フランスの田舎には、素朴で温かみがある景色が広がります。今回訪れるのは、北西部に位置するノルマンディー地方とブルターニュ地方。趣の異なる、2つの地方を丹念にめぐる12日間のコースです。特にフランスのなかの異郷といわれるブルターニュをじっくりと訪れることができるのはこの旅ならでは。映画『男と女』の舞台として知られる名門ホテル「バリエール・ル・ノルマンディー」に3連泊し、花々が咲く爽やかな季節を個性豊かな地方でゆったりとお過ごしください。
ノルマンディーの見どころは、モネの庭園があるジベルニー、荘厳な大聖堂が佇むルーアン、美しい港町オンフルール、世界遺産モン・サン・ミッシェルなど多彩。モネやクールベなど画家たちが描いた景勝地エトルタの断崖も訪れます。ノルマンディーが多くの画家に愛される地となった背景には、18世紀後半にイギリスで起こった産業革命があります。その後芸術の街パリも近代化にともない公害が進み、画家たちは自然を求めてこの地を訪れました。また、チューブ入り絵の具が開発され、“色の自由”を手に入れた画家たちは外に出て風景画を描きはじめたのです。激動する歴史のなかで、彼らが魅了された色彩豊かな風景をお楽しみください。「フランスの最も美しい村協会」に登録された、りんご畑に囲まれた小さな村ブヴロン・アン・ノージュもゆっくりと観光します。
この地域は酪農が盛んで、高品質な乳製品がそろいます。なかでも、本場でつくられたカマンベールチーズはクリーミーな味わい。そのほかに、新鮮なシーフード、特産のシードル(りんごの発砲酒)、カルヴァドス(りんごのブランデー)など、豊かな風土の味をご堪能ください。
ノルマンディー地方で宿泊する「バリエール・ル・ノルマンディー」は、セレブのリゾート地ドーヴィルにあります。カラフルなパラソルが並ぶビーチ、競馬場や高級ブティックなどさまざまな娯楽がそろい、パリジャンの避暑地として知られる街です。映画『男と女』(1966年)の舞台として、この街とホテルを「♪ダバダバダ♪」のスキャットとともに記憶に留めている方も多いことでしょう。コロンバージュと呼ばれる木骨組様式を採り入れたホテルの外観は、グリーンのラインが印象的で温かみが感じられる建築。館内に足を踏み入れると、映画のワンシーンで登場するレストランをはじめ、クラシカルで優雅な空間が広がります。
ホテルは海岸近くで街の中心部に位置し、映画にも登場する遊歩道「レ・プランシュ」の散歩がおすすめです。夕食前や早朝などに、まるで映画の世界に浸るようなひと時をお楽しみください。
フランス最西端に位置するブルターニュ地方。イギリスから戻ってきたケルト民族の文化が色濃く残る地域です。まずはこの地域でしか見ることができない教会建築“聖堂囲い地”へ。キリスト教信仰とケルト文化が融合する世界を体感してください。古代ロマンを感じる巨石遺跡カルナック列石も訪れます。ロクロナンやロシュフォール・アン・テールなど、広場や窓辺がかわいらしい花々に彩られた美しい村も見どころ。素朴で可憐な田舎の風景に心和むことでしょう。
ガレットはそば粉を使ったクレープで、ハムやチーズ、卵などが生地に包まれた郷土料理です。シードルと一緒にブルターニュの食文化をお楽しみください。宿泊は、広大な敷地に建つ城館ホテル「ドメーヌ・ド・ラ・ブルテシュ」へ。かつては貴族の館だった建物を改築した城館ホテルには、悠然とした時が流れています。