[ クローズアップ ]
人にも地球にもやさしい
自然大国ニュージーランド
企画=木村聡
文=佐藤淳子
自然の王国、ニュージーランド。この国の奥深い魅力について、ニュージーランド航空日本支社長・永原範昭さんに、20年来の付き合いという当社旅行営業部部長の古澤雅史がうかがいました。
自然景観を守り続けるホスピタリティと革新の国
古澤 永原さんは、1990年から19年間ニュージーランド航空に勤められたあと、一度離れ、今年、日本支社長として戻られたのですよね。
永原 はい、14年ぶりに。
古澤 当時は、ニュージーランドを盛り上げるためにアイデアを出しあいましたね。またお仕事ご一緒できるのが楽しみです。
永原 ぜひ、盛り上げていきましょう。
古澤 早速ですが、今日はニュージーランドの魅力をうかがいたいと思っています。ベタな質問ですけど、永原さんはこの国のどこがお好きですか?
永原 そうですね、まず感覚的に日本人に近いことでしょうか。先住民であるマオリの人々と日本人の祖先を同じポリネシアンとする説があることを思えば、両者の考え方に共通項があっても不思議ではありません。マオリの文化の影響なのか、人々が皆穏やかでやさしいんですよ。一緒に仕事していても肩がこらないし、距離を感じません。
古澤 路上で車が立ち往生していたら、通りすがりのドライバーが車を停めて助けますよね。ツアー中もありうるシーンなので、参加のお客さまには、この国の国民性とともにご理解いただいているのですが、助け合いの精神が浸透していることがすばらしいですね。
永原 ホスピタリティに優れた人たちだと思いますね。
古澤 一方で、革新的な面もありませんか? 御社は、180度平らになるフルフラットシートを導入されたのも早かったですよね。
永原 2004年ですね。当時は画期的だったと思います。
古澤 今、エコノミー「スカイカウチ」というサービスも注目されていますね。
永原 はい、エコノミークラスの三席分のフットレストを180度フラットのレベルまで上げ、前の座席との間のスペースをベッドとして使っていただくサービスです。お1人でゆったり使っていただいてもよいですし、お子さま連れのお客さまにも喜ばれています。
古澤 これも御社が最初に?
永原 そうです。来年後半にはニューヨーク線で3段ベッドを2つ並べたスペース、エコノミー「スカイネスト」も他社に先駆けて設定する予定です。
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前の座席との間のスペースをベッドとして使える「スカイカウチ」
古澤 ホスピタリティと革新を体現されていますね。サステナビリティ(持続可能性)の取り組みにも積極的です。
永原 ニュージーランド航空は、バイオ燃料による飛行にもかなり早期から取り組みはじめました。
古澤 機内安全ビデオにもこだわっておられて。
永原 絶滅危惧種の飛べない鳥「タカヘ」を新しいすみかに運ぶというストーリー仕立てのビデオなどは大変注目されましたね。この国自体、元来あるものを守る、という意識が高い。そこには「地球の一部を分けてもらったのだから、それを大切にしないといけない」というマオリの精神があります。
古澤 自然との共存が上手なのでしょうね。酪農の国として、外来種を入れないための対策もなされているし、人気のハイキングコース「ミルフォード・トラック」にも入山制限が設けられている。旅行客は少々厳しく感じることがあるかもしれませんが、観光を持続させるには必要なことなのでしょう。
永原 その通りだと思います。
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「機内食の質と量には自信があります」と永原さん
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ゆったりしたシートのプレミアム・エコノミー
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仕切りでプライバシーが確保された「ビジネス・プレミア」。
「巣」をイメージしたデザイン
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ビジネスクラス「ビジネス・プレミア」では、
180度平らになるフルフラットベッドで快適な睡眠を
ほど良い都会に多様な自然 あらためて見えた魅力も
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多様な自然景観と動植物が魅力のニュージーランド
古澤 一度離れたことで、あらためて見えたこの国の良さもあるのでは?
永原 それは、なんといっても自然の多様さですね。もちろんほかの国にも自然の美しい場所はたくさんありますが、ニュージーランドには山、海、フィヨルド、氷河、太古の森、温泉などがあり、色だけ見ても、雪の白から岩肌のグレー、木々の緑、海や湖のブルー、火山の茶色など非常に豊富です。
古澤 さらに春には桜、秋には紅葉や黄葉が見られますね。
永原 特に日本人にとっては、そうした四季の変化も親しみやすい要素なのかもしれません。温帯にありながら熱帯の植物が育ったり氷河があったりと両極端なものがあるのも面白いところだと思います。
古澤 個人的にお好きな場所はありますか?
永原 街でいえば、オークランドが好きですね。都会でありながら海も山もすぐ近くにある。ほど良いサイズの都会という感じ。出身が神戸なので、親近感を覚えるのかもしれません。
古澤 疲れない都会、ですよね。人々がギスギスしていません。
永原 もちろん大自然がすぐ近くにあるクイーンズタウンも好きですし、サザンアルプスの入口となるクライストチャーチも美しい街です。結局、行った場所は全部好きになってしまうんですけど(笑)。
古澤 ハハハ。永原さんはワインがお好きですけど、何かおすすめは?
永原 セントラルオタゴに良いワイナリーがたくさんあります。昔はそれほど注目されていなかったのですが、今、ワイン産地の南限が南進していて、特にピノノワールの評価が上がっています。白ワインだとソーヴィニヨン・ブランが有名ですが、リースリングなどその他の品種もレベルが高いですね。
古澤 機内サービスも期待できそうですね。
永原 ぜひ。特にビジネスクラス、プレミアム・エコノミーでは、豊富なセレクションをご用意していますよ。
ゆったりつくられた旅程 ツアーだから楽しめる国
永原 御社のニュージーランドツアーの行程表を拝見しましたが、南島中心にマウントクックやミルフォード・サウンド、サザンアルプスなど、見ていただきたい要素が盛り込まれていますね。ハイキングを取り入れたコースがあるのもいいし、どれもゆったりつくられているのがまたいい。行程表を見ていると行きたくなります。
古澤 ありがとうございます。連泊にはこだわっているんです。マウントクックでは、景観をゆっくりお楽しみいただくため、滞在先に「ザ・ハーミテージ・ホテル」を選びました。
永原 天気が良ければ、部屋の窓からマウントクックのすばらしい景色が見られますね。まさにパンフレットの写真のとおりの美しさですよ。
古澤 当社では、歩く距離を目安に、短いものから「ゆったり度3」「ゆったり度2」「ゆったり度1」と3つのレベルのコースを設定しているのですが、1つの国で3コースを同時に設定したのははじめてのケースかもしれません。
永原 そうなんですか?
古澤 ニュージーランドだから実現できたのです。特に「ゆったり度3」のコースは、そもそもバリアフリーを考慮したインフラが整っていないと設定できませんし、現地の協力も不可欠です。まさに「人にやさしい国」の証です。
永原 なるほど、そうですよね。加えて、ニュージーランドは、見どころがたくさんあるのに、国内を陸上で移動する公共交通機関があまり発達しておらず、ヨーロッパのようにバスや電車で簡単に移動することができません。そういう意味でも旅行会社のツアーはとても価値があると思いますね。
古澤 ぜひ多くのお客さまにこの国を楽しんでいただきたいと思っています。今日はありがとうございました。
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人気のハイキングコース「ミルフォード・トラック」。入山制限があるため、混み合うことがない
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マウントクック国立公園内に建つ人気の「ザ・ハーミテージ・ホテル」
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ホテルにいながらにしてマウントクックを眺望。朝陽に照らされた山肌が美しい
自然大国ニュージーランド
ニュージーランドでの感動体験
どのコースで楽しまれますか?
南島の大自然の見どころがたっぷり盛り込まれているのがこのコースです。
まずお楽しみいただくのが、サザンアルプスの雄大な景観。アルプスの北の端、アーサーズ・パスへは、深い渓谷に沿って走るトランツアルパイン号で約2時間の鉄道旅です。サザンアルプスを間近に望むアーサーズ・パス国立公園で、氷河に削られたU字の渓谷や急峻な山々の壮観を堪能ください。
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アーサーズ・パスまでトランツアルパイン号で約2時間の鉄道旅
翌日はテカポ湖畔の観光をお楽しみいただきます。美しいミルキーブルーの湖の周囲を散策したあと、この国の最高峰、マウントクックを頂くマウントクック国立公園へ。ここでは、歴史ある「ザ・ハーミテージ・ホテル」に2連泊します。1884年の開業以来、登山家を含む多くの人々を魅了してきたこのホテルは、部屋にいながらにしてマウントクックが眺望できるすばらしい場所にあります。朝晩と表情を変える山の景観を楽しめるのも、宿泊のお客さまだけの特権といえるでしょう。
ニュージーランド観光の魅力の1つに、独特の動植物があります。氷河湖が連なる景勝ルート、サザンアルプス街道のドライブで向かうのは、南島最大級のテアナウ湖。その西南岸に位置する洞窟では、暗闇のなか、ツチボタルが青白く光り輝く幻想的な光景が見られます。バードサンクチュアリでは、飛べない鳥として知られる「タカヘ」との出あいが待っています。まるで地球儀のような丸い形と美しい色をもつ鳥との遭遇にご期待を。
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テアナウからはこの国屈指の景勝道路ミルフォード・ロードをドライブ。テアナウに2連泊するからこそのお楽しみ
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テアナウの洞窟にはツチボタルが青白く光る幻想的な光景が広がる
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飛べない鳥として知られるタカヘ
行程には、世界の旅行者を魅了するミルフォード・サウンドももちろん組み込んでいます。フィヨルドランド国立公園では、途中、その名のとおり鏡のように湖畔の山や森を映し出すミラー湖などを眺めながら、ミルフォード・ロードをドライブ。太古の森の散策も心地良いひと時となるでしょう。クライマックスは、断崖絶壁に囲まれたフィヨルドの遊覧観光です。気の遠くなるような長い年月をかけて氷河が削った深い谷と、そこに流れ込んだ海水。大自然がつくり出したその壮大な景観を、静かな水面をゆっくり進む船から堪能しましょう。
サザンアルプスの玄関口となるクライストチャーチ、ワカティプ湖のほとりの街クイーンズタウン、そして北島のオークランドと、この国を代表する魅力的な街々もお楽しみいただきます。はじめてニュージーランドを訪れる方にもおすすめのコースです。
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静かな水面を船で進むミルフォード・サウンド遊覧。1,000メートルを超える急峻な山々が青い海にそびえる
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氷河がつくったワカティプ湖の景観
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海や山にも近い都会オークランド
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コースにはマウントクックの遊覧飛行も。軽飛行機で空から壮大な景観を堪能
大自然は楽しみたいけれど歩く距離はできるだけ抑えたい、1つの場所にとどまってのんびりと現地の空気を味わいたい。そんなお客さまにぜひおすすめしたいのが、「ゆったり度3」のこのコースです。
マウントクック国立公園では「ザ・ハーミテージ・ホテル」に2連泊し、ゆったりと滞在をお楽しみいただきます。ここでぜひ味わっていただきたいのは、日帰りの観光客が立ち去ったあとの静寂の世界。鳥のさえずりだけが聞こえる静けさのなか、目の前に広がる山々の壮観をとくとお楽しみください。ホテルの滞在時間はたっぷり確保していますので、朝陽に染まる山肌や夕空を背景にした山脈など、さまざまなマウントクックの表情がご覧いただけるはずです。さらに、このコースでは、軽飛行機による遊覧飛行も組み込みました。万年雪を冠した山頂や氷河。マウントクックの全容を空からご堪能ください。
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いながらにして壮大な山々が望める「ザ・ハーミテージ・ホテル」
クイーンズタウンでは、湖を望むホテルにゆったり3連泊していただきます。翡翠の湖とも呼ばれるワカティプ湖を蒸気船で遊覧し、世界最南端のワイン産地セントラルオタゴではワイナリーを訪問。展望カフェで湖を見下ろしながらティータイムを楽しんだり、湖畔のレストランで昼食を味わったりと、いながらにして大自然を満喫する工夫を随所に取り入れています。
ゆったりとした時間の流れのなかでこの国の豊かな自然を味わいましょう。
自然大国ニュージーランドには、歩いて自然を楽しめる多様なハイキングルートが用意されています。このコースでは、そんな魅力的なハイキングを3回、各所で楽しむ行程としました。
1つめは、マウントクック山麓、フッカー谷を歩く約6キロのコースです。壮大な山の姿を愛でながら、吊り橋を渡り、氷河湖の一つであるミュラー湖を目指します。現地の自然に詳しい日本語ガイドが同行しますので、マウントクックリリーをはじめとする固有種の植物や、ニュージーランド特有の地形などについての興味深い説明に耳を傾けてください。
2つめは、テカポ湖畔を歩く約1時間のコースです。群生する紫のルピナスとターコイズブルーの湖、そしてサザンアルプスの山々が織り成す美しい景観を堪能しましょう。
そしてもう1つが、世界中のハイカーが憧れるミルフォード・トラック。全行程を歩くには4、5日を要するハイキングコースですが、今回の旅でご案内するのは、河沿いの平坦な登山道を約5時間かけてのんびり歩く魅力的なルートです。鳥のさえずりを聞きながら、専門の日本語ガイドとともにシダや苔に覆われた太古の森を進みます。山岳オウムとして愛されている「ケア」に出あうチャンスもあるかもしれません。
ご自身の足で大自然を体感したいという方には、ぜひともご参加いただきたいコースです。
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世界のハイカー憧れの「ミルフォード・トラック」。原生林のなかを専門ガイドとともに歩く