その⑰ 添乗中のハプニングから心温まるエピソードまで

身延山ロープウェイで空中散歩
河口湖もみじ回廊と
恵林寺の紅葉 2日間
2021年11月催行

大野 さおり おおの 添乗員 文=小野瀬宏子

色づく紅葉に 秋の訪れを感じて

１日目はまず、武田信玄ゆかりのお寺である恵林寺で紅葉を観賞。今回のツアーにご参加いただいたお客さまは四名さまと比較的、少人数だったこともあり、和気あいあいとお寺の見学をお楽しみいただけました。次に訪れたのは、河口湖もみじ回廊。約１５０メートルにわたり、紅葉のトンネルが続きます。こちらでは出店が立ち並び、お祭りのようににぎやかな雰囲気でした。到着した頃に、少し曇ってきため、残念ながら富士山は見られませんでしたが、色づきはじめた紅葉の美しい彩りに皆さまご満足いただけたご様子でホッとしました。

山頂で待っていたのは 予想外の雨の恵み！

翌朝は雨でしたが、お昼過ぎから曇りになる予報。そこで、元々は午前中に予定していたロープウェイ観光を、昼食を早めて午後に変更することをお客さまへご提案し、皆さまにご賛同いただけました。昼食後、「どうか少しでも景色が見られますように……」という思いを胸に、いよいよロープウェイに乗車。ぐんぐんと上っていきますが、いつまでたっても雲に囲まれて、あたり一面は真っ白。お客さまをがっかりさせてしまったことが本当に悔やまれました。

しかし、山頂駅に降り立つと、薄いベールのように靄がかかり、幻想的な雰囲気です。「こういう感じも意外と良いわね」とお客さまも段々と明るい表情に。さらにご希望されたお客さまを、階段を少し上ったところにある奥の院へご案内しました。静寂に包まれたなか、金色の仏像が雨の雫でつややかに輝き、いっそう神々しく見えるようでした。

帰りのロープウェイに乗るころは、少し天候が良くなって、遠くの身延町の景色や雲海を望むことができました。美しい眺めにお客さまも盛り上がり「もうちょっとこの景色を見ていたい！」という声も上がったほど。いつもとは違った空中散歩を旅の最後に楽しんでいただけて、ようやく私の心も晴れました。

• 身延山、奥の院にある仏像。靄が神秘的な演出に