[ クローズアップ ]
情熱と静謐のスペイン
夕刻の貸切りで出あう
世界遺産の秘めたる素顔
企画=森脇潤/南家知文/我満弘充/木島将也
文=吉田千尋
遠い記憶をそっと抱くように、薄暮のベールが舞い降ります。昼間の賑わいが去り、皆さまのためだけに開かれる扉の向こうで待つのは、華麗なる歴史とじっくり向きあえる、静寂のひと時です。“イスラム建築最高峰”と謳われるアルハンブラ宮殿と、コルドバの至宝メスキータ。スペインが誇る世界遺産の貸切見学を含む、多彩な旅をお贈りします。芸術の街バルセロナなどを連泊中心でめぐるスペイン周遊、徒歩観光を少なくした「ゆったり度3」の旅、アンダルシアを満喫するコース、ジブラルタル海峡を隔てたモロッコも味わう旅、さらに地中海クルーズも。心ひかれるままに選べる、情熱と静謐のスペインをご堪能ください。
王朝の記憶を刻む“地上の楽園”
アルハンブラ宮殿
喧騒とは無縁の貸切見学で、本来の姿を堪能する
その宮殿に入った瞬間、彼女は息を呑んだことでしょう。グラナダ王国を追い詰め、ついに最後の牙城を奪ったカスティーリャ王国。要塞として機能していた無骨な外観からは想像のつかない、花々をびっしりと敷き詰めたようなアラベスク模様は、敬虔なカトリック教徒として生きてきたイサベル女王にとって、到底受け入れられるはずのないイスラム教の文化でした。それでも心奪われ、深く魅了されてしまったことを、この宮殿が破壊されなかったという事実と、自身が亡くなったあとはここに埋葬するよう命じたという逸話が物語っています。
後に“太陽の沈まない国”スペイン王国を樹立し、大航海時代に君臨する意志の強い女王の心をも惑わせた、幻想的な楽園。500年以上たった今、その想いを追体験できるのが、当社のお客さまだけの特別貸切見学です。
現在ではあまりの人気ぶりに厳しい入場制限が敷かれ、予約自体が難しくなっているアルハンブラ宮殿。運良く入場できても、やはり混雑は避けられません。そんな喧噪とは無縁で本来の姿を静かにじっくりと味わえるのは、貸切りだからこその醍醐味です。世界の人々を魅了してやまない神秘の空間へ、皆さまをご案内いたします。
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万年雪のシエラネバダ山脈とのコントラストも美しい、夕暮れの哀愁に染まりゆくアルハンブラ宮殿
薄暮から落日へ、宮殿の終焉を象徴するかのような時間に見学
日中はグラナダの明るい陽射しのもとで堂々たる佇まいを見せていたその姿が、愁いを帯びた表情へ変わる頃。アルハンブラ宮殿に入場するのは、イスラム王朝の落日を思わせる風景に包まれた、閉館後の夕暮れ時です。
宮殿に一歩入れば、そこは別世界。円柱や壁、天井まですき間なくびっしりと施されたアラベスク模様は、現実を忘れさせてしまうほどの圧倒的な美を放ちます。透かし彫りの窓から差し込む黄昏時の光とともに、悠久の時へと誘われるひと時です。
偶像崇拝を固く禁じるイスラム教徒にとって、無限に続くかのように描かれた草花や幾何学模様は、何よりも大切な信仰の表現。宮殿の内部ではどこを歩いても、単なる装飾を越えたその様式を目にすることができます。
グラナダの背後にそびえる山脈の雪解け水を巧みに利用した演出も、アルハンブラ宮殿の大きな特長です。水面に建物が鏡のように映るアラヤネスの中庭や、水時計の役割を果たしていたライオン宮の噴水、夏の離宮であるヘネラリフェ宮殿には水路のある庭園も。その1つひとつの繊細な煌めきを眺めるほどに、砂漠の広がる北アフリカからやってきたグラナダ王国の人々にとって、いかに水が尊い存在であったのかが伝わってきます。
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最大の見どころは、歴代の王の住居などが集うナスル朝宮殿。その中心にあるアラヤネスの中庭では塔を映す水鏡が幻想的。貸切見学では、誰にも邪魔されずにこのような写真が撮影できる
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通常は多くの観光客がいるライオン宮の噴水も、
貸切見学で撮影すれば大満足の1枚に(添乗員撮影)
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玉座が置かれた「大使の間」の天井は、星が降るような装飾に圧倒される
灯りのなかで浮きあがる光と影 移りゆく表情を、約2時間見学
通常の予約では厳しい時間制限が設けられ、次の入場者のために早く進むよう促されることもありますが、当社の貸切見学ではおよそ2時間、ご自身のペースでじっくりとこの空間を味わえます。神秘の力を感じる装飾も、人混みに紛れることなく目の前で堪能でき、写真に残すことも可能です。宮殿のなかで聞こえるのは、皆さまの静かな足音や話し声だけ。美の極致を描いた世界に心ゆくまで浸り、ガイドの解説でより深く歴史物語にふれることができる、贅沢なひと時です。
夕闇が迫ると、自然光があまり入らない部屋から徐々にライトアップがはじまり、宮殿はさらに奥深い表情を見せてくれます。この時間帯ならではの光と影を味わえるのも、閉館後の見学だからこその魅力です。往時を思わせる柔らかな灯りに包まれた空間では、装飾の陰影が浮かびあがり、遠い記憶をそっと呼び覚ますかのよう。喧噪のなかでは出あえない、アルハンブラ宮殿の秘めたる素顔にふれる体験を、ぜひゆったりとご堪能ください。
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イスラム王朝時代に造られた夏の離宮であるヘネラリフェ宮殿は、噴水の音も涼やかな「アセキアの中庭」が見どころ
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彩り豊かな花壇と柱廊が織り成す華麗な美しさに目を奪われる
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キリスト教徒の王が後に建てたカルロス5世宮殿はルネッサンス様式で、アルハンブラ宮殿のなかでも趣が大きく異なる
情熱と静謐のスペイン 夕刻の貸切りで出あう世界遺産の秘めたる素顔
2つの祈りを抱く
“コルドバの至宝”メスキータ
繁栄を極めた王都の誇り静謐な空間を独り占め
15世紀にアルハンブラ宮殿が陥落するまで、この地で約800年も続いた宗教文化の激しい対立。決して相容れるはずのなかった2つの祈りが1つに融合されるという類まれな空間を、当時は誰が想像できたでしょうか。
長い戦いのなかでイスラム王朝が劣勢となり、徐々に失われていった拠点のなかでも、特に重要な都市だったのがコルドバでした。1,000年ほど前に人口100万人を超えたとも記録されるほどに繁栄していたこの都の中心に建てられていたのが、礼拝所として人々の心の拠り所だったメスキータです。2万人以上もの人々を収容したといわれる壮大なモスクは、13世紀にキリスト教徒の手に落ちても、後のアルハンブラ宮殿と同じように破壊をまぬがれています。
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ライトアップの表情も楽しめるメスキータで、
当社初の貸切見学
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2つの宗教文化が融合された、世界的にも珍しい空間をじっくりと味わう
そこにはやはり、敵の文化といえども抗いがたい、美への強い憧憬があったのでしょう。一方で、支配者として都を制した王国の誇りも失われなかったことが、このあとのメスキータを数奇な運命へと導いていきます。
三越伊勢丹ニッコウトラベルではこのたびはじめて、その物語と静かに向きあえる貸切見学を実施します。喧噪が去り、閉館後にお客さまだけで独占できる特別なひと時で、時代をじっくりとさかのぼってみましょう。
イスラムの祈りを捧げる空間の中心に、カトリックの大聖堂
メスキータの外観は、ヨーロッパの街でよく見られる美しい大聖堂の佇まいです。しかし、閉館して静謐に包まれた建物に一歩入ると、そこには驚くべき光景が待っています。大理石と赤いレンガを組み合わせた、どこまでも続く華麗なアーチ、まるで深い森のように無数に並ぶ円柱、壁や天井をすき間なく彩るアラベスク模様……。カトリック教会とは思えない異空間に、思わず言葉を失う瞬間です。メッカの方角を示す「ミフラーブ」と呼ばれる壁のくぼみは、イスラム教徒にとって祈りを捧げる大切な場所。ここは特に精緻な装飾が施され、高窓からは厳かな光が差し込みます。
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聖地メッカの方角を示す壁のくぼみ「ミフラーブ」。祈りの場として、アラベスク模様やモザイクで特に丁寧に装飾されている
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「マスクラ」と呼ばれるミフラーブの貴賓席では、天井の高窓から差し込む柔らかな光と装飾が、厳かな空間を生み出している
“かつての栄光の名残”と呼ぶにはあまりにも強く、イスラム教の存在感が迫り来るメスキータ。一方で、この建物の中心を貫いているのは、『最後の晩餐』の壁画や聖母マリアの彫刻が彩るカトリックの大聖堂です。
16世紀、当時の王がモスクを改築してこの大聖堂の建立を進めたため、1,000本以上あったという美しい円柱は856本に減ってしまいます。完成を見た王は「どこにでもあるような建物のために、この世で唯一のものを壊してしまった」と、自らの決断を悔いたことが伝えられています。
見学後は聖歌隊コーラスによる神秘の調べに包まれて
イスラム教とキリスト教が融合したメスキータ。アルハンブラ宮殿でもキリスト教の王が宮殿を増築していますが、“宗教の共存”を最も象徴しているのは、この建物といえるでしょう。
見学後は、オルガンと聖歌隊のコーラスによるミニコンサート鑑賞のひと時も。さまざまな想いが交錯することで生まれた空間で、遠い時代へと思いを馳せるような調べに身も心もゆだねる時間をご堪能ください。大聖堂を出る頃には夜のとばりが下り、メスキータはさらに神秘の表情に。ライトアップされ、悠々と流れるグアダルキビル河の岸辺に浮かぶ姿は、砂漠の民の夢を見ているかのように幻想的です。
イスラム王朝の最盛期には、300ものモスクが建ち並んでいたというコルドバ。中心地としての賑わいは、今も旧市街に残ります。歴史の薫り漂う街歩きも、ぜひお楽しみください。
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オルガンと聖歌隊メンバーによるミニコンサート(現地事情により、聖歌隊メンバーの人数が写真よりも少なくなることがございます)
情熱と静謐のスペイン 夕刻の貸切りで出あう世界遺産の秘めたる素顔
スペインを代表する3大都市をすべて連泊でめぐり、ゆったりと深く、周遊を楽しむコースをご紹介します。
芸術の街バルセロナでは、メインタワーであるイエスの塔が今年完成したばかりのサグラダ・ファミリアはもちろん、グエル公園などのガウディ建築を堪能。ライバルとして知られるモンタネール作のサン・パウ病院、カタルーニャ音楽堂も入場見学できるのは、3連泊だからこそのゆとりです。
アルハンブラ宮殿やメスキータの貸切見学を経て、2連泊するマドリードではプラド美術館へ。開館より1時間早い特別入場で、混雑を避けて国内外の傑作をじっくりと鑑賞できます。わかりやすく楽しいガイドの解説も大変好評です。さらに、中世の面影を残すトレドなど、近郊の世界遺産都市にも足を延ばします。旅の締めくくりは、映画『白雪姫』の城のモデルといわれる「アルカサル」が待つセゴビアへ。
はじめての方はもちろん、スペインを訪れたことのある方も、新鮮な魅力にふれることができる旅です。
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スペイン3大画家とされるベラスケス、ゴヤ、エル・グレコをはじめ、巨匠の傑作が並ぶプラド美術館は、開館より1時間早く特別入場
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2026年に没後100年を迎えたガウディ。サグラダ・ファミリアはついにメインタワーが完成
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モンタネールが手掛けたサン・パウ病院。芸術による癒しを求めた壮麗な空間を入場見学
小型車やミニトレインを利用することで、徒歩での観光を少なくした「ゆったり度3」のスペイン周遊もご用意しました。寛ぎの時間を堪能できる、ラグジュアリーなホテルも魅力です。
交通規制が厳しく、大型バスが入れない旧市街も、小型車なら楽に移動できます。通常はバスを降りて10分ほど歩くサグラダ・ファミリアも、入り口近くまでご案内。コルドバも小型車で、坂の多いトレドはミニトレインでめぐるひと時をお楽しみください。
グラナダでは、名門ホテル「アルハンブラ・パレス」で優雅な滞在を。バルセロナではモンタネールの傑作「カサ・フステル」に連泊、マドリードでは旅の締めくくりにふさわしく、社交界を彩ってきた「ザ・パレス」に連泊します。贅沢な滞在で、魅惑のスペインをゆったりとご堪能ください。
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優雅な滞在を楽しむ「カサ・フステル」は、モンタネール最後の傑作
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サグラダ・ファミリアには、入口近くまで行くことが可能な小型車を利用
スペインを旅したことのある方には特におすすめしたい、南部アンダルシア周遊の旅。それぞれに特徴のある各地のパラドール(国営城館風ホテル)に宿泊しながら、小さな村や個性的な街で驚きの光景に出あい、名物のフラメンコ見学なども楽しめるコースです。
標高約700メートルの断崖絶壁の上に広がる街ロンダでは、絶景自慢のパラドールに2連泊。グラナダでは、貸切見学するアルハンブラ宮殿の敷地内に佇む、かつての修道院を改装したパラドールに2連泊します。観光客のいない敷地内を朝夕に散策すれば、貸切見学が延長されているような気分を味わえることでしょう。10月号で、この旅の魅力をさらに詳しくご紹介しますので、どうぞご期待ください。
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国王の命により建てられた修道院を改装した「パラドール・デ・グラナダ」に2連泊し、“世界遺産ステイ”を満喫
華やかな邸宅ホテルに寛ぐマラケシュ、映画の世界に酔いしれるカサブランカ、青い街シャウエン。多彩な文化が交錯するモロッコからフェリーに乗ってジブラルタル海峡を渡れば、1時間半ほどでスペインに到着します。
砂漠の民が残した美しい遺産がそれぞれの地で時を重ね、歴史を紡いだ道のりをたっぷりと体感できる旅。こちらのコースも、10月号で詳細をご案内する予定です。
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見渡す限り“青の世界”が広がるモロッコの街シャウエン
今年12月に新就航する「MSCワールドアジア」で、早春の地中海をめぐる船旅も満喫するコースです。
フランスの美しい港町マルセイユを訪れ、イタリアではローマはもちろん、ジェノバやシチリア島の至宝タオルミーナも観光します。マルタ共和国では、騎士団の薫り漂う首都ヴァレッタへ。そして最後を飾るスペインでは、アルハンブラ宮殿の貸切見学を堪能します。モダンな客船で4カ国を訪問する、華やかな旅をお楽しみください。