[ 国内特集① ]

抱擁の海、神秘の森に出あう

日本が誇る 世界自然遺産へ

企画=柳幸治/黒木貴士 文=浅見浩司
  • イメージ イメージ ボニンブルーの海面を切り裂き、宙を舞うザトウクジラ ©小笠原村観光局

日本で登録されている26件の世界遺産は、多くが「文化遺産」で、地球の歴史や動植物の進化を伝える「自然遺産」はわずか5件にすぎません(2025年8月現在)。今回ご案内する旅は、その貴重な5件に含まれる、「小笠原諸島」と「奄美大島」を満喫する3つのコースです。旅で出あえる手付かずの大自然や、固有の動植物などについてご紹介しましょう。

  • イメージ イメージ

有史以来大陸とつながったことがない
小笠原諸島

  • イメージ イメージ

ボニンブルーの海に巨体が舞う 大自然に包まれた小さな島

東京都心から約1,000キロ南の太平洋に浮かぶ小笠原諸島は、大陸と1度も陸続きになったことがない「海洋島」で、今なお進化・分化の過程にあることから「進化の実験場」とも呼ばれ、維管束植物においては40パーセント弱が固有種といわれています。この孤絶の島々にアクセスする手段はいまだに船のみで、しかも、東京・竹芝桟橋から父島まで片道約24時間。そのため、オーバーツーリズムとは無縁です。定期船「おがさわら丸」には、個室船室やゆったりしたパブリックスペース、快適に過ごせる設備も充実しているので、のんびりと船旅をお楽しみいただけることでしょう。

ツアーで訪れる2月と3月はホエールウォッチングのまさにベストシーズン。ザトウクジラが、出産や子育てのために、北の海域から小笠原近海へ回遊してくるので、写真のような沿岸付近での跳躍シーンに出あえることもあります。今回は、貸切ボートに乗って、ボニンブルーの海に舞うクジラを観察する予定です。また、海況が良ければ、小笠原を代表する風景の1つで天然記念物でもある、無人島「南島」に上陸することにもなっています。

  • イメージ イメージ 東京・竹芝桟橋と父島・二見港を片道約24時間で結ぶ、全長約150メートルの「おがさわら丸」©小笠原村観光局
  • イメージ 父島で3連泊する、南国情緒あふれる「ホテル・ホライズン」 ©(株)ナショナルランド
  • イメージ 「おがさわら丸」の客室は、個室へのアップグレードも可能です。写真は、特等室(スイート)の一例 ©小笠原村観光局

  • イメージ イメージ
  • イメージ イメージ

固有の動植物が息づく森歩き さらに南の「母島」へも訪島

地元ネイチャーガイドによる「世界自然遺産の森コース」は、向学心をかき立てられる内容に頷きの連続となるでしょう。一体どのようにしてこの隔絶された島に生き物がやってきたのか、そしてどのように拡がり、生態系を形成していったのかなど、じっくりとご案内します。高台からの絶景もご覧いただけるので、どうぞお楽しみに。

さらにこのツアーでは、父島から約50キロ南に浮かぶ、「母島」も訪れます。世界中で母島周辺にしか生息していない、特別天然記念物で絶滅危惧種でもある野鳥「ハハジマメグロ」との出あいに、期待が高まります。小笠原固有種の「マルハチ」や、「ヘゴ」などの木生シダ類にもご注目ください。

  • イメージ イメージ 母島の小剣先山(しょうけんさきやま)からの眺望 ©(株)ナショナルランド
  • イメージ イメージ

固有の自然を宿す、東洋のガラパゴス
奄美大島

  • イメージ イメージ

“奄美最後の秘境”の島やマングローブ原生林をめぐる

鹿児島本土と沖縄本島のほぼ中間に位置する奄美大島で、“東洋のガラパゴス”といわれる神秘的な自然を満喫する3日間のツアーは、2コースご用意しています。Aコースのハイライトは、貸切船で体験するザトウクジラのホエールウォッチングと、奄美大島南端の古仁屋(こにや)港沖に浮かぶ、加計呂麻島(かけろまじま)貸切クルーズ&上陸観光です。加計呂麻島は、観光地化が進んでいない、〝奄美最後の秘境〟と呼ばれる楽園。波、鳥、風の音しか聞こえない静寂のなか、手付かずの島の原風景に浸っていただきます。

  • イメージ イメージ 加計呂麻島クルーズで立ち寄る、“船でしか行けない秘境”

もう1つのBコースは、南国の春を告げる花々が咲き、島全体が命の祝福に包まれる3月下旬のツアー。その見どころの1つが、沖縄西表島に次ぐ日本第2の規模を誇るマングローブ原生林の遊覧船めぐりです。海水と淡水が混じる汽水域の川をゆっくり遡ると、根が水面に張り出すマングローブの幻想的なトンネルがどこまでも広がります。また、地元のネイチャーガイドが案内する、奄美の森での自然観察も胸躍る体験です。奄美を代表する固有種・希少植物が多く分布する亜熱帯照葉樹林地帯で、淡いピンクの花を咲かせる「アマミセイシカ」、白い鈴型の花をつける「リュウキュウアセビ」などの植物や、美しい鳥たちの澄んださえずりをご堪能ください。

  • イメージ イメージ 奄美大島中南部に広がるマングローブ原生林を遊覧船で観光
  • イメージ イメージ

神秘的な大自然に抱かれたウェルネスリゾートに2連泊

宿泊は、2コースとも、奄美大島の最南端に位置するウェルネスリゾート「THE SCENE」に連泊します。ここは、アダンの木に囲まれた庭、白砂のビーチ、ウミガメが生息する青く透き通った海、加計呂麻島が目の前に広がる、まさに大自然に抱かれた神秘の世界です。そのコンセプトは「ネイチャークレンズ」。これは、奄美大島の自然のなかでゆったり過ごすことで、心・体・脳を浄化し、感性を研ぎ澄ませ、本来の自分を感じることを意味しています。また、加計呂麻島と向き合うウッドデッキでの「サンライズヨガ」や、屋上テラスで満天の星を眺めるのも、世界自然遺産の地ならではの豊かな時間になることでしょう。

  • イメージ イメージ 「THE SCENE」から望む、“神の島”と崇められる加計呂麻島
  • イメージ 「THE SCENE」のレストランでお召しあがりいただく、和食コース料理(一例)
  • イメージ 空、海、島の表情の変化を楽しめる、「THE SCENE」客室からの眺め(一例)
  • イメージ イメージ
  • イメージ イメージ
小笠原諸島・奄美大島を 訪ねる旅の詳細を見る