三越創業350周年特別企画「ベルサイユ宮殿晩餐会」を楽しむ旅が、いよいよ今秋に迫りました。ベルサイユ宮殿を貸切りで見学し、宮殿内の「戦闘の間」でアラン・デュカス監修の料理を堪能、さらにオルセー美術館を貸切りで鑑賞するこの旅。
特別な旅に企画担当者が込めた想いをお伝えするとともに、旅の見どころや楽しみ方を改めてご紹介します。
「三越創業350年の特別な年に特別な旅を皆さまに」―プロジェクト発足直後のこの想いが、夢から現実へと動き出すことを企画担当者が実感したのは昨年、黄金に輝く門の前でした。ひんやりした空気のなかでやわらかな陽光を反射する「王の門」。そう、その奥に壮麗な姿を見せていたのは、時に“世界一豪華な宮殿”とも称されるベルサイユ宮殿です。
当初、王が狩猟を楽しむための小さな館だったこの建物が、世界に名を馳せる宮殿に姿を変える大工事がはじまったのが1661年。それはつまり、後に日本初の「デパートメントストア」となる三越が産声を上げたのと同じ時代に、遠くヨーロッパで、このような壮大な建物が建設されていたということです。ならばその場所を祝いの舞台としてはどうだろう。ベルサイユ訪問の前年に得たこの着想が、企画の出発点でした。
歴史的な宮殿での晩餐会に想いを馳せるとともに浮かんだのが、フランス料理界の巨匠、アラン・デュカスの名前です。世界の歴史に名を刻む宮殿で、世界的料理人の手による料理をいただく。これこそが特別な祝いの機会になるのではないか。こうして企画案が固まっていきました。
もちろん現地との交渉は簡単なものではありませんでした。国際派シェフの多忙さに加え、折しもフランスは2023年にラグビー・ワールドカップ、その翌年にはパリ・オリンピックを控え、国中が世界から人々を迎えるための準備に忙しい時期。しかし、同じ時代を歩んできたベルサイユ宮殿と三越の縁に関係者が理解を示してくれたことで、この特別企画は次第に現実味を帯びていきます。そして最終的には、デュカスが監修を担うだけでなく、当日、自ら来場するという特典まで付いて実現することになったのです。晩餐会前の貸切見学にもこだわりました。見学ルートの「マルスの間」「鏡の間」「王妃の寝室」では、宮廷衣装を纏った七人の音楽家による演奏とともに、ゆったりご鑑賞いただけるよう準備を整えています。
一方で、企画部内からは旅を特別なものにするためのアイデアが続々飛び出していました。ベルサイユへの起点となるパリに入る手段として、「オリエント急行」として知られる「ベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス(VSOE)」に乗車するのはどうだろう。ベルサイユ滞在時のホテルの選択肢として、敷地内に開業した全14室のホテル「ル ・グラン・コントロール」もご用意したい。フランス観光に欠かせない人気の地モン・サン・ミッシェルでは、島の対岸から美しい修道院を望める人気のホテル「ルレ・サン・ミッシェル」に泊まっていただこう。パリ観光に欠かせないオルセー美術館は、ぜひとも貸切りでゆっくりお楽しみいただかねば。こうして、担当者たちの熱い想いは次々と形になり、多彩なコースが生まれました。
特別な旅としてご用意したものの1つに、セーヌ河のチャータークルーズがあります。パリ発着の往復航路となる一般的なセーヌ河クルーズでは、夜間の移動が多くなりがちです。しかし、セーヌ河岸は、パリの洗練された都市の風景から、のどかな田園風景、古城がそびえる丘と、変化に富んだ景観が連なる景勝地。ここにフランスらしさが凝縮されているといっても過言ではありません。そんな美しい河岸の風景を、日中、船上から心ゆくまでご覧いただきたい。そんな想いから実現したのが、客船を一隻貸し切ってのチャータークルーズでした。
パリからノルマンディー地方のオンフルールまで、5泊6日かけてゆっくり航行する貴重な片道旅では、河岸を流れる風景が贅沢な時間を演出してくれます。ハイライトのひとつは、河が大きく蛇行した先に、丘の上の古城を望むレザンドリー周辺でしょう。そこには、遥か昔の人々が目にしたものと同じ優美な光景が広がります。
乗船いただくのは、フランス最大のリバークルーズ会社クロワジーヨーロッパの2階建てプレミアム客船「ルノワール号」。一般的なセーヌ河遊覧船に比べて断然背の高い同船は、パリの夕刻クルーズではほかの船を圧倒しながら風格たっぷりに進みます。橋桁すれすれに橋をくぐる瞬間も迫力満点! 船上から眺めるフランスの首都は、いつもとは違う表情を見せてくれるはずです。晩餐会に向かう高揚感とともに、パリからベルサイユ宮殿近くのポワシーまで船で移動する行程自体、忘れ難いものになるに違いありません。
華やかな時代を見つめ、贅の象徴としてフランス革命時に民衆に破壊された「王の門」は2008年に復元され、神々しい黄金色を取り戻しました。そして今、ここを訪れる人々を見守り続けています。皆さまは、どのような期待を胸にこの門を見上げて宮殿に足を踏み入れ、特別なひと時を経てどのような感慨とともにここをあとにされるのでしょうか。
企画担当者全員、この旅が皆さまにとって忘れ得ぬものとなることを心から願っています。
贅沢の限りを尽くし、民衆の生活を圧迫した悪しき王妃として断罪されたマリー・アントワネット。しかし、アントワネットには、プライバシーのない宮廷での暮らしや王妃としての重圧など多くの苦悩があったことも知られています。
そんな王妃にとって格好の逃げ場となったのが、ベルサイユ宮殿敷地内に建つプチ・トリアノンでした。ルイ16世からこの館を寄贈されたアントワネットは、自分好みの内装に変え、親しい人だけを招き入れ、静かな時間を過ごしたといいます。こうした排他的な態度が貴族たちの反感を買うことにもなりましたが、自分らしくいるためには欠かせない場所だったことは確かでしょう。美しいものを愛し、自然に親しんだ王妃は、敷地内に人工の村里もつくりました。家畜を飼い、農夫も住まわせる徹底ぶり。ここを子どもたちの教育の場に使っていたともいわれます。
今秋のツアーでは、プチ・トリアノンやこの「王妃の村里」をめぐるコースも新たに設けています。