歴史を語る町並みや、四季折々の風景。京都を彩るさまざまな魅力のなかでも、特に外せないのは食文化でしょう。三方を山に囲まれた地でありながら、海の幸も含む豊富な食材で織りなされる京料理。そこには、「御食国」の存在を欠かすことができません。
御食国とは、古代から平安時代にかけて、皇室や朝廷に海産物などを献上していた地のこと。「志摩の国」「若狭の国」「淡路の国」などが、主な国といわれています。
現代ではブランド食材にもなっている御食国の特産品を、地元で味わい、京都を訪ねる。そんな冬の旅をご用意しました。日程を別にした3つのツアーなので、複数の旅をお楽しみいただくこともできます。こだわりの料理に舌鼓を打ちながら、日本古来の食文化が辿った道のりを訪ねてみませんか。
三重県南部、現在の鳥羽市や志摩市周辺を含む志摩の国。太平洋に面した半島は、古くから海の幸に恵まれてきました。素潜りで漁をする海女文化は、万葉集のなかでも歌われているほどの長い歴史を誇ります。
人と自然が共存しながら歴史を重ねてきたこの地で、日本一の漁獲量を誇るのが「伊勢海老」です。三重県では産卵期の5~9月を禁漁とし、大きく育ったものだけを水揚げしています。「生で良し、焼いて良し、茹でて良し」といわれるその味わいを、老舗割烹「大喜」の会席料理でご堪能ください。
京都では、南禅寺にほど近い「瓢亭」へ。400年以上の伝統を受け継ぐ料亭で、懐石料理をお召しあがりいただきます。
海を抱く志摩の国から、京の都へ。時を超えた美食に心が満たされる旅です。
福井県南西部にあった若狭の国。日本海で捕れたさばを塩で締め、京へと運ぶ道のりは「鯖街道」と呼ばれ、さまざまな海産物が都に届けられました。
この旅では、甘みのある身がぎっしり詰まった「越前がに」や、脂の乗った「若狭とらふぐ」の料理をお召しあがりいただきます。冬にこそ味わいたい、新鮮で豊かな恵みを堪能していただけるひと時です。大陸からの文化を迎えた玄関口であり、江戸時代には北前船の寄港地でもあったこの地の、風情あふれる町並みも散策します。
京都では、老舗料亭「山ばな平八茶屋」へ。町から少し離れた場所に名店があることは意外に思われるかも知れませんが、実は鯖街道沿いにあり、当時の茶屋を発祥としています。歴史ある町並みに思いを馳せながら、山海の幸を使った懐石料理をお楽しみください。
日本海から都へ、街道が運んだ食文化に深くふれる。そんな旅が待っています。
瀬戸内に浮かぶ淡路島と、その南の沼島。かつて淡路の国と呼ばれたこの地からも、海産物が献上されました。夏の京都に欠かせない「はも」も、沼島の名産です。
冬に旬を迎えるのは、淡路島の南西、福良湾で育てられた「淡路島3年とらふぐ」。一般的に養殖ふぐは2年ほどで出荷しますが、ここではさらに1年をかけ、2倍近くの大きさにまで育て上げます。潮の流れの速い鳴門海峡近くで養殖したふぐは、身が引き締まり、濃厚な味わいに。水揚げされたばかりの新鮮な美味を、季節料理が自慢の「まえ川」でお召しあがりください。明石の料亭旅館「人丸花壇」では明石蛸など、瀬戸内の海の幸も満喫していただきます。
そして京都では、彩りも美しい「手をけ弁当」が名物の「六盛」、京懐石の「下鴨茶寮」などの老舗へ。島の恵みと、京の伝承を味わう旅路をお楽しみください。