古くから「一生に1度は善光寺参り」と語り継がれてきた「信州善光寺」は、1度参拝すれば極楽往生が叶うといわれる、男女平等の救済を説く寺院です。御本尊は「一光三尊(いっこうさんぞん)阿弥陀如来像」。1つの光背のなか、中央に阿弥陀如来、向かって右に観音菩薩、左に勢至菩薩が並ぶ、独特のお姿をされています。しかし、御本尊は絶対秘仏で、誰一人、たとえ住職であっても直接拝むことはできません。鎌倉時代、そんな御本尊の御身代わりとして、まったく同じ姿につくられたのが「前立本尊(まえだちほんぞん)」です。普段は御宝庫に安置されているその前立本尊を、数え年で7年に1度、本堂にお迎えして行われるのが「善光寺前立本尊御開帳」。令和4年の御開帳は、新型コロナウイルス感染症の影響で昨年から延期になっていたもので、4月3日から88日間にわたり開催されます。
御開帳の期間中は、本堂前に、高さ約10メートルの回向柱(えこうばしら)が建立され、本堂内の前立本尊と「善の綱」で結ばれます。そのため、回向柱にふれると前立本尊にふれるのと同じ功徳が得られるといわれ、柱付近は毎回、参拝者で賑わいます。今回の三越伊勢丹ニッコウトラベルの旅では、本堂内部に入り、内陣から内々陣へ。御祈願の法要が営まれるなか、御本尊が安置されている瑠璃壇の幕が上がり、10数秒程度お姿を間近で拝むことが叶います。そんな阿弥陀如来とのありがたい結縁には、ご参加のどなたもが心震えるに違いありません。
今回の旅では、善光寺の宝印を額に押されることで極楽往生が約束されるといわれる「御印文頂戴(ごいんもんちょうだい)」もお受けいただけます。また、境内は、公認案内人の方の解説付きで参拝。重要文化財の山門や歴代の回向柱などをめぐりながら、パンフレットやホームページに書かれていない、興味深いエピソードもお話しいただきます。
画像提供:善光寺
今春に善光寺前立本尊御開帳を参拝するコースは3つ。そのうちの2コース(「殊の旅」と「和の旅」)は、上田市にある「北向観音(きたむきかんのん)」にも訪れます。昔から厄除観音として信仰を集めるこの霊場は、千手観音を御本尊として現世利益を願うところ。現当二世安楽(この世と来世とにわたる幸せ)を願い、善光寺と合わせて参拝する人が多いことでも知られています。また、本堂が北を向いているのは日本でほとんど例がなく、そのため北向観音と呼ばれるようになったといわれています。
「殊の旅」のコースでは、創業100年を超える老舗旅館「かしわや本店」に宿泊。枕草子にも詠われた別所温泉の名湯を、総檜の吹抜風呂や岩風呂といった趣ある多彩なお風呂でご満喫いただけます。また、すぐ隣にある北向観音の参拝ができるのもこの宿ならでは。“花の寺”とも呼ばれる「前山寺(ぜんさんじ)」では、名物の「くるみおはぎ」をいただきます。さらに、御開帳参拝後の昼食に訪れる「THE FUJIYA GOHONJIN」も魅力のスポット。長野県民憧れの結婚式場として知られ、大正ロマンが薫る美しい洋館で、長野の食材を活かした本格イタリア料理をお召しあがりいただきます。
一方、「和の旅」のコースでは、開湯から1350年を超える名湯・湯田中温泉に宿泊します。宿は、昨年8月にリニューアルした「あぶらや燈千」。信濃川水系の夜間瀬川(よませがわ)や信州の山並みを一望する露天風呂での湯あみは、心も体も癒されるひと時です。また、この旅でのもう1つのおすすめが、善光寺を参拝した後に訪れる、小布施にある葛飾北斎の肉筆画美術館「北斎館」。北斎晩年の最高傑作ともいわれる祭屋台天井画をはじめ、数多くの肉筆画、版本、錦絵などをゆっくりとご鑑賞いただけます。
善光寺を参拝する3つ目のコースでは、信州を代表する桜の名所4カ所へもご案内します。なかでも特に見ごたえのあるのが、伊那市にある「高遠城址公園」の桜。廃藩置県で取り壊された高遠城跡一帯に、約1,500本のタカトオコヒガンザクラという華やかな花色の固有種が咲き広がります。また、現存天守を残し、アルプスの山々を借景とする国宝の「松本城」で見る桜も格別。残雪の北アルプス、黒と白のコントラストが美しい天守との競演は、ここでしか見られない圧巻の麗しさです。
2泊目に泊まる、美ヶ原温泉「翔峰」からの眺めも壮観。大迫力の北アルプス、松本城下の煌びやかな夜景を、客室や展望露天風呂などから一望できます。善光寺での特別な体験に加え、日本有数の桜の名所や信州の大自然も楽しめる充実の2泊3日をご満喫ください。