壮大なスケールの中国の大自然のなかから選りすぐった、圧倒的な水の景観を誇る2つの世界遺産を訪れる旅をご紹介します。中国四川省チベット高原の麓、標高2~3,000メートルにある神秘の渓谷・九寨溝(きゅうさいこう)。5,000メートル級の山々が連なる岷山(みんざん)山脈の奥にある天空の谷・黄龍。遊歩道が整備され、化粧室やベンチが随所に設置されて観光しやすくなりました。前回ご紹介した6月出発のツアーの好評を受けて、今回はご旅行に最適な爽やかな気候の9月にご案内します。
世界遺産黄龍は、四川省の省都成都から高速鉄道で黄龍九寨駅まで約2時間。さらに車で30分ほどという近さになり訪れやすくなりました。標高約3,600メートル、富士山ほどの高さの黄龍では黄葉も見られるかもしれません。ロープウェーで約10分、電気カートで黄龍一番の見どころの「五彩池」へ向かいます。目の前に広がるのは、黄金色の石灰岩に縁どられ、澄み切ったエメラルドグリーンの水を湛えた池が、谷の下までサンゴ礁のように重なりあう景観。絶景のなかの遊歩道をゆっくりと下りながら観光します。そして現れる「金沙舗地」。まるで天に昇る黄金の龍のように、水が小刻みに続く段差を流れていく光景は圧巻です。
九寨溝では好立地に位置する「ヒルトン九寨溝リゾート」に3連泊し、ツアー専用バスを利用して2日に分けてじっくりとご案内します。山々と原生林に囲まれ、大小100余りの澄み切った湖沼や滝が、約60キロにわたって連なる峡谷九寨溝。青く煌めく湖沼群をのんびりと歩きながら存分にご堪能いただきます。訪れる9月は、雨期のあとの水が流れ落ちるダイナミックな滝や、水量を増した湖の景観をお楽しみいただけます。コクや深みのある本場の四川料理もお楽しみいただきます。
『三国志演義』冒頭で「滾滾長江東逝水」と謳われるように、滔々と流れ東シナ海に注ぐ中国最長の大河・長江。
2009年の三峡ダムの完成により長江の水位は約100メートル上がり、ダム建設前の景観とは変わりましたが、雄大な眺めは見ごたえ十分。水位が上がったことで1万トン級の大型船が運行できるようになりました。紅葉の秋に長江のハイライト三峡を豪華クルーズ船で下る旅を、今年2月に視察で乗船した企画担当・武智義寛がご紹介します。
まずは重慶動物園でパンダを見学し、磁器口古鎮の古い街並みを散策したあとに、重慶港から3泊4日の船旅に出発します。乗船するのは約12,500トンの、5ツ星ホテル級の豪華な施設を備えたセンチュリー・パラゴン号。エグゼクティブスイートに宿泊し、快適な船旅をお楽しみいただきます。船上から眺める坂の街・重慶の夜景は圧巻の美しさです。翌午前、豊都に入港し冥土を意味する鬼城観光へ。天子殿に祀られている閻魔大王は必見です。
3日目は奉節に入港後、三国志の英雄・劉備終焉の地・白帝城を訪れます。李白の詩「早発白帝城」で知られる白帝城は、三峡ダム完成により四方を水に囲まれ、長江に浮かぶ小島になりました。白帝城の先にあるのが「瞿塘峡(くとうきょう)」。三峡のなかで最も幅が狭く両岸に聳え立つ切り立った断崖が迫力満点。その後小舟に乗り換え支流に入り、手つかずの自然美が残る狭い渓谷・神女渓(しんにょけい)を観光。「巫峡(ふきょう)」では、年中霧が多く水墨画のような世界を進み、ゆったりと流れる「西陵峡(せいりょうきょう)」を通過すると、翌日は終点の宣昌で下船し、三峡クルーズの旅は終わります。そしていよいよ三峡ダムへ。展望台から世界一の発電量を誇る中国最大のダムの全容を見下ろします。クルーズのあとは長江の河口でもある上海に立ち寄り、旅を締めくくります。