関西発着で旬の美食を堪能する2つのコースをご案内します。
まずは下関の名店で本場のふぐをいただく山口の旅。日本では縄文時代から食されてきた「ふぐ」。豊臣秀吉により「河豚(ふぐ)食禁止の令」が発布されて以来ふぐは長くご禁制の魚でしたが、明治時代になり、初代内閣総理大臣・伊藤博文が、下関の割烹旅館「春帆楼」で食べたふぐの味に感動し、ふぐ食は解禁されました。「春帆楼」はふぐ料理公許第1号となり、現在は全国に支店が展開される名店。今回は「下関春帆楼本店」にて、とらふぐ薄造り、唐揚げ、ちり鍋、白子酒蒸し、雑炊で締めるふぐ会席をいただきます。
ふぐは淡泊で身が硬いことから、ふぐ刺しは薄造りにして供されます。ここでは厳選されたふぐを丹念に仕込んで食感と旨味を引き出し、熟練の包丁さばきで皿の絵柄が透けて見えるほど薄く引き、華やかに盛り付けます。それを箸でひと掬いし、ふぐの薄造り専用に栽培されたシャキシャキとした安岡葱を巻き、特製ぽん酢でお召しあがりいただくのが、ふぐのおいしさを知り尽くした春帆楼ならではの食べ方です。
お泊まりは、長門湯本温泉の静かな山間に佇む名旅館「大谷山荘」。大浴場には大小合わせて11もの趣の異なる湯船があります。音信(おとずれ)川のせせらぎを聞きながらのんびりとお寛ぎください。
観光は萩城下町を中心に、松陰神社や世界遺産の松下村塾、木戸孝允旧宅など幕末の志士の故郷や、絶景を望む元乃隅神社などの名所をご案内します。
2つ目のコースは松葉がにを食する島根、鳥取の旅。日本海に生息するズワイ蟹のうち、島根、鳥取、兵庫で水揚げされた、成長した雄のみが「松葉がに」と呼ばれ、高級食材として扱われます。漁は毎年11月初旬に漁が解禁されます。沖合底引き網漁船によって水揚げされた甲羅幅11センチ以上のものは、基準を満たした蟹であることを証明するタグ(付け札)が取り付けられ、生きたまま出荷されます。
今回は三朝(みささ)温泉「万翆楼(まんすいろう)」にて、解禁して間もない初物の松葉がにを味わいます。ぎっしり詰まった身と濃厚で上品な甘味が特徴の、鳥取を代表する冬の味覚の王様です。まずは食前酒の蟹酒にはじまり、活蟹の洗い、天ぷら、焼き蟹、活蟹すき鍋、名物の“幻の海老”といわれるモサ海老と蟹のクリームスープまで、松葉がにを味わい尽くします。
ご宿泊いただく三朝温泉は世界屈指のラジウム温泉。新陳代謝が活発になり、免疫力や自然治癒力が高まるといいます。「万翆楼」では、自家源泉が3本あるので、浴場ごとに異なる泉質を愉しめます。
さて、旧暦10月は全国の八百万(やおよろず)の神々が出雲大社へ会議に集まる月。ほかの土地では神様が留守になるので“神無月”と呼ばれ、逆に出雲だけは神様が参集するので“神在月”と呼ばれています。厳かな雰囲気に包まれた境内を案内付きで参拝します。
翌日は、国宝・松江城の外堀を、こたつ船でめぐります。足立美術館では見事な日本庭園と、横山大観の『紅葉』を鑑賞します。