[ セレナーデ時間]

春のセレナーデ号の船旅で楽しむ街探訪
~モーゼル河~

ぶどう畑の緑に囲まれて
穏やかな時の流れに包まれる

企画=大泉千晶 文=小野瀬宏子
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船の間近に広がる河畔の彩り豊かな風景や、心やすらぐ小さな街。一度体験すると、再び、この河に逢いたくなる。モーゼル河にはリバークルーズの魅力がたっぷり詰まっています。

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穏やかな流れに乗って母なるモーゼルの船旅へ

ライン河・モーゼル河をめぐる船旅は、例年ご好評いただいている人気のコース。今回は、雄大なライン河とは対照的な魅力を持つ、モーゼル河の特徴や見どころをご紹介します。曲がりくねった河を航行するセレナーデ号からは、心を和ませる景色が目の前に。旅情あふれる風景に魅せられた添乗員も多く、満足度の高い航路です。

  • イメージ イメージ 蛇行しながら流れるモーゼル河は、河幅が狭く、ライン河とは一変した風景を楽しめる

モーゼル河はライン河の支流の1つで、フランスのヴォージュ山脈を源流に、ルクセンブルクを経てドイツに入り、コブレンツでライン河に合流。全長約545キロにおよび、昔から河を利用した交通が発展してきました。

セレナーデ号の船旅では、コブレンツから中流域のシュヴァイヒまでを3日間かけて往復し、ゆったりとしたリバークルーズを満喫。この2つの街の海抜差は約60メートルで、数々の水門が設置されています。河沿いには丘陵が続き、モーゼル渓谷と呼ばれる一帯は旅人を魅了するのどかな風景が広がっています。シュヴァイヒでの下船観光では、ドイツ最古の街といわれるトリーア、または人気の観光地ルクセンブルクへご案内。中世の雰囲気が残る街歩きをお楽しみください。

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モーゼルワインの名産地、ベルンカステル・クース

ドイツワインは、モーゼル、ラインガウをはじめとする13の特定地域があり、白を中心に生産されています。特にリースリング種は、日本でも広く知られていますが甘口から辛口までつくられ、口当たりが良く、とても人気のある品種です。ドイツはワイン生産地域の北限になるため、日照時間の少なさを栽培や醸造の工夫で補ってきました。昨今は気候変動や技術のさらなる向上により、評価が高まっているといわれています。

モーゼル河の船旅で印象的な風景といえば、何といっても河岸を彩るぶどう畑。春はみずみずしい緑、秋は黄金色に染まる美しい景色を見せてくれますが、せっかくこの地を訪れるならば、名産のモーゼルワインを楽しんでみてはいかがでしょう。

セレナーデ号の船旅で訪れるベルンカステル・クースは、ぶどう畑が広がる丘陵地に囲まれたモーゼルワインの代表的な産地です。「医者」を意味する「ドクトール」の名が付いた良質なぶどう畑があることでも知られています。その由来となる伝説は14世紀、トリーアの大司教がこの地に滞在した際、どんな薬も効かないほどの重病にかかってしまいました。そこへワイン農夫がやってきて、当地でつくられたワインを大司教へすすめ、1杯、2杯と飲むうちに体調が回復。褒美として、そのぶどう畑に「ドクトール」の名を冠することを許したそうです。ベルンカステル・クースのワインが上質であることを表す伝説といえるでしょう。

  • イメージ イメージ ベルンカステル・クースには、緑豊かなぶどう畑が広がる
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伝統的な木組みの家並みが続く街をゆったりと散策

ベルンカステル・クースは、モーゼル河を挟んで「ベルンカステル」と「クース」という2つの地区からなる小さな街です。ここでは自由散策の時間を充分に取っているので、のんびりと街歩きをお楽しみいただけます。

ベルンカステル側の丘の上に建つのが、トリーアの大司教の夏の宮殿として使われていたランツフート城です。ドクトールワインの伝説の舞台になったのもこの城といわれています。健脚の方は高台からの眺望を楽しんでみてはいかがでしょう。また、街の中心にあるマルクト広場には、かわいらしい木組みの建物が並び、おとぎ話の世界に迷い込んだよう。お店の看板も個性あるデザインで、あれこれ眺めながらの散策も楽しいものです。

広場周辺には、小規模な個人経営のワインショップも多くあります。その1つが、ワイナリーを営むトーマス・ハンセンさんのお店です。セレナーデ号でのお食事の際に、こちらのワインをご提供することもあります。昨年のぶどうの出来は「春と秋に雨が多く、糖分を含んだ水分たっぷりの果実となり、良質なシュペトレーゼやアウスレーゼに格付けされるワインができました!」とのこと。ぜひ現地で、とびきりのモーゼルワインをご堪能ください。

  • イメージ ランツフート城は今も街を見守るかのような佇まい
  • イメージ ベルンカステル・クースの木組みの家並みは、中世の雰囲気そのもの
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コッヘムでは、城主が眺めた風景に思いを馳せて

モーゼル河の船旅で訪れる、もう1つの街がコッヘムです。小高い丘には、街のシンボルであるコッヘム城(ライヒスブルク城)の姿が望めます。いかにも中世の城という佇まいで、高台の万全な立地に堅牢な城壁や天守を備えています。この城のはじまりは11世紀初頭、プファルツ伯爵の居城として築かれたと伝えられています。伯爵は河を行き交う船から税を徴収していたそうです。その後、神聖ローマ皇帝コンラート3世の城となったことから「ライヒスブルク(「帝国の城」の意味)」と呼ばれるようになり、のちにトリーア大司教が所有することに。約1000年もの歴史があります。

  • イメージ イメージ モーゼル河から標高差約100メートルの丘に建つコッヘム城

ぶどう畑が続く坂道をゆっくりと歩いて丘に建つコッヘム城へ。城内の見学が可能で、「騎士の間」はドーム型の天井にほどこされた浮き彫り模様が見事です。中世の騎士の鎧などが並ぶ「武具の間」や、木彫り装飾が美しい食堂など、見応えたっぷり。バルコニーからは、のどかな街並みとぶどう畑、穏やかな河の流れが織り成す、古と変わらぬ風景をお楽しみいただけます。この眺めこそ、歴代の城主の心を和ませたのかもしれません。

丘の下の旧市街には、モーゼルワインを販売するお店や土産物店などが点在します。気になった店々をのぞきながら、のんびりとお散歩を。河畔でひと休みしながら、モーゼル河を行きかう船を眺めるのもおすすめです。

今回ご紹介したベルンカステル・クースやコッヘムは、陸路のツアーでは訪れることが少なく、リバークルーズでこそ楽しめる観光地です。小さな街ならではのゆったりと流れる時間に包まれて、その地の魅力をぜひ五感でご満喫ください。

  • イメージ 城壁に囲まれた重厚感あふれる石造りの城
  • イメージ モーゼルワインを産地で味わう。旅ならではのおいしいひと時を
  • イメージ イメージ セレナーデ号の船旅で訪れる4月下旬から5月初旬は、河沿いの散策にもぴったりな季節
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