[ 世界を旅する・イタリア編 ]

周囲の大地は侵食が進みここだけが残された、天空の街チヴィタ・ディ・バーニョレージョ

企画=木村聡 文=高橋泉
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そびえ立つ断崖絶壁の上に佇む小さな街、チヴィタ・ディ・バーニョレージョ。長さ約300メートルの細い橋を渡ると、その街に入ることができます。外とつながる道は唯一、この橋だけ。周囲を切り立った崖に囲まれて外界と隔絶された、まさに天空の城。けれどその荘厳な外見に反して、橋の先にある城門をくぐるとはじまる街並みには、意外にも小さなかわいい家々。古代からの歴史ある街ですが、中世の名残りもあり独特の雰囲気が漂っています。教会の前にはカフェや土産物店が集う小さな広場があり、500年以上続く老舗オリーブオイル店もあって賑わっています。

必見は街のはずれから眺めるパノラマの展望。時に霧が立ちこめるはるか下方の谷。その先に緑の田園風景が広がっています。この街をエトルリア人が築いたのは古代ローマ時代以前の約2,500年前。彼らが崖の上を選んだのは街を外敵から守るためでした。以来その周囲の崖は雨風や地震で浸食を繰返し、現在の姿に至ります。