[ 海外特集 ]
Musei Vaticani
ミケランジェロもラファエロも
心ゆくまで貸切りで堪能する
バチカン美術館
企画=仮屋伶衣子/安部川帆南/篠原陽子/寺澤欣吾
文=佐藤淳子
唯一無二の空間を特別貸切り 静かに芸術と向き合う時間
世界最小の国、バチカン市国。わずか0.44平方キロほどのこの国が、芸術の宝庫として知られる所以はバチカン美術館にあります。歴代ローマ教皇のコレクションである、この膨大な芸術品を観に訪れる人は年間数百万人。そのため、通常の見学時は大勢の人で賑わうのが常で、過去の経験を「人の頭越しでの鑑賞だった」と振り返る人も少なくありません。
-
システィーナ礼拝堂の祭壇の奥に描かれた『最後の審判』。ガイドの解説を聞きながら鑑賞できるのは大変貴重な機会
そこで三越伊勢丹ニッコウトラベルでは、静かな空間で、この至高の芸術をご鑑賞いただくため、当社のお客さまだけの貸切り見学ツアーをご用意しました。
バチカン美術館は、システィーナ礼拝堂を含め20以上の施設の総称です。イタリア語の名称(Musei Vaticani)が複数形なのはそのため。教皇による収蔵・展示が本格的にはじまったのは、1503年から約10年にわたり在位したユリウス2世の時代でした。当時のイタリアでは、のちにルネッサンスと呼ばれる文化の潮流が起こっていて、この時期に活躍したのがミケランジェロやラファエロです。バチカン美術館では古代から現代に至る夥しい数の作品が展示されていますが、そのなかでもぜひとも観ていただきたいのは、やはりこの時代の傑作です。
-
バチカン市国にそびえるサン・ピエトロ大聖堂
-
歴代ローマ教皇のコレクションを収蔵したバチカン美術館
ガイド解説で より感慨深い鑑賞に
見どころを、順を追ってご紹介しましょう。迫力ある天井画の描かれた「燭台のギャラリー」を通り過ぎると、迎えてくれるのは「タペストリーのギャラリー」です。必見は進行方向左側。ラファエロの弟子たちが描いた下絵をもとに、ベルギーの工房で織られたタペストリーは繊細の極みです
さらに進むと、奥行き約120メートルの通路の両側に40枚の地形図がズラリと並ぶ「地図のギャラリー」があります。16世紀の地形図は、イタリア半島を縦貫するアペニン山脈の東側を進行方向右、西側を左に配置されているので、イタリアを南から北上するように見学できます。
-
奥行き約120メートルの「地図のギャラリー」には、通路の両側に40の地形図が並ぶ
その先一番奥に待ち構えるのがシスティーナ礼拝堂ですが、その手前には、4つの部屋からなる「ラファエロの間」があります。若くして才能を発揮したラファエロが、教皇の居室だったこの場所の内部装飾を任されたのは20代の時。人類の英知をテーマにした『アテネの学堂』は、当時の代表作です。プラトンら古代ギリシャの賢人を描くにあたり、ラファエロがモデルにしたのは自分と同時代に生きるミケランジェロやダ・ヴィンチだったとか。本人と思しき姿も描かれています。
-
「ラファエロの間」の必見は賢者を描いた『アテネの学堂』
そして圧巻は、なんといってもシスティーナ礼拝堂です。天井には、ミケランジェロが4年の歳月をかけて描いた大迫力のフレスコ画。当初ユリウス2世の依頼に難色を示したミケランジェロでしたが、強い説得に折れる形で引き受けると、天地創造など旧約聖書に題材をとった9つの場面をほぼ1人で完成させ、人々を驚嘆させました。祭壇奥には、その20数年後に描かれた『最後の審判』があります。
なお、礼拝堂内では私語が禁止されており、通常、ガイドは入室して解説することができませんが、貸切り見学では特別に同行しての説明が許されます。実際の絵を指差しながらの解説が、鑑賞をより感慨深いものにしてくれるでしょう。
ゆったり度ごとに見学 一般非公開エリアの一部も
貸切り見学では、非公開エリアの一部を特別に観ることもできます。その1つが「ブラマンテの階段」。バチカンの主任建築家に任命されたブラマンテが1505年に設計したもので、現在、出口付近に設置されている同名の階段の原型です。現代の階段に引き継がれたオリジナルの美しさをとくとご鑑賞ください。
-
現代のブラマンテの階段。貸切り見学では特別にこの原型となった階段が見られる
ツアーでは「ゆったり度」別に見学コースを設定しています。椅子で休みながら鑑賞いただくこともできますし、歩行距離を抑えたいお客さまは、主要な見どころに絞り、バリアフリールートでご見学いただくことが可能です。健脚度に応じたコースをお選びください。
また、ローマ滞在時の旅程には、音楽を楽しみながらの夕食もセットでご用意いたしました。レストラン「タナグラ」で、イタリア料理とともに楽しむのは、本場イタリアの歌手によるカンツォーネです。永遠の都ローマで、贅沢なひと時をぜひ。
-
カンツォーネが楽しめる「タナグラ」
※「ゆったり度3」のコースは、システィーナ礼拝堂を中心にバリアフリールートでご案内するため、「ブラマンテの階段」「ラファエロの間」の見学はございません。
ミケランジェロもラファエロも心ゆくまで貸切りで堪能するバチカン美術館
イタリア初訪問の方から再訪の方まで楽しめる
バチカンを楽しむ魅惑の5コース
貸切りでバチカン美術館を鑑賞し、夜はカンツォーネを楽しみながらの夕食。この魅力的な観光を組み込んだ旅を、全部で5コースご用意しました。
〈イタリア周遊コース〉
3都市(ローマ、フィレンツェ、ベニス)
+トスカーナの邸宅ホテル宿泊
ベニス、フィレンツェ、ローマというイタリアの3都市を訪れるイタリア周遊の旅です。フィレンツェからは、風光明媚なオルチャ渓谷に足を延ばし、トスカーナ地方特有の穏やかな田園風景のなかへご案内します。トスカーナ地方でのお泊まりは、温泉保養地サンカッシャーノ・デイ・バーニの優雅な邸宅ホテル。
清々しい空気のなか、ゆったりと滞在をお楽しみいただけることでしょう。旧市街中心部のホテルに滞在するフィレンツェとベニスでは、朝夕の街歩きもおすすめです。
はじめてイタリアを訪れる方はもちろん、久しぶりの海外旅行の渡航先として、馴染みのあるイタリアをお選びになる方にもぜひおすすめしたいコースです。
-
ドゥオモを中心に広がるフィレンツェの街
〈マルタ島訪問コース〉
ローマとマルタで歴史と芸術を満喫
カラヴァッジョ作品にも出あえる旅
マルタ島を組み合わせた旅程です。碧き地中海を眺望するホテルに5連泊し、世界遺産の首都ヴァレッタはもちろん、かつての首都で「静寂の街」とも呼ばれるイムディーナ、のどかな雰囲気の漂うゴゾ島、港町マルサシュロックなどにも足を延ばします。
マルタ島はローマと縁が深く、オスマン帝国との戦いに勝利したマルタ騎士団の本部はローマにあります。「マルタ騎士団の館」が建つのも騎士団がローマに所有する敷地の1つですが、実はこの建物、扉の鍵穴からサン・ピエトロ寺院が見えるというユニークなスポットです。「イタリアにあるマルタ騎士団の敷地からバチカン市国を見る」という珍しい体験をぜひお楽しみください。
マルタ島の聖ヨハネ大聖堂や、ローマのボルゲーゼ美術館など各所でカラヴァッジョ作品を鑑賞する機会があるのもこのコースの魅力です。
-
マルタ共和国の首都ヴァレッタは美しき要塞都市
〈ローマ滞在コース〉
5連泊でローマをじっくり楽しむ
人々の生活にふれる下町散策も
ローマに5連泊するコースです。ポイントは、イタリア語で「テヴェレの向こう」を意味するトラステヴェレ地区での滞在。ローマは、街を南北に流れるテヴェレ河で二分されますが、コロッセオなど名だたる観光スポットが点在するのは主に河の東側で、対岸のトラステヴェレ地区は、その名のとおり、中心部から離れた、いわば下町的な界隈です。昔ながらの工房やしゃれた雑貨屋などが立ち並ぶこのエリアの散策は、ローマの人たちの生活にふれる機会にもなるでしょう。
ローマでは、コロッセオやフォロロマーノなど、有名どころのほか、週末だけ限定で公開されている黄金宮殿も見学します。暴君と呼ばれたネロ皇帝が築いたこの宮殿の遺構でかつての絢爛豪華な館に想いを馳せるのも一興ではないでしょうか。
-
散策が楽しいローマの下町トラステヴェレ地区
〈体力に自信がない方も安心の周遊コース〉
3都市をめぐる「ゆったり度3」の旅
食事やティータイムも景色とともに
「ゆったり度3」の旅では、ミラノ、フィレンツェ、ローマのイタリア3大都市にそれぞれ連泊し、各都市の選りすぐりの見どころをゆったりめぐります。イタリアの観光地では、街の中心部への、大型バスの進入が制限されていることが少なくありませんが、ミニバンやタクシーなどの活用により徒歩での移動は最小限に抑えます。また秋に彩られたトスカーナ丘陵の風景をドライブで満喫するなど、体力にご不安のある方も安心してご参加いただける旅程となっています。
食事や休憩で訪れる場所は、景色が楽しめるレストランやカフェなどを選びました。
-
コロッセオは古代ローマ遺跡の代表格
〈船旅満喫コース〉
地中海クルーズでマジョルカ島へ
スペイン最古の木造列車で山を楽しむ
5泊6日の地中海クルーズと組み合わせたコースでは、ローマ滞在の前に、最新鋭の客船「MSCグランディオーサ」でスペインのマジョルカ島を訪れます。美しい海岸線で知られるマジョルカ島ですが、島内部には壮大な山岳風景が広がります。スペイン最古の木造景勝列車「ソイエール鉄道」で、世界遺産のトラムンタナ山脈の絶景をお楽しみください。手入れの行き届いた木造の客車は風情たっぷりです。
スペイン王室の避暑地でもあるこの島は、ショパンがひと冬を過ごしたことでも知られています。彼が滞在したバルデモサ村では、ショパンが滞在したカルトゥハ修道院などゆかりの場所を訪れます。イタリア、スペイン2つの国で芸術をご堪能ください。
-
MSCグランディオーサでマジョルカ島へ