東欧や中欧と呼ばれる国々を訪れてみると、その文化の奥深さや自然の多彩さに驚かされます。長い歴史のなかで、大国の運命に翻弄されつつも今は独立を果たし、多様な自然に育まれ、独自の文化を守り続けてきた国々を訪ねていきましょう。
まずご紹介するのは、バルカン半島の国々、コソボ、北マケドニア、アルバニア、モンテネグロをめぐる旅です。コソボは、歴史は古いものの、独立して間もない国です。2008年の独立宣言後、日本が早期に独立を承認し継続的な援助を行っていることで、日本に親しみを持つ人々が増えたともいわれています。南部の街プリズレンは、端正なミナレットを持つモスクなど、かつて広大な版図を持ったオスマン帝国時代の面影が残る古都。一方で首都プリシュティナは、トルコ風の街並みのなかに、新しく建築されたカトリック様式の教会や99ものドームをあしらった国立図書館のような現代建築、時代を感じさせるビザンツ様式のグラチャニツァ修道院などが見どころ。異なる文化が共存する異国情緒たっぷりの国です。
南隣の北マケドニアはバルカン半島のほぼ中央に位置する内陸国。病や貧困に苦しむ人々の救済に生涯を捧げノーベル平和賞にも輝いたマザー・テレサはこの国の出身で、首都スコピエでは彼女ゆかりの地も訪れます。南西部の景勝地オフリド湖では、湖畔に佇む教会から眺望を楽しみ、ボートに乗って湖の遊覧も満喫します。
アドリア海に面した国アルバニアでは、アルバニア唯一の日本人ガイドの河村悦子さんが同行して、見どころやこの国の魅力をたっぷりとわかりやすく紹介してくれます。世界遺産ベラトなどの歴史、バルカン半島最大の湖シュコダル湖といった自然も楽しみます。あまりなじみがなく「知られざる国」ともいわれるアルバニアがぐっと身近になることでしょう。
そして、最後に訪れるモンテネグロでは、透明度の高い海や街の美しさに誰もが魅了されます。アドリア海の海岸線沿いに、ブドヴァやコトルといった、歴史と海の美しさが堪能できる珠玉の街々に出あえます。たとえば湾の最奥の街コトル。立派な城塞や立ち並ぶ歴史的な建築物は、天然の良港に恵まれ貿易で栄えた歴史の名残りです。2023年開業のロープウェーからは、その街並みとフィヨルドを思わせる深い入り江の景観を満喫できます。
ブルガリアとルーマニア、名前は知っていてもあまり身近な国ではないかもしれません。訪れてみれば、それぞれ奥深い魅力があります。
ブルガリアは高級フレグランスの原料になるバラの産地。初夏の収穫時期に「バラの谷」で開催される華やかな「バラ祭り」を見学します。ブルガリアのバラ栽培は、かつてオスマン帝国に支配されていた頃に伝わったといわれています。食事はヨーグルトやチーズなどを活かしたスープなどのほか、トルコ風のケバブに似た肉料理なども一般的で、食文化も多彩です。一方で山間に佇むブルガリアが誇る世界遺産「リラ修道院」は必見。静謐な教会内に足を踏み入れれば、堂内いっぱいに描かれた鮮やかなフレスコ画が別世界に誘ってくれます。
ドナウ河をはさんだ隣国ルーマニアは、古代ローマ以来ラテン系の人々が暮らす国。ブルガリアで見かけたキリル文字ではなくアルファベットが使われます。首都ブカレストですれ違う人々は、陽気で明るい印象。おしゃれなカフェやブティックなどが並び、「バルカンの小パリ」と呼ばれた華やかな雰囲気が今も漂います。
今回の旅では滞在先にもこだわっています。ブルガリアのソフィアではグランド・ミレニアムに宿泊。ルーマニアのブカレストではインターコンチネンタルに2連泊。いずれも最新の設備が整ったホテルで快適に滞在ができます。立地も良く、観光の前後に気軽にお散歩にも出かけられるので、旅の思い出も増えることでしょう。