中東への旅。興味はあるけれど、文化の違いや距離的な遠さから、二の足を踏んでいるという方も、もしかしたら少なくないかもしれません。そんなお客さまに、アラブ世界への入り口として、ぜひおすすめしたいのが、アラブ首長国連邦です。
連邦を構成するのは七つの首長国ですが、なかでも観光立国として世界に知られるのがドバイです。1950年代まで交易と漁業で細々と人々が生計を立てていたこの地で油田が発見されたのは1960年代になってから。しかし、今日のような発展を遂げた要因は、決してオイルマネーの力だけではありません。この国は、限りある資源に頼るのではなく、資源が尽きた先の未来にまで想いを至らせ、石油以外の産業で国を栄えさせるべくインフラを整えたのです。その産業の1つが観光でした。世界中から人の集まるドバイでは、今や人口の約8〜9割が外国人。ホテルスタッフに出身を問えば、驚くほど多様な国の名前が返ってくるでしょう。
それにしてもこの発展ぶりはいかに。ここには、世界一高いビルがあり、人工衛星から確認できるほど大きな人工島があり、世界最大規模のショッピングモールがあります。ほんの数十年前まで広大な砂漠のなかの小さな村だったこの地がここまで進化を遂げ、世界中の旅行者を受け入れる地となることを誰が想像したでしょうか。そして今もなお、ものすごいスピードで進化を続行中です。現地では毎年新しいホテルや施設が建ち、「世界一」の建物も増え続けています。その変貌の早さは1年経つと街の姿が変わっているといわれるほど。そこに広がるのは、まるで近未来の街です。
ツアーではまず、アラブ首長国連邦、特にドバイの近未来的側面をお楽しみください。ドバイの街を車窓から眺めれば、さまざまな形のビルが林立する様子にまず圧倒されます。なかでも圧巻は、高さ約828メートル、世界一高いビルとされる超高層ビル「バージカリファ」です。ダウンタウンにそびえるビルの展望台は、どのような世界を見せてくれるでしょうか。今なお発展を続けるドバイの街をとくとご覧ください。世界最大級の規模をもつ人工島「パーム・ジュメイラ」を俯瞰できる場所もあります。「ザ・ビュー・アット・ザ・パーム」の展望台から、パーム(ヤシ)の形に広がるこの人工島を見れば、その規模にあらためて驚かれることでしょう。
世界一はまだまだあります。人工湖で繰り広げられる迫力満点の噴水ショー「ドバイ・ファウンテン」は世界最大級といわれる規模で、吹き上げられる水の高さは最高約150メートルに達します。 隣接するのは、これまた世界最大規模のショッピングモール「ドバイモール」。ブティックやカフェのほか、世界最大級の水槽をもつ「ドバイ水族館」などの娯楽施設もあり、1日いても飽きることはありません。
ドバイのほかにも、注目のスポットはいろいろあります。アラブ首長国連邦の首都アブダビに建つ「ルーブル・ アブダビ」がその1つ。2017年、アブダビの中心街と橋で結ばれたサディヤット島に、フランス・パリにあるルーブル美術館のはじめての別館としてオープンした美術館です。600点を超えるといわれる展示品もさることながら、まるで水の上に浮いているかのような斬新な外観にもぜひご注目ください。
一方、古きアラブの世界を感じさせるエリアにも事欠きません。たとえば、ドバイのバール・ドバイ地区にあるアル・ファヒディ歴史地区。歴史的建造物を遺産として保全している地区で、ここには昔ながらの街並みが広がります。小さな一画ですが、自然の風を家のなかに取り込むためにつくられたウインドタワーなど、興味深い建築が随所で見られ、楽しい散策になることでしょう。入り組んだ路地を歩けば、遠く「千夜一夜物語」の世界にタイムスリップしたかのような気分も味わえそうです。少し歩き疲れたら、カフェに立ち寄り、ミントティーなどで喉を潤しましょう。
ドバイの街を分かつ自然の入江、クリークを挟んだ対岸には、煌びやかなゴールドスークがあります。軒を連ねる店々のカウンターには黄金色に輝くアクセサリーがずらり。観光客だけでなく、黒いアバヤに身を包んだ地元の女性たちが、楽しげに買物をする姿にも出あいます。
一面の砂漠だったかつてのこの地に想いを馳せる体験もご用意しました。1つは、四輪駆動車での砂漠ドライブです。美しい砂紋が描かれた砂の丘を、縦横無尽に走り抜ける快感を満喫ください。
そしてもう1つが、砂漠の“オアシスホテル”での滞在です。お泊まりいただくのは、市街から内陸へ車で1時間ほど走った場所にある「バブ・アル・シャムス」。アラビア語で「太陽の扉」を意味するこのホテルが建つのは、市街の喧騒が嘘のような静けさに満ちた砂漠の真ん中。砦のような外壁に囲まれた内部には低層の建物が複雑に並び、ホテルというよりアラブ風の大邸宅といった趣です。
客室のインテリアは、いずれもアラビアンスタイルで雰囲気たっぷり。客室の外にも、砂漠での一夜を優雅に過ごすための場所がそこかしこに用意されています。たとえば屋上に設けられたバー。ここから見えるのは360度見渡す限りの砂漠と空で、朝焼けも夕焼けも一望のもとです。ホテルには午後早い時間の到着を予定していますので、ここでゆったりと夕景を眺めるのも一興ではないでしょうか。
夜は、アラブの伝統料理とともに、アラブの民族音楽や舞踏をお楽しみください。「これぞまさにアラビアンナイト」という一夜をお過ごしいただけることでしょう。
かつてのアラブの雰囲気を味わう場所なら、隣国オマーンも負けてはいません。
「千夜一夜物語」に登場する船乗り、シンドバッドは、オマーンの港、ソハールから出港したとされています。首都マスカットもアラビア半島の玄関口として古くから栄えた港町。1970年代以降、オマーンは近代国家への歩みを着々と進め、マスカットの街にもビルが建ち並びますが、ドバイに比べれば、格段にのどかな雰囲気です。アラビア海を望むマトラ地区では、アクセサリーや布地、香辛料、ランプなどを売る店が軒を連ねる伝統的な市場「マトラ・スーク」を散策しましょう。地元の活気や人々の穏やかさを肌で感じる楽しい体験となるはず。マトラ地区は、実は夜もおすすめです。背後にそびえる山並みに、海面に映る旧市街の街明かり。一帯に広がる光景は実に幻想的です。治安の良いオマーンだからこそ楽しめる光景でもあります。
オマーン最大のモスク「スルタン・カブース・グランド・モスク」も一見の価値ありです。イスラム建築の集大成ともいわれるこのモスクは、大きさだけでなく、その美しさも圧巻。スワロフスキーガラスと純金でできたシャンデリアの豪華さには目を見張るばかりです。
「千夜一夜物語」の世界から近未来まで、中東の国々で時空を超える旅をぜひお楽しみください。