［海外特集⑥ ］

星空に魅せられて PART 1：海外

黄金色に縁取られた湖と満天の星

秋彩のニュージーランドへ

企画=木村聡／稲葉友香文=佐藤淳子

マウント・ジョン山頂のマウント・ジョン天文台。世界最南端の天文台として知られる
©Dark Sky Project Ngāi Tahu Tourism

抜けるような青空とミルキーブルーの水を湛えた湖、そして、この美しい青の間を彩る黄葉樹―秋のニュージーランドには、絵画から抜け出てきたような美しい景色が広がります。空気が澄み、夜が長くなるこの季節は、「星空保護区」にも認定されている美しい星空の観賞も楽しみの１つ。賑やかな夏のシーズンを終えたニュージーランドは、この時期ならではの深い味わいにあふれています。

マウント・ジョン天文台で２夜連続の星空観測

ニュージーランドが観光客で最も賑わうのは夏。冬の北半球から陽光を求めて訪れる旅行者を、この国は美しく輝く自然とともに迎えてくれます。しかし、そんな賑やかなシーズンを終えたあとの秋も、実は旅するのに絶好の季節。静けさを取り戻した湖は、湖畔を彩る黄葉と青い湖水が鮮やかなコントラストを成し、雪を頂く壮大な山々を背景に、まるで絵画のような景観を見せてくれます。

空気が澄み、夜も長くなる秋は、星空を楽しむのに適した季節でもあります。星空観測の中核地となっているのは、南島のほぼ中央に位置するテカポ湖。黄葉の名所としても知られる風光明媚なこの地は、ＮＰＯ「ダークスカイ（旧国際ダークスカイ協会）」が認定した「星空保護区」としての顔も持ちます。「アオラキ・マッケンジー国際ダークスカイ・リザーブ」として認められたテカポ湖周辺のエリアは、約４,３６７平方キロメートルにおよぶ世界最大級の保護区。このエリアにある３つの村のなかでもテカポの村は、もともと人口が少ないうえに、光の公害、つまり光害の少ない場所として知られます。かつて白や黄色だった街灯を、より光の影響の少ないオレンジ色に変えたり、夜１０時以降はカーテンを閉じて家の灯りが外に漏れないようにしたりと、美しい星空を守るべく、住民たちが光害の軽減に尽力してきた場所なのです。

ニュージーランド最高峰のマウントクックをマウントクック国立公園から眺望
テカポ湖畔の「ペッパーズ・ブルーウォーター・リゾート」。客室の大きな窓からは湖が望める

テカポ湖の秋景色。湖畔に建つのは「善き羊飼いの教会」

秋のニュージーランドへの旅では、このテカポ湖の西側にそびえるマウント・ジョンの頂上、標高約１,０３１メートルのマウント・ジョン天文台を訪れ、２夜連続で星空を観賞します。南半球に位置するニュージーランドでは、南十字星をはじめ、北半球の日本からは見られない星や星座を見ることができます。日本で見られる星座も、南半球で見るとすべて逆さま。星の集合体である大小マゼラン雲も必見です。これらが「雲」と呼ばれるのは、多くの星などが集まっていて肉眼では雲のように見えるため。星が空を埋め尽くす光景は、忘れ難い印象を残すことでしょう。南十字星の近くには、「ニセ十字」と呼ばれる星の配列も。詳しい解説とともに眺める夜空は、驚きと感動に満ちています。

２つの湖畔ホテルに２連泊ずつ雪を頂く山々と湖の秋景色

秋の旅では、ニュージーランドの秋景色を満喫していただくため、滞在場所にもこだわり、２つの湖畔のホテルにそれぞれ２連泊する旅程としました。

１つ目が、星空観測の拠点ともなるテカポ湖畔の「ペッパーズ・ブルーウォーター・リゾート」で、お泊まりいただく客室からも美しい湖が眺望できます。ミルキーブルーとも呼ばれる湖の色は、氷河から溶け出した水に岩石の粒子が混じって生まれた独特の青。朝夕と表情を変えるテカポ湖畔の秋景色を、背後にそびえるサザンアルプスの壮観とともに存分にお楽しみください。朝は、静けさに満ちた湖を望みながらの朝食で、清々しい１日のはじまりを。湖畔の人気スポットでもある「善き羊飼いの教会」へも徒歩約１０分の距離なので、朝夕の散策も楽しいものになるでしょう。

そしてもう１つが、ワナカ湖畔の「エッジウォーター・ワナカ・ホテル」です。静けさとクリスタルブルーの湖水を湛えたワナカ湖は、黄葉の名所としても名高い場所。すべての客室にバルコニーもしくはパティオが付いているため、部屋にいながらにして、ポプラの木々が一斉に黄金色に色を変えた湖畔の風景を堪能いただけます。同ホテルは、四季折々の食事が楽しめるレストランを有することでも知られ、夏のツアーで食事に立ち寄ったお客さまにも大変好評いただきました。

ワナカ湖の秋景色は、クルーズによる遊覧でもお楽しみいただきます。雪を頂く山々と黄葉に彩られた湖を、穏やかな湖面を進む船から満喫ください。ワインの特産地でもあるワナカでは、ワイナリーを訪れ、ワインテイスティングもお楽しみいただく予定です。

湖畔を黄金色のポプラ並木が彩るワナカ湖をクルーズで遊覧。湖面から顔を出す「一本木」の背景には雪を頂くサザンアルプスの壮観

ワナカ湖畔の「エッジウォーター・ワナカ・ホテル」。朝夕には気持ちの良い散策が楽しめる
ワインの産地としても知られるワナカ。ワイナリーではワインテイスティングを

日本・ニュージーランド間は、両国を直行便で結ぶ唯一の航空会社、ニュージーランド航空を利用します。オークランドまでの飛行時間は約１０時間半。時差も約３時間と、お体に優しい快適な旅です。賑やかな夏とは趣の異なる秋のニュージーランドへ、この季節にしか出あえない自然景観と、その自然がもたらす恵みを味わう旅はいかがでしょうか。