[ 世界を旅する・ポーランド編 ]

黄葉に彩られたヴィスワ河沿いに佇む
ヴァヴェル城

企画=小松洋介 文=小野瀬宏子
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森を多く有するポーランドでは、木々が色づく季節を「黄金の秋(ズウォーティ・ イェシェニ)」と呼びます。美しく杏が色づく黄葉が見られるのは、わずかな期間。だからこそ、その時期の訪れを人々は待ち焦がれています。

秋景色を楽しめる代表的な場所は、ポーランドが誇る作曲家、ショパンの銅像がシンボルのワルシャワのワジェンキ公園。色鮮やかな木々は、まるでカーテンのよう。そのなかを歩いていると、芸術家も秋の風景から創作のヒントを得たのかもしれない…という思いも浮かんできます。

そして、ワジェンキ公園とは違った風情を堪能できるのが、古都クラクフのヴァヴェル城です。とうとうと流れるヴィスワ河沿いに立つシックなレンガ色の城の周りを、山吹色や橙色に葉を染めた木々が囲み、彩りを添えます。

ポーランドの秋の美しさをいっそう体感するなら、対岸からの眺めは必見。趣きのある古城、風に揺れる色づいた木々、河面に映し出されたきらめく黄葉が、ここでしか出あえない色彩豊かな秋景色を見せてくれます。中世の王族の気分を味わえる馬車に乗り、ゆったりと優雅な散策を楽しんでみるのもおすすめ。その情景は、心に輝きつづける黄金色の旅の思い出になるでしょう。