それは、まさに“体感する”秋。船上から、大地から、ダイナミックな彩りの多重奏を全身で味わう、スケールの大きな旅に出かけませんか。水辺の煌めきに紅葉が映える大河のクルーズ。氷河と錦秋を堪能するアラスカクルーズ。大自然が描き出す芸術を心ゆくまで楽しめる、この時期だけの特等席へご案内します。
カナダの紅葉といえば、メープル街道を思い浮かべる方も多いことでしょう。どこまでも続く彩りのなかをドライブしながら駆け抜ける、大人気の観光ルートです。
今回ご紹介するのは、客船でゆったりと優雅に、このエリアの美しさを堪能する旅。古くから沿岸の交易を支えてきたセントローレンス河の歴史に思いを馳せ、水辺の煌めきとともに味わう秋景色は、街道の眺めとはまた違う魅力にあふれています。
乗船するのは、正装不要という気軽さと、質の高いダイニング・サービスで注目を集めるオーシャニア・クルーズの「インシグニア」。小回りの利く3万トンクラスの客船で、幅の狭い支流や、ほかの客船があまり停泊しない小さな街にも寄港していきます。
一般的にこの河のクルーズは3、4日ほどの短いプランが多いのですが、この旅ではゆとりある日程にもこだわっています。セントローレンス河だけでたっぷり6日間、プリンスエドワード島など湾内も含めて11日間というスケジュールで、贅沢にクルージング。観光地化されていない等身大の暮らしにも丁寧にふれながら、東部カナダの秋を満喫できる船旅です。
“北米のパリ”と称されるモントリオールから出航し、船は東へ。翌朝目覚めれば、そこは美しい古都トロワ・リヴィエールです。ケベックに次いで2番目に長い歴史を誇るこの街では、北米三大巡礼地の1つといわれるノートルダム・デュ・キャップ大聖堂など、人々の祈りとともに大切に受け継がれてきた名所を訪ねます。ここからが、このクルーズ最大の個性が光るルートです。港湾設備の大きさ等の都合で大型船には入港が難しい、小さな街への寄港が続きます。
河幅が広がり、水辺の紅葉もだんだん遠くまで見渡せるようになる翌日に寄港するのは、セントローレンス河に隣接するベイ・コモー。歴史地区のほぼ中心に位置するサン・アメリー教会では、美しく壮大なフレスコ画の数々をご覧いただきます。人口2万人ほどの小さな街で守られ続けている見事な傑作に、心揺さぶられるひと時です。
山々の彩りを堪能する終日クルーズを経て、船はセントローレンス湾へ。サン・ピエール島ではシャルル・ド・ゴール元大統領から寄贈されたステンドグラスが残る大聖堂など、フランス領ならではの風情を味わいます。プリンスエドワード島では、『赤毛のアン』の作者モンゴメリの生家やアンが暮らす家として描かれたグリーン・ゲイブルズ・ハウスなどを訪ね、物語の世界にたっぷりと浸りましょう。
クルーズライフのあとに待っているのは、カナダを代表する紅葉の名所ローレンシャン高原での2日間です。
メープル街道をドライブし、やがて見えてくるのは赤やオレンジで鮮やかに埋め尽くされた高原。最も標高が高いトランブラン山では、ゴンドラに乗って山頂を目指します。高低差があるからこそ見られる緑から赤への見事なグラデーション、展望台から眺める大パノラマは圧巻です。
船上から、そして空中散歩や展望台などでさまざまな表情を味わう錦秋。旅するほどに、ダイナミックな自然を抱くカナダの懐の深さを実感できるひと時をぜひお楽しみください。
4,000メートル級の山々から、海面へとなだれ込む氷河。神々しくも荒々しいその姿に、人知のおよばない自然の驚異を体感する瞬間です。
陸路ではアクセスが困難な東南アラスカ海峡から、大小の氷河を目の当たりにしながら進んでいく迫力満点のクルーズ。そして下船後は、短い秋で一気に染まるデナリ国立公園の燃えるような彩りを楽しむ……。白銀と紅葉のコントラストを一度に味わえる、壮大なクルーズをお届けします。
乗船するのは、創業150年を超えるホーランドアメリカラインの「ニューアムステルダム」。長い歴史と実績が評価されたクルーズ会社の客船として、1日に2隻という厳しい制限があるグレーシャー・ベイ国立公園のなかを悠々と航行していきます。デッキは10階建てのビルに相当する高さで、開放感とともに目の前で氷河を望める特等席。船がゆっくり旋回しはじめると、白や青、銀色に織り成されるその輝きは、まさに自然の芸術です。
さらに北上し、アラスカを代表するもう1つの氷河であるカレッジフィヨルドへ。大小26もの氷河が現れる変化に富んだ景色のなかを進めば、クジラやイルカなどに遭遇することも。厳しい環境でたくましく生きる彼らの姿にも大自然の奇跡を感じる、北米の旅ならではの感動体験です。
下船後は、北米最高峰のデナリ(マッキンリー)山麓へ足を延ばします。宿泊するのは、「タルキートナ・アラスカンロッジ」。威風堂々たる名峰の眺めをぜひお部屋からお楽しみいただきたく、人気の高いデナリ山側の客室を確保しました。
翌日はゆっくりとした速度で走るアラスカ鉄道の展望車で、デナリ国立公園へ。大きなガラス窓が天井まで広がる2階席から、雄大な景色を堪能します。動物が現れることも多く、その時はさらにスピードを緩めて走行。自然を慈しむようにのんびりと進む、5時間ほどの道のりです。
デナリ国立公園では、独特の景色のなかをバスでめぐります。雪に閉ざされる長い冬、そして短い春と夏を経て8月に早くも秋を迎える大地。わずか数週間を謳歌するように、高山植物と灌木が一斉に染まる景色は、真っ赤な絨毯を敷き詰めたかのように幻想的です。多様な野生動物が暮らす公園内では、ヘラジカやグリズリー(灰色熊)などに出あえるチャンスも。
北米の紅葉を象徴するメープルの森とはまたひと味違う錦秋。その彩りと氷河をともに味わえる旅は、紅葉の名所を知り尽くした方にも新鮮な驚きと感動をもたらすことでしょう。