[ 三越創業350周年特別企画① ]

古澤雅史 南イタリア視察記

南イタリアの隠れ家ホテルで過ごす
とびきりのセレブリティ体験

企画=古澤雅史 文=古澤雅史
  • イメージ イメージ 夕陽に染まる世界遺産マテーラの洞窟住居。この時間まで滞在する人は少ない 

温暖な気候とミネラル、そして新鮮な魚介類と色とりどりの野菜や果物は、紺碧の地中海と眩い太陽の贈り物―。ヨーロッパの人は、そんな「天然の薬」を求めて地中海へ出かけていきます。初夏の特別企画は、南イタリアの「秘密の隠れ家」が舞台。交通手段が限られ、不便さがゆえの隔絶感、あるいは日常との距離感を感じていただけることでしょう。もちろん、太陽はイタリアのどこよりも燦燦と輝き、近くに感じられるはずです。

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セレブの隠れ家 アマルフィ海岸の絶景を望む街

透き通った青い海に向かい、垂直に切り立った崖。複雑に入り組んだ海岸線に、時折姿を現す小さな街。斜面に植えられたレモンやオリーブと荒々しい岩肌のコントラスト。ソレントとサレルノの間、約30キロにおよぶアマルフィ海岸は、イタリア屈指のリゾートとして知られていますが、大型ホテルは見当たらず、5つ星であっても小ぢんまりした規模ばかり。幾多のセレブリティたちを虜にしているのは、こうした隠れ家的な雰囲気が漂っているためなのでしょう。

  • イメージ 世界遺産アマルフィ海岸の街ポジターノ。カプリ島とともに貸切ボートで海からアプローチ
  • イメージ 「カルーソ」のインフィニティプールがつながるのは、絶景のアマルフィ海岸

かつての宮殿を改装してつくられたホテル「カルーソ」は、いまや世界でも当たり前になったインフィニティプールを早い段階から取り入れました。プールに空の青が映り込み、アマルフィ海岸を見下ろしながら、地中海に溶け込んでいく―。

地中海から昇る太陽の光が差し込み、気持ちの良い朝を迎えました。朝食レストランは絶景テラス。キラキラと光り輝く海を見ながらフレッシュなジュースとカプチーノ。運ばれたオムレツは名物モッツァレラに包まれ、贅沢な時。おしゃれな陶器の食器はこの近くの名産品です。今回、ラヴェッロで見かけた陶器には、同じく名産のリモンチェッロが入っていました。爽やかな色合の陶器に清々しいリモンチェッロの風味がマッチングし、お土産にも最適。ツアーでは、この陶器やリモンチェッロづくりの体験も選べるようにしました。

  • イメージ 「カルーソ」の朝食は、アマルフィ海岸を望むバルコニーで
  • イメージ 名物リモンチェッロの入ったアマルフィ地区でつくられるマヨリカ焼きの陶器
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憧れの青い海カプリ島とポジターノは貸切ボートで

温暖な気候と抜群の景観を誇るカプリ島は、歴史的にも古代ローマの初代皇帝アウグストゥスやティベリウスが逗留していたと伝えられ、島の過ごしやすさは折り紙付き。いたるところから見える碧い海とむき出しの岩肌、穏やかな波に浮かぶボートの群れが印象的でした。

アマルフィ海岸にボートでしか行けないレストランがあると聞き、立ち寄ってみることに。到着すると、数多のボートが停まっており、家族連れやカップルが食事を楽しんでいました。南イタリア名物のウニのパスタをいただいてみましたが、ふんわりとろけるような風味が広がり、口のなかまで贅沢な気分になりました。定期船があるわけではないので、ここへ行くのはプライベートボートのみ。ツアーでは、アマルフィ海岸のポジターノとカプリ島、このレストランを貸切ボートでめぐります。

  • イメージ イメージ ボートでしか行けないレストランで食事をするイタリア人女性。奥には、レストラン客を待つボートが待機
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絶景のマテーラに泊まりたい

ここ数年、イタリア人も絶賛するマテーラの街。9,000年以上前から人が居住してきた街としては、ヨーロッパ最古といわれます。 しかしながら、交通の便が悪く、車でしか行けない街で、実はイタリア人でも行く機会が少ない場所。旧市街地区は、石灰質の岩肌につくられた「サッシ」と呼ばれる洞窟住居群や、教会が所狭しと並んでいます。

この原始的な洞窟住居は、1950年代に衛生上の問題などの理由から、住民を強制退去、移住させる法案が通りました。その後、文字どおり空洞化した洞窟住居跡は丁寧に保存、修復され、現在では宿泊施設やレストラン、商店として再利用されています。特異な景観は映画の撮影場所として利用されるようになり、2017年から2021年の4年間だけでも140本以上の映画、テレビ番組などの撮影が行われたとか。最近では007シリーズ最新作の冒頭シーンに使われました。

ホテルが少ないこともあり、夕陽に染まるマテーラの景観は宿泊者の特権です。徒歩でサッシ地区の展望ポイントへ。白い岩肌がピンク色に染まり、夕陽に輝くマテーラの景観は特筆すべきもの。実際に泊まってみると、夜は妖しく神秘的に輝き、朝は青空に映え、都度色彩を変えるこの街は宿泊してこそという思いが強くなり、旧市街のホテルとも交渉し、マテーラに泊まる旅が実現しました。

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深南部プーリアと世界遺産カステル・デル・モンテ

イタリアの素朴な田舎というイメージが強かったプーリアでは、近年注目のホテル「ボルゴ・イグナシア」を視察しました。プーリアの村をイメージしてつくられたリゾートホテルで、敷地内にはヴィラが立ち並びます。守衛のいるゲートがゆっくりと開くと白亜の建物が目に入ります。ロビーや客室も白で統一されており、エレガントな雰囲気。ここを拠点に特別企画をご用意しています。

  • イメージ イメージ 小ぢんまりしたトゥルッリ地区の村を貸切り。きのこの形をした家で休憩も可能

プーリアの大地に忽然と現れるのが謎の世界遺産カステル・デル・モンテ。8角形の建物はいまだ目的などがはっきりしていません。この5月にはグッチがショーを行ったことでも話題となりました。グッチがカステル・デル・モンテをショーの場所に選んだのは、コレクションのテーマが宇宙だったためといいます。この建物は天文学幾何学的に計算し尽くされた建築物であるとのことから、そのスピリチュアルな力をショーに込めたのだとか。

この城の位置を選び、設計にも携わったであろう、神聖ローマ帝国皇帝フェデリコ二世が死後約800年経って、自分の城を舞台にファッションショーが行われたと知ったら……。

通常、夕刻にはクローズするこの城を夜間に貸切りでご案内。幻想的なハープの生演奏もお楽しみください。

  • イメージ 妖しくライトアップされるカステル・デル・モンテ。グッチのショーでは星座が投影されたとか
  • イメージ 3連泊するホテル「ボルゴ・イグナシア」。滞在中、窯焼きのピッツァ・ランチもご用意
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ふわっふわのモッツァレラを

イタリアの食材のなかでも1、2の人気を誇るモッツァレラチーズは、カンパーニャ州が発祥。イタリア随一と称される生産地、パエストゥムを訪ねました。数多の農家と工場が立ち並び、水牛たちに迎えられました。モッツァレラはほかのチーズとは異なり、熟成させずにでき立てを食します。そしてモッツァレラには、水牛からつくられた正統派のものと、乳牛からつくられたものがあり、その差は歴然。厳選された素材を用いて、熟練の技術によってつくられたモッツァレラチーズは格別のおいしさです。賞味期限がとても短く、お土産にはできませんが、ぜひ本場ふわっふわのモッツァレラをご賞味ください。

  • イメージ イメージ アマルフィ海岸近くがイタリア随一の生産地の水牛モッツァレラチーズ
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さあ舞台は整いました

三越創業350周年のイタリア企画は、これらの地域を舞台にすることにしました。洗練された北イタリアの都市も素敵ですが、南イタリアの田舎へ輝く宝石を見つけに行く、そんな旅に仕立てています。

今回ご紹介したホテルは、個人客で賑わっているため確保が難しく、ツアーではオフシーズンの利用になることが多いのですが、太陽が輝き、陽射しが強くなりすぎない4月に宿泊できるようホテルと交渉。南イタリアの最良ともいえる季節にご案内します。ご期待ください。

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三越創業350周年特別企画
~南イタリア編~
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▶きのこの形をした家が並ぶトゥルッリ地区の村を貸切り、郷土料理や伝統音楽などプーリア州の文化を知るパーティーを開催します。

▶世界遺産カステル・デル・モンテを夜間特別貸切り。ハープの生演奏とともに見学をお楽しみいただきます。

▶ラヴェッロのホテルにはイタリア三大歌劇場の1つ、ナポリのサン・カルロ歌劇場で活躍する音楽家を招き、プライベート・コンサートを聴きながら優雅なディナーパーティーをご用意しました。