[ 国内特集① ]
活気満ちる祭りと、厳かな伝統行事と
この夏、日本の魅力発見を
思いおもいに
企画=小林絵梨/金子美佐子/後藤秀幸/伊藤麻美子/大川喜史/中島悠/黒木貴士
文=井上智之
梅雨前線が恨めし気に消え去るのを待っていたかのように、各地で開催される祭りや伝統行事。そんな日本の夏を思いおもいに満喫いただくために、特等席や厳選した滞在先での観覧、優雅なバス旅や飛鳥Ⅱを貸し切っての洋上体験と、多彩な旅をご用意しました。スタイルを工夫するだけで、旅はこんなにも新鮮な感動に満たされるものでしょうか。
寛ぎに満ちたVIPシートから ねぶたの大迫力を眼前に
東北夏祭りの先陣を切る青森ねぶた祭は、厳しい冬を耐え忍び、遅い夏の到来を待ちわびた地元民にとっても一大イベント。何カ月も前からお囃子の練習が町角に響きわたり、跳人(ハネト)は浴衣を新調するなど、その日に期した情熱のマグマが一気に発散するかのような熱気に包まれます。
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その年限りの作品だけに、ねぶた師の創作意欲が込められたねぶた 青森市民ねぶた実行委員会/制作 北村麻子
まさに青森の町に盆と正月が1度にやってきたようなこの祭典を一目見ようと、例年全国から訪れる観光客も延べ100万人以上。町中が熱狂に酔いしれるなかで、観覧場所を確保することは困難を極めます。
そこで、最初にご案内するコースでは昨年、初の試みとして「プレミアム観覧席VIPシート」をご用意。好評を受けて、今年は設定日を増やしてご案内します。
VIPシートの魅力は、高さ約1メートルの座席から、ねぶたの大迫力をお楽しみいただけること。光り輝くねぶたが、目前に迫るかのような臨場感を体感できます。VIPシートにふさわしい、おもてなしにも心満たされます。お弁当は、地産の食材で彩られたお重仕立て。座席にはこの地の夏にちなんだ地酒などをご用意するとともに、専任のコンシェルジュがきめ細かなサービスをご提供します。
もう1つのお楽しみは、青森ねぶた祭の伝統や文化などをねぶた師に解説いただく贅沢な時間です。ねぶたは、祭りの神輿のように同じものを使うのではなく、1年限りの作品。それだけにねぶた師は、祭が終えた途端に次の構想を練りはじめます。そんな作品づくりの苦労話を直接聞けるのも、かけがえのない思い出になることでしょう。
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高さ約1メートルの座席からねぶたの大迫力を。VIPシートにふさわしいおもてなしや、ねぶた師の解説も。
青森ねぶた祭のフィナーレを地上約51メートルの展望台から
今年、はじめて設定するのが、祭りのフィナーレを飾る「ねぶた海上運行」を花火とともに観覧いただくコースです。ご用意した特別観覧席は、青森ベイエリアを一望できる青森県観光物産館「アスパム」13階の展望台。混雑とは無縁な冷房の効いたスペースで、お弁当を嗜みながら眼下を眺め見ていると、やがて悠然と現れてくるのは、本番のねぶた運行で賞を受賞した4台の大型ねぶたが青森港をゆったりと航く姿。ねぶたが解き放つ光彩が、水面に映り煌めく幻想美に魅入られます。
と、その静寂を打ち破るかのように繰り広げられるのが、夏の夜空に大輪を咲かせるように打ち上げられる約1万発もの花火ショーです。絢爛にして心なしかセンチメンタルな旅情を誘う青森ねぶた祭の最終章を、地上高さ約51メートルの大きな窓辺から記憶にとどめてはいかがでしょうか。
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高さ約51メートルの窓辺から望む「ねぶた海上運行」と花火ショー
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特別観覧席は、青森ベイエリアを一望できる「アスパム」の展望台
東北の夏は、まさに祭りの最盛期。そこで、東北が誇る3大祭りを1度に堪能いただけるコースもご用意しました。まずは、青森ねぶた祭の迫力ある臨場感をたっぷりと。秋田では、たくさんの提灯を吊り下げた竿燈が、塊となって夜空を煌めかせ“差し手”の妙技にも心躍る秋田竿燈まつりを。また、杜の都では、華やかにして麗しい七夕飾りが見事な、仙台七夕まつりをご観覧いただきます。
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連なる提灯を米俵に見立て豊作を祈る秋田竿燈まつり
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豪華な七夕飾りが華やかにして麗しい仙台七夕まつり
“踊る阿呆”に“観る阿呆”を演舞場のS席で楽しみ尽くす
鳴り物と「ヤットサー!ヤットサー!」のかけ声とともに、まさに陽気な“阿呆”と化した踊り手たちが、奔放に繰り広げる阿波おどり。その魅力は「東京高円寺阿波おどり」をはじめ、各地に普及していますが、やはり本場・徳島ならではの醍醐味を1度は体験したいものです。
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頭に編み笠、帯は黒。優雅な女踊りは阿波おどりの華
約400年の伝統に培われながら地元民の生活の1部となっている阿波おどりだけに、その特徴は町全体が巨大な踊りの舞台になること。加えて「連」と呼ばれる踊り手グループ毎に、異なる踊り方にも興味がそそられます。お盆の時期の開催とあって観光客も殺到するなか、観覧の秘訣はいかにゆったりと、より多くの「連」の踊りを楽しめるかに尽きるでしょう。
そこでご案内する旅では、滞在先の「JRホテルクレメント徳島」から徒歩でも移動できるうえに、15の「連」の踊り手が揃っての「総おどり」も期待できる「藍場浜演舞場」のS席をご用意。有料演舞場のなかでも最大の客席数を有するこの“特等席”で、踊り手たちが練り踊る圧巻のシーンを“観る阿呆”となってご満喫ください。
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力強く粋な男踊りを華やかにした女法被踊り
人気の観光列車に揺られながら 四国の歴史と景観にふれる
この旅のもう1つのお楽しみは、「四国まんなか千年ものがたり」での列車旅。四国山地を走りゆくこの観光列車は、近くの野や山で楽しく遊んだ「遊山(ゆさん)」をイメージしつつ、大人の楽しみとしてアレンジした列車旅へと皆さまを誘います。
地元食材にこだわった料理や、地元民の想いが込められた地酒やおつまみを嗜みながら、平家落人の秘話や秘境の祖谷地方など、1000年を超える歴史の変遷に想いを馳せてはいかがでしょうか。車窓からは、吉野川のダイナミックな流れが。コトコトのんびりと列車に揺られながら、四国の魅力を再発見していくひと時をお楽しみください。
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コトコトのんびりと四国山地を走りゆく「四国まんなか千年ものがたり」
この夏、日本の魅力発見を 思いおもいに
“喧嘩祭”の異名をもつ祭りを安心・安全な観覧席で満喫
大阪府の岸和田市といえば、情緒ある城下町の面影を残す一方で、威勢の良さでも知られる土地柄。ご案内する旅では、そんな町で繰り広げられる「岸和田だんじり祭」を、観覧席から心おきなくご覧いただきます。
この祭りは、1703年、時の岸和田藩主・岡部長泰公が、かの地の五穀豊穣を京都伏見稲荷に祈願しての稲荷祭がはじまり。その後、約300年以上の歳月を重ねるなかで、これほど勇壮な祭りになろうとは、当の藩主ですら想像しなかったことでしょう。圧巻なのは、「だんじり」とよばれる地車を約500人もの男衆が汗をほとばしらせ曳きまわしながら、町中を疾走する大迫力の光景。「だんじり」の大屋根の上で団扇を持って踊る大工方(だいくがた)の雄姿にも、喝采を送りたくなります。
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“喧嘩祭”の異名を持つ「岸和田だんじり祭」の最大の見どころ、「やりまわし」
なかでも最大の見どころは、打ち鳴らされる鐘の音とともに、「だんじり」が勢いそのまま町角を直角に方向転換させる「やりまわし」。勢いあまって「だんじり」が倒れるほどに傾こうと、時に電柱に激突しようと、大工方が大屋根から転げ落ちようとも、果敢に町角を曲がっていくシーンに大歓声が巻き起こります。“喧嘩祭”の異名にふさわしい、エキサイティングな臨場感をご堪能ください。
伝統のホテルに連泊し、「大阪・関西万博」の見学も
帝国ホテル大阪に連泊し、ゆったり寛いだあとの最終日は、話題の「大阪・関西万博」に繰り出してはいかがでしょうか。入場チケットをご用意していますので、自由気ままに展示をお楽しみください。ちなみに大催事場の「黄金の円形屋根」は、あの岡本太郎の代表作「太陽の塔」へのオマージュだそうです。1970年に開催された大阪万博の懐かしい思い出とともに会場をめぐるのも、一興かもしれません。
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10月13日まで開催中の「大阪・関西万博」へご案内 ⓒExpo 2025 APPROVAL TR00041-1
厳かな「五山送り火」を歴史に彩られた都でしっとりと
活気に満ちた祭りとは対照的に、日本の夏は盆にちなんだ伝統行事も各地でしめやかに行われます。盛岡の「船っこ流し」、福井の「永平寺大灯籠ながし」、長崎の「精霊流し」など数多あるなかで、1度は記憶に留めたいのが京都で執り行われる「五山送り火」ではないでしょうか。
盆に迎えた先祖のお精霊(しょうらい)を再び浄土へと送り出すために、京の町を囲む山々に「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の5つのかがり火が厳かに焚きあげられる光景は、1200年以上の歴史を重ねてきた古都ならではの風情。火が消えた後の闇の静寂が、夏の終わりと秋の訪れを感じさせてやみません。そんな京都ならではの伝統行事を、それぞれの想いとともに満喫いただける多彩な旅をご用意しました。
それぞれに魅力あふれる4コースラグジュアリーなバス旅も
夏の京都旅行は暑さが気がかり……そんな声にお応えして、いずれのコースも冷房の効いた観賞場所や観覧先を厳選。ゆったり、快適なひと時をお過ごしいただけます。
Aコースは、「ホテルオークラ京都」に2連泊。優雅な客室から、東山如意ヶ嶽(にょいがたけ)に灯る「大文字」をゆったりとご覧いただけます。「美山荘」の涼しいお部屋で味わう鮎と夏の摘草料理も、楽しみの1つです。今宮神社では、名物のあぶり餅をぜひどうぞ。Bコースは、祇園の「割烹いがらし」で京料理の夕食を堪能した後、「将軍塚青龍殿」の特設観覧席へ。東山の山頂から望む5つの送り火に、思わず息を呑むことでしょう。
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「ホテルオークラ京都」の客室から、東山如意ヶ嶽の「大文字」
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「将軍塚青龍殿」の特設観覧席から「五山送り火」のすべてを観賞
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今宮神社では、名物のあぶり餅をぜひとも味わいたい
続いてのCコースは、「京料理 萬重(まんしげ)」で夕食を嗜んだのち、その屋上から「五山送り火」を観賞。特に「左大文字」は、揺らめく炎や煙の流れまでを目にすることができます。故瀬戸内寂聴さんが晩年に暮らした「寂庵」を特別拝観する機会も設けました。約30年間、堂守を務める馬場君江さんのお話も貴重な体験になるでしょう。
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故瀬戸内寂聴さんが晩年に暮らした庵の庭には、「寂」と彫られた石が
Dコースは、古都の伝統行事を心静かに満喫したい方におすすめ。「奈良ホテル」の敷地内に佇む旧大乗院庭園からは、「奈良大文字」を。そして「ホテルグランヴィア京都」の客室からは、「五山送り火」をご堪能いただけます。部屋の照明を落とし、その先に煌めく炎を眺めるほどに、忙しい日常が遠い昔のように感じられてきます。滋賀の山奥に隠れ家のように佇む「比良山荘」の“盛りの鮎”も、忘れがたい美食体験になるでしょう。
座席数10席のラグジュアリーバス「YuGa」とともにめぐる、優雅なバス旅もご用意しました。徳島で阿波おどりの熱狂を満喫したのちに、行き先を京都に向け「五山送り火」を観賞していただきます。さて、どのコースにしようかと大いに迷うのも、楽しいひと時です。