[ 海外特集③ ]

座談会
添乗員&企画担当者が語る

懐深き国ニュージーランド

肩の力を抜いて緑の森へ
満たされた心で日本に帰れます

企画=木村聡 文=佐藤淳子
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今年から来年にかけてのニュージーランドへの旅は、①「ゆったり度2」の周遊コース、②歩かず景色を楽しむ「ゆったり度3」のコース、③ハイキング主体のコースの計3コース。こうした多彩な旅が設定できるこの国の底力と魅力について、ベテラン添乗員2人と企画担当者が語り合いました。

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澄んだ空気と木漏れ日のなか自然に浸る原生林ウォーク

木村 ニュージーランドに関しては、昨年度、「ゆったり度2」「ゆったり度3」と、ハイキングに特化した計3コースを催行しました。まずは、添乗した奥村さんと山内さんにツアーの様子を伝えてもらおうと思います。

奥村 私は「ゆったり度2」の周遊コースに添乗しましたが、とても楽しい旅になりました。

木村 ミルフォード・サウンドやマウントクックなど、特に南島の見どころを盛り込んだコースですね。

奥村 どこも素晴らしかったですが、最も印象に残っているのが、ミルフォード・サウンド遊覧観光に向かう前に立ち寄った、ガン湖の原生林です。

木村 ちょっと意外な場所ですね。どのような点が良かったですか?

奥村 ほかのスポットに比べて地味といえば地味ですが、だからこそいいんですよ。ちょうど雨が降った後で植物がイキイキしていて、足元は枯葉と腐葉土でふわふわ。適度な湿り気を含む澄んだ空気と穏やかな木漏れ日のなか、平坦な道を1時間弱、散策をしましたが、大自然にこれほどどっぷり浸かって気持ち良く歩ける場所は、ほかの国ではあまりないのではないかと思いました。

木村 ミルフォード・サウンドへは、クイーンズタウンから片道5時間かけて日帰りするツアーが多いのですが、当社では、お客さまのお疲れを考慮して、観光の拠点となるテアナウの街に2連泊する旅程を組んでいます。ガン湖の原生林は、このゆったりした旅程だからこそ行ける場所なんですよね。

奥村 そうですね。ほかに観光客の姿もなく、静かに森を歩けて本当に気持ちが良かったです。

  • イメージ イメージ 「世界一美しい散歩道」といわれるミルフォード・トラック

木村 山内さんが添乗したハイキングの旅はいかがでした?

山内 2つのトラックを歩きましたが、まずミルフォード・トラックは「世界一美しい散歩道」といわれるだけあって本当に景色がきれい。本来4〜5日かかるトラックの最初の所だけでしたが、人も少なく、しかもほぼ平坦なので気持ち良く歩けましたね。ピクニックランチがとてもおいしかったです。チキンサンドがメインのシンプルなものでしたが、自然のなかでの食事は味が違いますね。

木村 マウントクック・フッカーバレートラックは?

山内 マウントクック山を眺めながら氷河に向かって進むルートで、湖畔で休憩したりしながら、まったく飽きずに歩けます。途中、ガイドさんが、ニュージーランド特有の花や鳥などについて興味深い解説をしてくれるので、皆さん、写真を撮りながら、とても楽しまれていました。

木村 今年の旅は、この2つのトラックに、渓谷美で有名なルートバーン・トラックを加えた3大トラックと、ミニハイキング2回という、ハイキング三昧の内容にリニューアルしました。歩くのが好きな方はぜひ参加していただきたいと思っています。

  • イメージ イメージ マウントクック・フッカーバレー・トラック。吊り橋や氷河湖など見どころが豊富
  • イメージ 植物に詳しいガイドが同行。随所での説明にお客さまも興味津々
  • イメージ 今年催行予定のハイキングのコースで新たに加わったルートバーン・トラック。渓谷美が楽しめる
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「諦めていたのに歩けた」お客さまのうれし涙に感激

木村 この国の自然には不思議な魅力がありますね。マオリの文化の影響もあって、入山人数を厳しく制限するなど、自然を守る意識がとても高いことも関係しているのかもしれません。

山内 必要な整備はしっかりされているけれど、人による管理は最低限に抑え、ありのままの自然を残している感じ。だから、人間がお邪魔させてもらっているという気持ちになります。

奥村 「ゆったり度2」のコースには、杖を使われる方も何人か参加されていたのですが、自分のペースで歩けて楽しかったという声をいただきました。なかには「歩くのを諦めていた主人が歩いている。思い切って来て良かった」と涙ながらにおっしゃる奥さまもいらして、私もガッツポーズしたいくらいうれしかったです。ガン湖の原生林でも、トランツアルパイン号乗車後のアーサーズ・パス国立公園内の散策や、「ザ・ハーミテージ・ホテル」宿泊時の自由行動の際にご案内したハイキングでも歩けたそうです。この国の自然には人を動かす何かがあるのかもしれません。

  • イメージ イメージ 「ゆったり度2」「ゆったり度3」のコースではマウントクック国立公園内に建つ「ザ・ハーミテージ・ホテル」に宿泊
  • イメージ イメージ 観光列車「トランツアルパイン号」。窓からサザンアルプスの壮観を眺望

山内 「こんなに長くバスに乗るとは思わなかった」とおっしゃるお客さまがいらして、最初はご不満を伝えられたのかなと思ったのですが、そうではなく「景色を見ているだけで全然飽きなかった」と。私自身、「ゆったり度3」のコースの添乗の際、歩かず景色を眺めるだけでもまったく時間を持て余さないなと感じました。

奥村 以前、ニュージーランドの人が、何かを見るために歩くのではなく、歩くこと自体を楽しむと言っていました。雨が降ってもそれさえ楽しむ。私たち日本人は、何かを見る、登り切るなど目標を決めがちですが、この国に来て、何も目的を持たずに楽しむのもいいなと思いました。特に、山が好きで昔よく歩いていたけど自信がなくなった、街歩きはもう疲れた、と思っている方はぜひ訪れてほしいです。

  • イメージ 「ゆったり度3」の旅ではマウントクック遊覧飛行で上空からの眺望も堪能
  • イメージ ワナカ湖畔の「エッジウォーター」は添乗員2人のおすすめレストラン
  • イメージ イメージ 「ゆったり度2」のコースで訪れるミルフォード・サウンド。クルーズでフィヨルドの雄大な眺めを堪能
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足腰の弱い人も自然にサポート 人の優しさにふれた旅

木村 この国はバリアフリーなどのインフラも整っていますよね。

山内 そうですね。バリアフリー対応の化粧室は随所にありました。「ゆったり度3」の旅でも、現地の人たちが、足腰の弱い方に対してごく自然に接してくれたことがすごくありがたかったです。まったく仰々しくなく普通に手を貸してくださる。バスやタクシーの運転手さんも親切でしたね。

奥村 確かに人が優しいですね。テカポ湖畔に「善き羊飼いの教会」という美しい小さな礼拝堂があって、今年のツアーで訪れた時、その教会がたまたま開いていたんです。教会の女性が、私たちが日本から来たと知ると、「日本からわざわざ来た人たちの思い出になれば」と言って、アカペラで「アメイジンググレイス」を歌ってくれたんですよ。皆さん感動されていました。

  • イメージ イメージ テカポ湖畔に建つ「善き羊飼いの教会」。湖を背景にした景色は絵はがきのような美しさ(ルピナスの花が見られるのは11〜12月)
  • イメージ アクセサリーやお守りとして翡翠も人気。マオリの伝統のデザインは、図柄で意味が異なる
  • イメージ 添乗員のおすすめのお土産は、健康効果が注目されているマヌカハニー。スプレータイプも

山内 この国は人口が少ないから、助け合わないと生きていけない、だから助け合うんだという話を聞いたことがあります。そういうこともあるのかもしれません。

木村 企画担当の立場から言うと、ハイキングに特化したコースや、「ゆったり度」別のコースが複数設定できる国はそう多くないんですよ。ニュージーランドは、それだけ懐の深い国ということもできると思います。

奥村 とにかくリラックスして過ごせる国。ぜひ目的を持たず肩の力を抜いて訪れてほしいですね。必ず満たされて帰国されるはずです。

  • イメージ イメージ 往復ニュージーランド航空を利用。飛行時間約10時間半で現地への旅も快適
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