まぶしい新緑が湖面に映り、旅のひと時をやさしく彩ります。スイスとの国境にほど近い、北イタリアのコモ湖畔。豊かな森に抱かれたこの地は、ローマ時代から貴族たちに愛され、多くの邸宅が建てられてきました。そのなかでひときわ存在感を放つ、おしゃれな建物があります。それが、「ヴィラ・デステ」。エステ家の別荘という名を持つホテルです。世界のトップスターや著名人を魅了するこのホテルに泊まり、春のイタリアをゆったりとめぐる、2つのツアーをご用意いたしました。
ヴィラ・デステの広大な庭園に入ると、咲き誇る花々の香りに包まれます。山から流れる水を利用した階段噴水が涼し気な音色を奏で、歩くほどに誘われる非日常の世界。フランス映画の名作『舞踏会の手帳』のロケ地でも知られる美しい佇まいのなかには、数々の物語が刻まれています。現在の壮麗な姿からは想像のつかないことですが、そのはじまりは15世紀半ばにコモ司教の命によって建設された質素な修道院でした。
16世紀半ば、枢機卿であるトロメオ・ガリオがここを夏の離宮とし、邸宅に改装します。その後、時代を経て主が移り変わり、19世紀のはじめにはイギリスのキャロライン王妃の邸宅となったことも。王妃はローマ郊外のチボリにある豪華な「エステ家の別荘」に影響を受け、ここを「ヌオーヴァ・ヴィラ・デステ(新しいエステ家の別荘)」と呼ぶようになります。これを引き継いで、1873年、ホテル「ヴィラ・デステ」としての新たな歴史がはじまりました。
時を超えた邸宅で待つのは、この上なく優雅なひと時。庭園を抜けてロビーに入ると、息を呑むような美しさの調度品など、貴族たちの時代が香り立ちます。
憧れのヴィラ・デステに泊まる旅。1つ目にご紹介するのは、5月31日・6月7日出発の9日間の旅。旅情あふれる街並みと、雄大な大自然という、変化に富んだ北イタリアを満喫するツアーです。
旅のはじまりは、ゴンドラが行き交う水の都ベニスから。おしゃれな邸宅や教会が建ち並ぶ運河沿いを歩けば、船頭の歌声が聞こえてきます。何度訪れても心躍る街を存分に味わっていただきたく、宿泊は街の中心にあるホテルを選びました。しっとりと落ち着いた夕暮れ時、静謐に包まれた明け方。日中とは違う風情に包まれた街歩きもぜひお楽しみください。
隣町の古都パドヴァでは、スクロヴェーニ礼拝堂へ。壁一面のフレスコ画は、西洋絵画の父と謳われる巨匠ジョットによるもの。マリアとイエス・キリストの生涯を描いた1連の作品は圧巻です。
そして、3,000メートル級の山々が連なるドロミテの峡谷へ。東西に広がるドロミテは、歴史や文化にも違いがあります。東のコルティナ・ダンペッツォは、陽気なリゾート地。西のボルツァーノは第一次世界大戦後にイタリア領になりましたが、もともとはオーストリア領だったため、今もその時代の文化が色濃く残ります。
旅の最後は、コモ湖畔へ。ヴィラ・デステでのひと時が、旅を華やかに締めくくります。
もう1つのツアーは、5月19日・26日出発の9日間の旅。美食で知られるピエモンテ州のトリノからはじまります。名門サヴォイア家がこの地を都としたのは、16世紀のこと。王宮や大聖堂に足を踏み入れれば、まばゆいばかりの装飾に目を奪われます。華やかな時代を物語る古都を、ゆったりと満喫しましょう。
3連泊というゆとりあるスケジュールで、郊外にも足を延ばします。ピエモンテ丘陵では、イタリアを代表するワインの産地であるバローロへ。「イタリアワインの王様」と称される深い味わいを生み出すワイナリーを見学します。さらにスローフード発祥の街であるブラでは、スローフード協会直営のレストランでのランチタイムも。
緑豊かな丘陵地帯を越えてリビエラ海岸へ。カラフルな街並みが続くポルトフィーノを楽しみ、ローカル列車に乗って海岸沿いの村にも出かけます。色とりどりの家々が急斜面に建ち並ぶチンクエテッレなど、海の青さとともに、絵画のような風景が続きます。
そして、コモ湖で迎えてくれるのは、華麗なるヴィラ・デステ。旅路を振り返りながら邸宅で過ごすひと時は、どこまでも深く、心を満たしてくれることでしょう。
今回ご紹介したツアーをはじめとする、海外への「和の旅」は、全20コースをご用意いたしました。ヨーロッパやトルコ、北米、アジア、ハワイなど、それぞれにゆとりを大切にしたスケジュールで、魅力あふれるツアーをお届けいたします。
※ツアー催行の可否は外務省発出の感染症危険情報ならびに、訪問国および帰国時の自主隔離期間の有無等を総合的に鑑みて判断します。