［クルーズ特集］

地中海、ジブラルタル海峡、
アドリア海、ガラパゴス諸島

船内ライフも満喫できる４つのコース

珠玉の客船で心躍る寄港地へ

企画=寺澤欣吾／阿部遥奈文=島川渚

ベニスの運河を眺めながらの出港ができる、シルバーシー・クルーズの客船

客船クイーン・エリザベスが８年ぶりに地中海へ

点と点を結ぶ飛行機の旅とは違って、船旅では目的地との出あいと別れに余韻があり、ゆったりとした時間が流れています。さらに優雅にクルーズを味わいたいなら、乗る客船もこだわって選びたいもの。船内生活も楽しみになる、選りすぐりの客船で訪れる地中海、アドリア海、ガラパゴス諸島など珠玉の海や寄港地を訪れる４つのクルーズコースを紹介します。

１つ目は、英国の客船会社、キュナードラインが運航する客船クイーン・エリザベスで地中海をめぐるコース。アジアへの寄港が増えている同船の８年ぶりの地中海クルーズとしても注目です。かつては国王や女王、映画スターたちがキュナードラインの客船で大西洋を横断、そこから生まれた伝統のクルーズライフを楽しみましょう。

船旅の伝統を感じる客船クイーン・エリザベス

バルコニーとバスタブの付いた客室プリンセススイート

寄港地の見どころの１つは地中海の「美の島」とも呼ばれるコルシカ島。海と山の両方の風景を味わえるコルシカ鉄道や、この島で生まれたナポレオンゆかりのオーステルリッツ広場などを訪れます。そのほか、ガウディの建築や作品を堪能できるバルセロナをはじめ、芸術を堪能できるのもコースの特徴。アンティーブではピカソ美術館を、フィレンツェではリニューアルしたウフィッツィ美術館でルネッサンス期の名画を見学します。バレンシアでは近未来的な建築が集まった芸術科学都市といわれる街並みも見どころ。地中海沿いの街でさまざまな芸術にふれ、心潤う時間をお過ごしください。

山と渓谷が織り成す島の風景を楽しめるコルシカ鉄道
百年の時を経て完成を目指すサグラダ・ファミリア

ジブラルタル海峡の航海もハイライト

２つ目は、キュナードラインの客船クイーン・ヴィクトリアでイギリスを出港し、大西洋、とりわけスペイン、ポルトガルを丁寧にめぐった後に西地中海を航行するコースです。航海中の目玉はジブラルタル海峡クルーズ。海峡の最も狭い場所は約１４キロで、好天なら一方にヨーロッパ大陸、他方にアフリカ大陸が見えることでしょう。海峡を通るだけなく、国際色豊かな要衝の街ジブラルタルにも寄港する希少なクルーズです。

同船の魅力は、１歩足を踏み入れると感じられる「英国流の優雅さ」。このコースは合計４日間の終日航海があるので、エレガントなクルーズライフを存分に楽しめます。キュナードラインの客船では、長めのクルーズになればなるほど、クルーズの達人ともいえる乗客たちが増えていきます。それは、シックな雰囲気の船内で好みのイベントや趣味をゆったりと楽しみながら、暮らすような気分で船旅ができるからです。このクルーズでも、生演奏が流れるホールで白手袋をした給仕がサービスしてくれるアフタヌーンティーや、壮麗なダンスホールで行われる華やかなパーティーなど、英国伝統のスタイルもご堪能ください。

英国らしい伝統とエレガンスを感じる客船クイーン・ヴィクトリア

伝統のアフタヌーンティーは船内ライフの楽しみ
元は要塞として発展した英国領のジブラルタル

今や貴重になったベニス出港シーンを堪能

３つ目は、小型の高級客船を中心に運航するシルバーシー・クルーズ社の客船シルバー・スピリットでアドリア海とエーゲ海を訪れるコース。同社の客船は世界的に評価が高く、リピーターが多いといわれています。全客室がスイートで、バトラー（執事）を配しているのも特徴です。

このクルーズのハイライトの１つは、水の都ベニスでの出港シーン。この印象的な風景は、大型の客船がベニスに出入港できなくなったため、見られる機会が少なくなりました。日中の観光後、灯りに煌く夜のベニスの街を眺めながら船は出港します。クロアチアでは、複雑に入り組んだ海岸線と小さな島が多く、小型船だからこそ寄港できる美しい港や名所が待っています。また、クルカ国立公園の大自然やケファロニア島にある神秘的な青い光に包まれるメリッサニ洞窟も見どころ。観光では専用車をご用意しています。

同船では一部銘柄を除き、お酒を含むお飲み物が代金に含まれています。船内スタッフが皆さまのお好きな飲み物を覚えてくれたり、日本語であいさつしてくれたり、細やかな気遣いにも出あえるかもしれません。メインダイニングのほか、フランス料理、イタリア料理、和食など、多彩で質の高い船内の食事もお楽しみに。

全室スイート客室の豪華客船シルバー・スピリット

クロアチアの大自然を味わえる美しいダルマチア式海岸
ギリシャのケファロニア島にあるメリッサニ洞窟でボート遊覧

ガラパゴス諸島専用の小型高級客船が誕生

４つ目は、ガラパゴス諸島専用の客船シルバー・オリジンのコースです。生命が独自の進化を遂げた動物たちの楽園であり、チャールズ・ダーウィンが１８３５年に訪れて『進化論』の着想を得た場所といわれています。ガラパゴスで最も豪華といわれる同船は２０２１年にデビュー、３泊から４泊のクルーズが主流のなか、７泊８日のクルーズで貴重な島々をゆったりとめぐる唯一の客船です。上陸観光では公認のガイドチームが案内。ヘノベサ島、フェルナンディナ島、エスパニョラ島などを訪れ、貴重な固有種などを観察します。訪れる島によって見られる動物が異なる絶海の孤島で、色や形が独特に進化した動物たちの姿に魅せられることでしょう。

船内は床から天井までの大きな窓が多く、ガラパゴスの景色をいつでも堪能できる仕様になっています。レストランでは南米エクアドルの料理を含め、インターナショナルなメニューをシルバーシーらしい質の高さで味わうことができます。秘境への旅がさらに思い出深くなる、こだわりの高級客船で出かけてみませんか。