薫りが漂う
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開放感あふれる「ヒルトン・タヒチ」で3連泊
陽光あふれる 南太平洋クルーズ
「クイーン・エリザベス」で航く、
南太平洋の3カ国
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透明度の高い海と白砂がまぶしい、離島のイル・デ・パン島(ニューカレドニア)
英国伝統のおもてなしに心満たされるクルーズ
フランスの薫り漂うニューカレドニア、多様な文化が共存するフィジー、素朴で独特な暮らしが受け継がれるバヌアツ。多くの人が憧れる3カ国の楽園をたった一度の旅で、しかも最も有名な豪華客船の名を受け継ぐ「クイーン・エリザベス」でめぐると聞けば、思わず心が躍る方も多いのではないでしょうか。
冬季はアジアを中心に航行しているこの客船が、南太平洋を周遊することは珍しく、ここ数年限りの航路となる可能性もあります。貴重なこの機会に、代々受け継がれる英国伝統のおもてなしに心満たされる楽園クルーズを堪能してはいかがでしょう。
各寄港地では、大自然だけでなく、それぞれの文化や歴史にふれられるひと時を盛り込みました。名船の優雅さに包まれながら、お体の負担少なく、3カ国の島々を深く豊かに満喫できる時間をお届けします。
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英国式の洗練されたホワイトスター・サービスが心地良い「クイーン・エリザベス」
リゾートを楽しみながら奥深き文化を体感する
“南太平洋のプチフランス”と称されるのは、ニューカレドニアの首都ヌーメア。フランス領となった19世紀半ばからつくられた街並みは、まるで南仏のリゾートのように洗練された雰囲気が漂います。一方で、開放感のある陽気な南国らしさも持ちあわせているのが魅力。賑やかなマルシェを歩けば、そのどちらも体感できる楽しいひと時となることでしょう。“海の宝石箱”と呼ばれるイル・デ・パン島では、驚くほど透明度の高い内海で、鮮やかな彩りの魚たちに出あえます。
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南仏のように優雅な佇まいの街ヌーメア(ニューカレドニア)
19世紀の終わりから約100年続いた英国統治時代を物語るのは、フィジーの街並みです。首都スバでは当時のコロニアル建築が多く残り、異国情緒にあふれています。大小のヒンドゥー寺院も至る所で見ることができるのは、同じく英国に統治されていたインドから多くの人々が入植してきたため。ヒンドゥー教徒が祈りを捧げる寺院を訪ねれば、この国が辿ってきた長い道のりを肌で感じることができます。
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カラフルな色彩のヒンドゥー寺院が、移民の歴史を物語る(フィジー)
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笑顔と活気があふれる市場を歩くのも楽しみ(フィジー)
リゾートとして進化してきたニューカレドニアやフィジーとは対照的に、さまざまな部族が昔ながらの暮らしを営む国がバヌアツ。集落ごとに違う言葉もあるなど、それぞれの文化が今も脈々と息づいています。民族衣装に身を包む部族の躍動感あふれるダンスや音楽を目の当たりにすれば、その力強さに圧倒されることでしょう。火山活動の地殻変動で湧いたサファイアのような輝きの泉「ブルーホール」など、神秘的な風景を訪ねるのも大きな楽しみです。
華麗なる女王船でゆったりとめぐる、個性豊かな3つの国。リゾートだけではない、奥深き南太平洋のクルーズ時間を、ぜひご堪能ください。
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こんこんと湧きあがる泉の色が幻想的な「ブルーホール」(バヌアツ)
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脈々と受け継がれてきた独特な文化にふれる(バヌアツ)