英国女王の名を冠することが許された、世界でただ1つの船会社キュナード。 今回お届けするのは、現在運航している4隻それぞれの魅力を堪能できる5つのコースです。伝統が薫り、気品に満ちあふれたクルーズライフについて、企画担当の阿部遥奈がご案内します。
映画のワンシーンのように、クラシックな世界に浸りたい。そんな方に選ばれているのが、キュナード社のクルーズです。今回は、その代名詞ともいえる「クイーン・エリザベス」の船内見学会への参加や、今年1月に新造船「クイーン・アン」に視察乗船した際のことをお話ししながら、キュナードの魅力を皆さまにお伝えしたいと思います。
まず、往年のファンにこれほど愛され続ける“キュナードらしさ”とは何かといえば、英国の伝統を守り続けていることです。カジュアルなクルーズも増えている昨今において、キュナードの船はすべてドレスコードがあり、客室のカテゴリーによってレストランが決まっているなど、長い歴史に培われたスタイルが貫かれています。
といっても、堅苦しさはまったくありません。「ホワイトスター・サービス」という伝統的なおもてなしを学んだスタッフは、プロフェッショナルでありながらフレンドリーな笑顔にあふれています。お客さまに古き良き時代の英国という非日常を心から楽しんでいただきたい、そんな情熱がひしひしと伝わってくる、華やかさと温かさがあふれるクルーズ船です。
ドレスコードのあるキュナードならではの醍醐味が、おしゃれをして過ごす夜です。ディナーではカジュアルな服装で利用できるレストランもありますが、お客さまの大半はスマート・アタイアー(男性はドレスシャツ、女性はワンピースなど)に着替え、ラグジュアリーなダイニングで華やかな時間を楽しまれます。
さらに、船内全体が特別な雰囲気に包まれるのが、何回か設けられている「ガラ・イブニング」の日です。豪華なロングドレスやとっておきの着物、洗練されたタキシードに身を包み、シャンパンやカクテルを片手に過ごすパーティは、非日常感たっぷり。「荷物が増えてしまうけれど、これが楽しみなのでキュナードが好き」「たんすに眠っている服を、こんな時こそ思い切り楽しみたい」という声も多く聞かれる、大人気のイベントです。
照明を抑えてエレガントな雰囲気に包まれるボールルームでは、社交ダンスが催されます。生演奏に合わせてダンスフロアへ繰り出すお客さまの装いは、見ているだけでも胸が高鳴る華やかさ。特に海外の方は、年齢を重ねてもスパンコールのドレスを着こなすなど、人目を気にせず大いに謳歌している印象です。もちろん踊らなくても十分に雰囲気を味わえますし、キュナードに乗っている喜びを体感できるひと時になるのではないでしょうか。
キュナードの魅力としてもう1つ、どの船もほど良く過ごしやすいスペースであることが挙げられます。たとえば、「クイーン・エリザベス」は約9万トン、全長が300メートル弱で、船内の移動にそれほどご負担がかからない広さです。かといって狭くて退屈ということはなく、多彩なダイニングやカフェ、バー、豪華なシアター、ショップなど充実した設備を誇ります。「迷ってしまうほどの大きな船は不安だけれど、船上ライフはしっかり満喫したい」という方にもおすすめです。
終日航海の日は、皆さまがミュージカルやアクティビティなどで船内をたっぷりと楽しまれます。英国らしい伝統の体験として、アフタヌーンティーがおすすめです。ピアノやハープの演奏が流れるクイーンズ・ルームで、スコーンやサンドイッチを味わう優雅な時間を、ぜひご堪能ください。
「クイーン・エリザベス」の日本発着クルーズは2025年春が最後となり、今後の拠点となるのはカリブ海です。今回はユニークな航路で魅力あふれる寄港地を楽しみながら、長い歴史を継承する女王船での日々を存分に味わっていただけます。
そして、今注目の新女王が、2024年5月に初就航した「クイーン・アン」です。実際に乗船したところ、伝統を受け継ぎながらも今までにない魅力にあふれた船内に驚かされました。キュナードの船は木目調で重厚なインテリアが中心なのですが、「クイーン・アン」はゴールドとガラスをふんだんにあしらうなど、とてもスタイリッシュな雰囲気です。もちろん、今回ご紹介するコースにも、この新女王船で楽しむ旅が含まれています。お届けするのは、ヨーロッパが最も華やぐ季節を満喫するクリスマスクルーズです。
そのほか、初夏の光が煌めく西地中海や、歴史に彩られたアドリア海、古都をめぐるドーバー海峡など、各船の優雅なクルーズライフとともに、街や自然の絶景をたっぷりと堪能できる旅をご用意しました。日常では味わうことのできない、英国の伝統が薫るキュナード・ラインだからこそ体験できる船旅を、ぜひお楽しみください。