[ 海外特集① ]

企画担当・坂尾美浩がご紹介する
世界最高峰の峰々に圧倒される世界へ

快適な航空機で楽しむ

エベレスト貸切遊覧飛行

企画=坂尾美浩 文=大友園子
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世界最高峰のエベレストをはじめ、ダウラギリやアンナプルナ連峰など8,000メートルを超える山々が連なるヒマラヤ。急峻な峰々は人を寄せつけず、神々が住む場所として崇められてきました。かつて映像や写真集で見た白く輝く名峰群が眼前に広がる眺めを、快適な航空機で存分に楽しむことができます。その峰々の大きさ、美しさはまさに壮観。現地での写真とともにご紹介します。

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登山ガイドによるヒマラヤ登山体験談 盛り上がる遊覧飛行前夜

ヒマラヤの山々の景観を楽しむ観光シーズンは、乾季の秋から春です。私はこの春のツアーに添乗し、カトマンズからポカラに向かう特別ルートで、エベレストやアンナプルナ連峰を望む貸切遊覧飛行や、ポカラ、ナガルコットに滞在し、刻々と変わる山々の景観を満喫するすばらしい体験をしました。

遊覧飛行前夜には、ヒマラヤ登山には欠かせないベテランのシェルパ(登山ガイド)を滞在先のカトマンズのホテルに招き、エベレスト登山の体験を聞きました。

シェルパは、エベレスト登山の際に使用したアイゼンやロープなどの装備品を持参し、道具の使い方やロープの結び方などを説明してくれます。そして、エベレスト登頂を目指す際に第一から五まであるベースキャンプの行き来を繰り返し、高度順応をしてから最後に頂上アタックをすることや、8,000メートルを超えた「デスゾーン」と呼ばれる世界では、人間の体がどうなるかといった話に、お客さまも引き込まれていました。雪崩に見舞われた時には、「コンクリートの塊がぶつかってくるようだった」など、リアルな体験も語られました。一方で、お客さまからは「エベレストの頂上はどうなっているのか」「同時に何人も立てる広さがあるのか」といった質問などが次々あがり、大いに盛り上がりました。

  • イメージ イメージ エベレスト登頂時のエピソードなどを語る現地のシェルパ
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眼前に現れるヒマラヤの峰々 映画のような光景に時を忘れる

翌朝、シェルパが語った白い世界を実際に見に出かけます。カトマンズ空港に向かい、待機している航空機に乗り込みました。航空機はセスナ機ではなく、定員60名ほどの双発プロペラ機です。タラップを登り機内に入ると、客室乗務員が座席に案内してくれます。このツアーだけのチャーター機なので、座席には余裕があり、皆さまそれぞれ窓側のお好きな席にお座りいただくことができました。予定どおり6時半に無事離陸。いよいよエベレストの遊覧飛行がはじまります。

乗り心地の良いゆったりしたシートに座っていると、まもなく客室乗務員が山々の位置がわかるイラスト入りのパンフレットを配ってくれます。目的地はカトマンズの西にあるポカラですが、まずエベレストのある東へと向かいます。離発着時は、乗客がほぼ均等になるように左右の座席に座り、安定飛行になれば機内を自由に移動することができました。

  • イメージ いよいよ航空機でエベレスト遊覧飛行へ。天候も良く期待が高まる
  • イメージ 客室乗務員が見えている山を教えてくれるので、 ヒマラヤの山々を認識しやすく、存分に景色を楽しめる

空港を飛び立って間もなく、視界を遮るものが何もない雲の上、すぐ左に雪を頂いた山々が見えてきました。皆さん一斉に山の見える窓側に移動。山々に近づくにつれ、窓に顔を近づけて景色に見入ります。マカルー(8,463メートル)やローツェ(8,516メートル)、そして、ひと際高くそびえているのがエベレストです。

といっても最初は、連なる山々全体の風景に目が行って、どれが何という山なのか区別がつかないかもしれません。でも、山々が見えている間、客室乗務員は座席を回りながら、英語で「あれがエベレスト」などと教えてくれるのでしっかり見分けることができます。三角錐の頂上と黒々した岩肌、私が見ても、その堂々とした山容が「やはり、ほかの山々とは違う」と感じられました。

エベレスト方面を遊覧飛行後、航空機は旋回してアンナプルナ連峰方面に向かいます。山々が近づいてくると、再び客室乗務員が慣れた様子でパンフレットを片手に「あれがダウラギリ」と説明してくれるので、分かりやすく楽しめました。頂上が「魚の尾」のような形をしていることから名付けられたマチャプチャレの山容も、しっかり見ることができました。

今回のフライト時間は1時間20分ほど。東のエベレストから西のダウラギリまで堪能することができました。世界最高峰の山岳風景を眼前にし圧倒される時間、それは、映画を観ているかのような非日常のすばらしい時間です。ご一緒したお客さまも、感嘆の声を上げつつ夢中で景色をご覧になっていらっしゃいました。遊覧飛行を終えてポカラの空港に降り立った時にも「良かったわ!」「すばらしかった!」と、高揚感冷めやらぬご様子でした。それはやはり、一度のフライトでエベレストからアンナプルナ連峰まで、世界最高峰のヒマラヤ山脈全体を一度に眺められる遊覧飛行を、チャーター機で楽しめたからこその経験だったといえるでしょう。

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滞在先のホテルから眺めるアンナプルナ連峰を染める朝日

標高約800メートルのポカラは湖畔の街です。昔の日本の農村風景を思わせる、のどかで素朴な景観が広がる山里です。ヒマラヤ観光の拠点ともなっており、外国人観光客も多いので、環境の整ったホテルもあります。3連泊したホテルは山々を望むヴィラタイプのリゾートホテル。客室にはテラスがあり、時間帯によって印象を変える山々を存分に眺めることができました。朝夕に、刻々と印象が変わっていく光景は、見飽きることがありません。ひと際目を引くのが正面にそびえるマチャプチャレです。一見するとマッターホルンに似ていると思いました。標高はマチャプチャレの方が2,000メートル以上高いのですが……。

  • イメージ イメージ ポカラの宿泊先「マウンテン・グローリー」からアンナプルナ連峰を望む
  • イメージ イメージ サランコットの丘から眺めるヒマラヤの白い峰々を一望に。いつまでも眺めていたい風景

ポカラをあとにして、再び航空機でカトマンズに戻り、リゾートとして知られるナガルコットに滞在します。翌日は世界遺産に登録されているかつての首都パタンを観光。カトマンズとは違った雰囲気の古都で、独特の宗教観を感じる「クマリの館」を訪れるなど、ネパールの奥深い文化にもふれることができました。

  • イメージ イメージ 世界遺産の街・古都パタン。旧王宮や寺院など歴史を伝える建築物が並ぶダルバール広場はゆっくりめぐりたい
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この20年で変わったことより安心してネパールへ

私は20年前にも、ネパールの旅を添乗した経験があります。今回再訪したことで、ネパールの環境が大きく変化したことを感じました。特に驚いたのは、ホテルやレストランなどの施設、サービスなどが各段にレベルアップしていることです。かつて不便を感じた「停電」はありませんでした。

エベレスト貸切遊覧飛行の旅は「ゆったり度2」の設定ですので、安心してゆったりと、スケールの大きな景観を存分に味わいながら旅行を楽しんでいただけます。“世界の屋根”と呼ばれるヒマラヤの山々を目前にする感動を、ぜひ多くの皆さまに経験していただきたいと思います。

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