海外は何度も訪れているのにアフリカには行ったことがない。そんな声がよく聞かれます。もしかしたら漠然とした不安からアフリカ旅行のハードルを上げている人が少なくないのかもしれません。アフリカは広大で国もいろいろ。そしてそれぞれ魅力的です。まずは、観光地が整い、アクセスの良い南部への旅からはじめてみませんか?
広大なサバンナで暮らす野生動物、大迫力の自然景観、独特の植物―多彩な魅力にあふれたアフリカへの旅に二の足を踏む要素があるとしたら、物理的にも文化的にも遠い地ゆえの不安かもしれません。しかし、実際に現地を訪れれば、それが杞憂だったと気づく人は多いはずです。そこで今号では、アフリカ「入門編」として、アフリカ南部への旅をご紹介しましょう。
今年催行予定のツアーで訪れるのは、南アフリカとその隣国のボツワナ、ジンバブエです。この辺りは、世界3大瀑布の1つといわれるビクトリアの滝、四輪駆動車とボートでサファリが楽しめるチョベ国立公園、アフリカ大陸最果ての地である喜望峰など、外国人にも人気の観光地が多く、散策路やロープウェーなどのインフラが整っています。それはつまり、長く歩くなどすることなく快適に観光できるということ。旅程も連泊を中心にゆったり組んでいるため、体力に自信がない方も安心して旅をお楽しみいただけます。
もともとヨーロッパの貴族や富豪が休暇を過ごす地だった南部には、欧米の旅行者が求める快適さを備えたホテルが揃っています。ケープタウンでは英国式邸宅ホテル、ヨハネスブルグではアメリカンタイプのホテル、ビクトリアフォールズでは高級ロッジと、今回の旅では各地の特色あるホテルを選びました。快適さとともにそれぞれの個性も味わっていただけるでしょう。
はじめて訪れる地では食事も心配材料かもしれませんが、欧米の旅行者が多い南部には、洗練された洋食を提供するレストランやホテルが数多くあります。南アフリカの豪華列車、ブルートレインの食事のレベルは言わずもがな。南アフリカは新鮮な野菜やフルーツも豊富で、日本の遠洋漁業基地があるケープタウンでは、新鮮なシーフードも楽しめます。
人類発祥の地とされるアフリカ。そこで待つのは未知の感動です。「食わず嫌い」ならぬ「行かず嫌い」はもったいないことこの上なし。次こそ、旅先の候補にアフリカを加えてみてはいかがでしょうか。
南部アフリカの魅力として真っ先に挙がるのは、やはりここにしかない大自然の景観ではないでしょうか。
まずは、ジンバブエとザンビアにまたがるビクトリアの滝です。滝の名は、発見した探検家リビングストンの出身国であるイギリスの女王に因んだものですが、現地では「雷鳴とどろく水煙」を意味する「モシ・オ・トゥニャ」と呼ばれています。最大落差約108メートル、全長約1.7キロにおよぶ大地の裂け目に、ザンベジ河を流れ下ってきた大量の水が流れ落ちるさまは、その名が表すとおり、圧巻のひと言。今年の旅で訪れるのは、現地の春にあたる8月と10月です。滝の全貌を隠すほどの水煙となる雨季を過ぎ、水量が落ち着いてきたこの季節は、滝の迫力とともに、その全容もじっくり眺められることでしょう。現地でこそ味わえる滝の迫力を体感してください。
南アフリカでは、アフリカ大陸最南西端に位置する喜望峰に足を延ばします。ケーブルカーで、かつて灯台のあったケープポイントに登れば、眼下に広がるのは大西洋とインド洋が出あう真っ青な大海原。遠い昔、命をかけて海を渡った航海士たちに、あらためて思いを馳せるひと時となるでしょう。
南アフリカ第2の都市、ケープタウンでは、人気の観光地テーブルマウンテンを訪れます。この名の由来は、高さ約1,087メートルの岩山の頂上が平らで、テーブルのように見えるため。ちなみに、時に頂上を覆う雲は、テーブルクロスと呼ばれているそうです。ロープウェーで登った頂上からは、街や青い海が一望のもと。晴れた日にはケープポイントまで眺められます。
アフリカ旅行で欠かせない楽しみの1つに、野生動物を身近に見られるサファリがあります。サファリというと「装備が大変なのでは?」「1日中サバンナにいるの?」等々、いろいろ不安に思うことがあるかもしれませんが、ボツワナのチョベ国立公園で楽しむのは、泊まりがけのサファリツアーではなく、手軽な日帰りサファリ。特別な装備も体力も必要ありません。
日帰りといっても、キリンやシマウマなどお馴染みの草食動物だけでなく、ビッグ5と呼ばれるライオン、ヒョウ、ゾウ、サイ、バッファローとの遭遇も期待できる本格的なサファリです。迫力あるライオンの狩りなど、感動的な場面に遭遇することも少なくありません。また、ゾウの数の多さで知られるこの国立公園では、親ゾウが子どもに寄り添いながら歩く姿など、心温まる光景との出あいも期待できるでしょう。
この国立公園は、定番の四輪駆動車に加え、ボートでのサファリができることも特徴です。水辺には、多様な水鳥や、愛嬌ある風貌ながら実は動物界最強ともいわれるカバなどが生息。サバンナとはまた違う自然の営みを目にすることができます。午前と午後、それぞれ2〜3時間程のサファリで、充実した1日をお楽しみください。
広大なアフリカ大陸のなかで、世界有数の「花の楽園」と称されるのが南アフリカです。日本でお馴染みのガーベラ、プロテアなども南アフリカ原産の花。それを思えば、「花の楽園」という呼称自体は意外ではありません。ただ、この国の楽園は、規模が違います。
まずご紹介したいのが、南部のナマクワランドです。南半球に位置する南アフリカでは、日本が夏から秋に向かう8月後半から春の花が咲きはじめますが、なかでも見事な花絨毯となるのが西海岸沿いの砂漠地帯で、その広さたるや東京から岡山に相当する南北約600キロ。8月下旬、この荒涼たる広大な地が突如、花畑に変貌を遂げるのです。見渡す限りの大地が、黄色やオレンジ、白、紫と、色とりどりのワイルドフラワーに埋め尽くされる光景が想像できるでしょうか。
今年8月催行予定のコースでは、この奇跡ともいえる光景を逃さず観光いただくため、北から南に向け、開花前線とともにドライブ。現地ガイドのアドバイスを得ながら、見ごろの花園をじっくりめぐります。一面の花に囲まれると、「花酔い」と呼ばれる、酔ったような心持ちになることがあるとか。1年のうち2〜3週間しかないといわれるこの光景に、ぜひ酔いしれてください。
もう1つは、春真っ盛りの10〜11月に見頃を迎えるジャカランダです。特に「ジャカランダ・シティ」の愛称をもつ首都プレトリアでは、約7万本ものジャカランダが花を咲かせ、街全体を薄紫に染める幻想的な光景が広がります。実は、ジャカランダは南アフリカ原産ではありません。しかし、かつて外来種排除の動きが起きた際も、花を愛する地元住民の反対などで阻止されたように、ジャカランダはこの国に欠かせない存在となっています。
催行予定のコースでは、高台に建つユニオンビルから薄紫に染まる街を一望し、ジャカランダの並木が続くハーバート・ベーカー通りやガバメント通りを訪れるほか、ジャカランダが咲くレストランで昼食を楽しみます。滞在するプレトリアの英国式邸宅ホテルの庭でも、この美しい花をゆったりご観賞ください。