世界には不思議な場所に立つ建物がありますが、ギリシャのメテオラ修道院もどのように建てられたのかと驚くものの1つでしょう。このメテオラを含めて四つの世界遺産を旅する、エーゲ海・黒海の船旅を紹介します。客船ノルウェージャン・ジェイドでギリシャのアテネを出港し、トルコのイスタンブールや、エーゲ海を代表する島々など珠玉の寄港地を訪れるクルーズです。
最大の見どころはギリシャの寄港地ボロスからバスで訪問するメテオラ。テッサリア平原に広がる奇岩群とその上にそびえるメテオラ修道院群は、文化遺産と自然遺産の両方の価値を兼ね備えた「世界複合遺産」でもあります。2021年の時点で世界複合遺産は三九件で、計1,154件ある世界遺産全体から見ても貴重な存在といえます。
メテオラはギリシャ語の「中空に浮かぶ」という言葉が由来で、その険しい自然景観はギリシャ正教の修道士にとって神に近い場所をイメージできる祈りの場に理想的な場所だったと思われます。20世紀はじめまでは岩山に階段や梯子もなく、生活物資を運ぶ手段は滑車を使った網袋だったそう。今でも修道院で敬虔な修道士たちが、戒律を守りながら生活をしています。
メテオラの岩山には数々の修道院がありますが、その1つがフレスコ画の美しいヴァルラーム修道院です。14世紀、ヴァルラームが修行のための小屋と小さな教会を建てたのがはじまりで、たった1人で住み続け、祈りを捧げていた場所でした。増改築を重ねて今の姿になり、内部の壁画は見惚れてしまうほどの美しさです。メテオラの修道院には1つひとつ物語があり、それらを聞きながらめぐるのも楽しみです。
このコースには、ほかにも一度は見ておきたい世界遺産が登場します。アテネでは、アクロポリスのパルテノン神殿、クサダシでは古代都市のエフェソス大遺跡へ。黒海沿岸の都市イスタンブールではオスマン・トルコの栄華を伝え、建築の美しさでも名高いブルーモスク、キリスト教会がモスクへと転用されたアヤソフィアをめぐります。イスタンブール入港時にはモスクの鉄塔がそびえる街並みを船上からご覧いただけるでしょう。
このほかにヨーロッパのコースで世界遺産を満喫できるのが北欧クルーズです。船旅でこそ訪れたい絶景スポットはいくつかありますが、その1つがノルウェーのフィヨルド。白雪を抱いた、険しい山々に囲まれながら、客船が鏡のような水面を進んでいくフィヨルドクルーズは必見です。
2021年に就航した新造船ロッテルダムで航海するクルーズはアムステルダム発着。ノルウェーの代表的なフィヨルドや北海の近くに位置するオーレスン、歴史ある港町ベルゲンなどを訪問。徒歩観光を減らして旅ができる「ゆったり度2」のコース設定で、長時間歩行しなくても船上や車窓などから景色をお楽しみいただけます。
ハイライトとなる世界最大規模のガイランゲルフィヨルドは、「西ノルウェーフィヨルド群」として世界遺産に登録されています。氷河の浸食によって削られたU字谷に水が浸入してできたフィヨルドと高い山々の眺めは壮大。ガイランゲルフィヨルドの全長は約16キロもあり、7つの滝が並ぶ「七姉妹の滝」など、その特徴から名称が付けられた見どころが点在しています。
また、ガイランゲルフィヨルドの絶景を眺望できる複数の展望台にご案内することで、陸上からも景観を楽しめるコースとなっております。なかでもダールスニッパ展望台は標高約1,500メートルにあり、フィヨルドのパノラマを楽しめます。乗船してきた客船を高い位置から見下ろすのもまた一興です。夕方は静寂に包まれる景勝クルーズへ。心洗われる大自然を船上でゆったりとご覧いただけます。
北欧でのもう1つの見どころは、ノルウェー最大の港湾都市でもあるベルゲン。ハンザ同盟時代の姿を残す木造倉庫が並ぶブリッゲン地区が世界遺産に登録されています。カラフルな建物がかわいらしい街並みや、ケーブルカーで山からの眺めを楽しみましょう。船上デッキでも過ごしやすい夏至の季節、ベストシーズンの北欧クルーズをご堪能ください。