晩秋から初冬の頃、肌寒さを感じると恋しくなるのが温泉です。雪深い冬を迎える少し前の信越への旅、おすすめの京都の温泉旅をご紹介します。自慢のお湯と、この時期ならではのおいしい料理も存分に味わえる旅です。
信州の名湯・白骨温泉へは、奈良井宿にオープンしたBYAKUのレストラン「嵓kura」で昼食を楽しんでいただいたあとに、向かいます。中里介山の小説『大菩薩峠』の舞台ともなった温泉の美しい乳白色の湯は、肌にやさしい中性。炭酸成分が多く含まれ絹のように滑らかで、薬用効果があり「3日入れば、3年風邪をひかない」といわれています。お泊まりは、白骨温泉で最初に本格的な湯屋をはじめた老舗「湯元 齋藤旅館」。純和風ながら、館内は使い勝手のよいモダンなしつらえです。自家源泉からの源泉直引きのかけ流しの湯でゆっくり温まりましょう。
翌日は、日本で唯一の2階建てゴンドラの新穂高ロープウェイに乗車して、新雪をまとった初冬の北アルプスを標高約2,000メートルの上空から眺めます。西穂高岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳など、北アルプスの山々の大パノラマが開け、まぶしく輝く雲上の世界が待っています。
新潟では、2019年にリニューアルされた「ryugon」に宿泊します。広大な敷地に築およそ200年の古民家が連なり、雪国の風雪に耐えてきた風格ある建物とシンプルな内装で、落ち着いた雰囲気のお宿。お湯はもちろん、魚沼産コシヒカリや日本酒、「雪国ガストロノミー」と称される、雪国ならではの食材を使った郷土料理も楽しみです。
石川雲蝶という名をご存じでしょうか。雲蝶は、「日本のミケランジェロ」とも呼ばれ、幕末から明治初期に新潟で活躍した彫物の名匠です。今回は作品が残る代表的な二つのお寺を訪れます。
永林寺は、およそ13年の歳月をかけて制作した100点余りの作品が残る最大の所蔵寺。そして、堂内外のいたるところに雲蝶の彫刻や絵画が残されている西福寺・開山堂も訪れます。欄間から天井全面に施された大彫刻は、しばし言葉を忘れる圧巻の大作。天井の『道元禅師猛虎調伏の図』は透かし彫りの繊細さと色彩の鮮やかさが見事です。
凛とした空気に包まれる冬の京都。南禅寺にほど近い、琵琶湖疎水のほとりに、今年の春に開業したばかりの「ふふ京都」に滞在します。ヒノキ造りの湯船がしつらえられ、温泉が楽しめる落ち着いた雰囲気の客室や、庭園を眺めながらゆっくり過ごせる離れのバーには、ほのかな白檀の香りに包まれて、プライベートが守られた寛ぎの時が流れています。
日常を離れて旅するなら、その地ならではのお料理も味わいたいもの。翌日の昼食は、祇園の人気レストラン「キメラ」のイタリア料理をご用意しました。季節の京野菜はもちろん、シェフこだわりの新鮮な食材を用いた、おいしく、美しいお料理をお召しあがりください。
東福寺の光明宝殿や日本最古の禅堂の特別拝観など、一歩踏み込んだ観光も特別な京都の旅の楽しみです。