[ WEB限定特集① ]
「にっぽん丸」
チャータークルーズ
クルーの皆さんに直撃インタビュー!
企画=南家知文/原田知美/鈴木麻未/小林絵梨/阿部遥奈
文=大友園子
スカイニュース2月号の特集でご紹介した「にっぽん丸」クルー6名へのインタビューに続き、今回は、紙面で掲載できなかったお話やエピソードなどを含めフルバージョンでご紹介します。
船長/二宮 悟志さん
美しい風景、珍しい風景を楽しんでいただけるよう
航路を選んでいます
Q:船長とは、どのようなお仕事ですか。
A:船舶の安全運航指揮管理とお客さまに船旅を楽しんでいただくことです。
Q:どのような気持ちでお客さまをお迎えしていますか。心掛けていることはありますか。
A:クルーズは一般的なレジャーとなりつつありますが、「にっぽん丸」ならではの船旅を楽しんでいただけるよう心がけてお客さまをお迎えしております。季節や天候によってイルカや鯨などと遭遇する可能性の高い航路を選択し、海上から見る美しい風景、珍しい風景などをお楽しみいただけるような航路を選んでいます。
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「安全を第一」にお客さまに楽しんでいただける航路を選ぶ
Q:乗船中、お客さまと会える場所、ふとすれ違う可能性のある場所はありますか。
A:残念ながら、新型コロナウイルス対策のためお客さまと直接お会いすることはできません。
Q:お客さまに、船やクルーズをどのように楽しんでいただきたいですか。
A:はじめてご覧になる風景、はじめて訪れる所、人との出あい、そしてイルカや鯨などとの遭遇を期待し、船旅がワクワクするように楽しんでいただきたいと思っています。
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横浜港を出航し、まもなくベイブリッジを通過する
Q:チャータークルーズへの意気込みをひと言。
A:「にっぽん丸」ならではのクルーズをぜひお楽しみください!
Q:にっぽん丸のクルーになったきっかけは?
A:運よく募集があったからですが話せば長くなりますので、乗船した時、機会があればお話しいたします。
Q:「にっぽん丸」のあるあるを教えてください。
A:まず、乗組員用の食事もおいしい。国内では帆船の日本丸と間違えられる。船舶無線で「にっぽう丸」「にっこう丸」などと聞き間違いしてしまう、などです。
Q:「にっぽん丸自慢」を教えてください。
A:長年引き継がれてきたおいしい食事・安全な航路やお客さまに楽しんでいただける経験、航路を多くもっていること。大きくも小さくもない船体なので機動性がよく他社客船が寄港できないような港でも訪れることができることです。
Q:思い出に残る港は?またその理由をお聞かせください。
A:フランスのルーアン。朝起きて入港作業のためデッキへの扉を開けたら、まず森の香りがして、外を見るとまるで森のなかにいるように感じました。普段はまず目で見てから感動することが多いですが、ルーアンでは鼻で匂いから感動しました。今でもあの優しい香りを覚えています。
ゼネラルマネージャー/福元 剛さん
ご自分のお屋敷が寄港地間を
移動している、と思っていただきたい
Q:ゼネラルマネージャーとはどのようなお仕事ですか。
A:サービス部門の責任者として、「にっぽん丸」のサービスやホテル組織の管理、維持を担当しています。また、スタッフの就業環境、生活環境が整うように努めています。
Q:どのような気持ちでお客さまをお迎えしていますか。心掛けていることはありますか。
A:お客さまに居心地よい船上生活をお送りいただけるよう日々注力しています。
Q:乗船中、お客さまと会える場所、ふとすれ違う可能性のある場所はありますか。
A:朝食時にダイニングで朝のご挨拶。昼夜、マグロのように船内を巡回しています。さまざまなシーンでお目に掛かれますのでお気軽にお声がけください。
Q:お客さまに、船やクルーズをどのように楽しんでいただきたいですか。
A:お客さまが住まわれているお屋敷が寄港地へ移動していると思ってください。お気楽、お気軽にリラックスされての生活をお過ごしいただきながら、夜はちょっとおめかしして夕食やメインショーでご旅行気分を満喫していただきたい。バーではお好みのお酒を。ノンアルコールカクテルにもバーテンダーは腕を振るいます。あるいは大浴場でリラックスを決め込まれてもよろしいかと。
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バーではノンアルコールドリンクも気軽に楽しめる
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洋上のグランドバスでリラックスするのもおすすめ
Q:チャータークルーズへの意気込みをひと言。
A:ご要望にできるだけ沿うよう努めます。
Q:にっぽん丸のクルーになったきっかけは?
A:学卒(旧神戸商船大学)で商船三井客船に入社。気が付けば今になっています。
Q:乗船中の失敗談やハプニング、エピソードなどありましたらお聞かせください。
A:毎日が終わりのないエピソードの連続です。お恥ずかしながら、お客さまのお名前を間違えて覚え、冷や汗をかくことが今でも度々あります。その節は申し訳ありません。
Q:「にっぽん丸」のあるあるを教えてください。
A:コンフォート、スーペリアキャビンの靴ベラは、金庫の上の棚に「置いてあります」。普通はロッカーや玄関にかけてありますが、揺れると「音を発する」ので苦渋の判断です。「にっぽん丸しましまバッグ」や、シューポリッシュはドロワー三段引き出しのさらに下の段に収納してありますので、ぜひご活用ください。
Q:「にっぽん丸自慢」を教えてください。
A:日々、クルーの調和。
Q:思い出に残る港は?またその理由をお聞かせください。
A:アカプルコ(メキシコ)。入社初年の長期航海(青年の船)での寄港地。その後もワールドクルーズや青年の船で度々寄港し、さまざまな思い出があるため。“ラテン”に何かと血が騒ぐのはこのためか…、と。
Q:乗船前後に行う験担ぎやルーティンがありましたら教えてください。
A:月並みですが、安全航海、商売繁盛、無病息災、家内安全を願いお宮参り、です。
「にっぽん丸」チャータークルーズ クルーの皆さんに直撃インタビュー!〈フルバージョン〉
一等機関士/渡邉永寿さん
船の底で
お客さまの笑顔をイメージしながら
Q:一等機関士とはどのようなお仕事ですか。
A:推進力であるプロペラをまわすメインエンジンのほか、船内の電気、蒸気、空調などのインフラ整備やオペレーションをつかさどるのが機関部です。一等機関士は、主にメインエンジン関連の整備を管理するほか、機関部の長である機関長のもとで、機関部全体の労務管理なども行っています。
Q:どのような気持ちでお客さまをお迎えしていますか。心掛けていることはありますか。
A:ステージへの登壇機会のある機関長や、空調調整などでお客さまのお部屋に伺うチャンスのある三等機関士などは、お客さまにふれあえる場もありますが、私の立場ではほとんどありません。ですが、船の底のほうの機関室では、常に船内のお客さまの笑顔をイメージしながら、心を込めて、機器の整備やオペレーションを行っています。
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「安全運航」のために機関士たちは日夜働く
Q:乗船中、お客さまと会える場所、ふとすれ違う可能性のある場所はありますか。
A:船内には、機関室以外にも、操舵機室、冷凍機室、空調機室などの「機関区域」があります。それらを点検や整備するため、お客さまの居住エリアを通ることがあり、その際にお客さまとすれ違うぐらいでしょうか。普段は仕事に適した「ツナギ姿」ですし、その作業用ツナギにも機械油がしみ込んでいることが多いので、なるべくお客さまとは鉢合わせしないルートで機関区域へ向かうようにしています。でも、そんな姿でお会いしてしまったときも、お客さまにはいつも笑顔でご挨拶いただきます。先ほどお話した機関室でイメージしている「笑顔」と、ご挨拶いただいたときの「笑顔」が重なり、こちらが癒されています。
Q:お客さまに、船やクルーズをどのように楽しんでいただきたいですか。
A:寄港地ごとにさまざまな魅力がありますが、船内生活もぜひともゆったりと楽しんでいただきたいと思います。
Q:チャータークルーズへの意気込みをひと言。
A:機関部として一番大切なことは「安全運航」。そして、お客さまに快適な船内生活をお送りいただくことです。船齢が若干高いところは、我々のきめ細やかなメンテナンスでフォローいたします!
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船の安全を担う頼もしい機関士たち
Q:にっぽん丸のクルーになったきっかけは?
A:10数年前までは、帆船の日本丸や海王丸で知られる「航海訓練所」という船舶の技術者を育てる国の組織で、機関科教官として11年ほど所属していました。実習生との日々もドラマチックで楽しかったのですが、「教務」よりも、「船務(エンジニアとしての仕事)」も奥深くやっていきたいと思うようになり、陸上勤務の少ない弊社に転職しました。
Q:乗船中の失敗談やハプニング、エピソードなどありましたらお聞かせください。
A:仕事ではないのですが、海外の寄港地で休日を過ごしている時、現地下船で入院となるような大けがをしたことがありました。会社、同僚たちに大迷惑をかけてしまったのですが、弊社の私に対する手厚いケアに、申し訳ないと思いつつ感激しました。
Q:「にっぽん丸」のあるあるを教えてください。
A:一般商船(主に旅客船以外)は、クルー人数が少ないため、一人の食事の量がおおよそ決まっています。「にっぽん丸」の場合はクルーは大勢いて、しかも食事をとる時間がまちまちなのでビュッフェ形式になっています。コロナ禍の今では感染予防対策を重ねたうえでのビュッフェ形式ですが、言わば「好きなものを好きなだけいただける」状況です(笑)。ですので、私のような大食漢は「つい食べ過ぎてしまう」ことが、にっぽん丸のあるあるではないでしょうか。えっ?私だけですか?
Q:「にっぽん丸」自慢を教えてください。
A:一社一船体制には、良い点と悪い点がありますが、「にっぽん丸」では、良い点ばかりが感じられます。そこがにっぽん丸の強みであり長所だと思います。通常の商船では、転勤(転船)のたびに、初めて乗る船や久々に乗る船ばかりですが、「にっぽん丸」のクルーは休暇や陸上勤務を終えても、また「にっぽん丸」に戻ってきます。いつもの環境、いつものメンバーで仕事ができるので、はじめから100%出力で仕事ができます。こうした環境こそが「にっぽん丸」自慢だと思っています。
Q:思い出に残る港は?またその理由をお聞かせください。
A:長崎です。航海訓練所時代のことですが、長崎港停泊中に、今の家内(初婚です)が船を訪れ、そのまま長崎の市役所で入籍しました。千葉市在住ですが、書類にはきちんと「長崎市長より送付」の一文が入るんですよ。
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長崎港は渡邉さんの思い出の地
Q:乗船前後に行う験担ぎやルーティンがありましたら教えてください。
A:家族で私しか車の運転をしないので、乗船中はしばらく車を動かすことがありません。ガソリンエンジン車に乗っていたころは、勤務明けは毎度バッテリー上がりでエンジンがかからなくなっていました。現在は電気自動車に乗っているので、そういうことはなくなりましたが、走行用バッテリーの劣化防止のため、乗船前には「走行用バッテリーの容量を80%の充電にしてから停める」ことを守っています。
それから、私は味のわからない男ではありますが、ラーメンを愛しています。寄港した際は、必ずその地で有名なラーメン店を訪れるのが常でした。別の港で食べた似た味を思い出す「ラーメン神経衰弱ゲーム」が趣味です。ここのところコロナ禍で外食は控えるようにしているので寂しいです。
「にっぽん丸」チャータークルーズ クルーの皆さんに直撃インタビュー!〈フルバージョン〉
イベント部門/水野 久仁子さん
今日もお客さまの笑顔を探しています
Q:イベント部門ではどのようなお仕事をされていますか。
A:主にイベントで司会をつとめていますが、そのほかにもイベントスタッフとして企画や運営もしています。
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毎夜繰り広げられるショーはクルーズの華
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日々さまざまな船内イベントが乗客を楽しませる
Q:どのような気持ちでお客さまをお迎えしていますか。心掛けていることはありますか。
A:常に笑顔でお客さまをお迎えすること。心を込めて接客するよう心がけています。そしてお客さまと一緒に楽しむこと。お客さまの笑顔を探す旅をしています。
Q:乗船中、お客さまと会える場所、ふとすれ違う可能性のある場所はありますか。
A:ドルフィンホールや各イベント会場でお会いできます。
Q:お客さまに、船やクルーズをどのように楽しんでいただきたいですか。
A:船でなければ見ることができない風景がたくさんあります。たとえば、橋の通過。橋を裏側から見るのは、船ならではの体験。橋が迫りくる光景は圧巻です。また船上ではじめて天の川を見たときは、満天の星に包まれているようで、こんなに星が見えるのか!と感動しました。ぜひ、お客さまにも見ていただきたいです。そして、イベントにもたくさん参加してください。
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真下から眺めるベイブリッジはクルーズならでは楽しめる景観
Q:チャータークルーズへの意気込みをひと言。
A:「笑顔!」です。
Q:乗船中の失敗談やハプニング、エピソードなどありましたらお聞かせください。
A:海外の寄港地ナッソー(バハマ)で帰船しようと港に戻ってきたところ、「にっぽん丸」が見つけられず焦りました。目の前に停泊していた大きな客船が汽笛を鳴らしながら出航したら、隠れていた「にっぽん丸」が姿を現し、ほっと一安心したことを覚えています。無事に帰船時間に間に合いました。
Q:「にっぽん丸自慢」を教えてください。
A:乗組員、スタッフの一人ひとりがおもてなしの心を忘れず、また仲間同士も助け合ってクルーズをつくっていることです。
Q:思い出に残る港は?またその理由をお聞かせください。
A:キール運河(ドイツ)航行中の風景です。両岸に菜の花畑が広がり、のどかな風景が最高でした。その風景を見ながらお客さまと一緒にお弁当を食べたことは、とても楽しい思い出です。
Q:そのほか、何かあれば。
A:心と心がつながるような接客ができたらと思いながら日々過ごしています。勉強の毎日です。
チーフパーサー/内田 史子さん
チャータークルーズで
通常クルーズとはひと味違う楽しみも
Q:チーフパーサーとはどのようなお仕事ですか。
A:ゼネラルマネージャーの下で、ダイニング、客室、調理場、船内営業所など、ホテルサービス部門をまとめる仕事をしています。
Q:どのような気持ちでお客さまをお迎えしていますか。心掛けていることはありますか。
A:街中より安全で安心できる、ホッとできる場所と思っていただけるように、お客さまの乗船前に、客船区画すべての通路・公室を回ってお客さまの気持ちになってチェックしています。
Q:乗船中、お客さまと会える場所、ふとすれ違う可能性のある場所はありますか。
A:2階エントランス、7階のリドテラスやホライズンラウンジ、5階ライブラリー、出港時のプロムナードデッキなどです。
Q:お客さまに、船やクルーズをどのように楽しんでいただきたいですか。
A:海や島々、イルカや鯨といった海洋生物など大自然を目の前で体験することや、入港、出港時のイベントなど寄港地の方々との交流です。
Q:チャータークルーズへの意気込みをひと言。
A:通常のレジャークルーズとはひと味違う寄港地や催し物が楽しみです。
Q:乗船中の失敗談やハプニング、エピソードなどありましたらお聞かせください。
A:世界一周クルーズの最後に、お客さまが私たちに「にっぽん丸の歌」をプレゼントしていただいたことです。
Q:「にっぽん丸自慢」を教えてください。
A:知らないクルー、スタッフはいません。皆仲間です。それから、ライブラリーは小さいながらも魅力的な書籍が増えてきています。ぜひ、お立ち寄りください。
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静かな時間が流れるeカフェ&ライブラリー
Q:思い出に残る港は?またその理由をお聞かせください。
A:アルゼンチンの南先端ウシュアイア。野生のペンギンが街なかを歩いている姿が印象的でした。
Q:乗船前後に行う験担ぎやルーティンがありましたら教えてください。
A:乗船中にはなかなか食べられないので、乗船の前日には、お寿司とケーキを食べることにしています。
総料理長/栁 康紀さん
客船の調理師に憧れ日々食材と向き合う
料理長としての今
Q:お客さまに、船やクルーズをどのように楽しんでいただきたいですか。
A:船内でのイベント、お食事など、日ごろ体験できないような、癒し、感動を感じていただきたい。
Q:チャータークルーズへの意気込みをひと言。
A:おいしいお料理を真心込めてお作りします。
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バラエティーに富んだお食事を、心を込めてお作りします
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食材にもこだわった「にっぽん丸」のお食事の一例
Q:にっぽん丸のクルーになったきっかけは?
A:客船が大好きな専門学校の理事長から、いつも客船のお話を聞いているうちに、船の調理師に憧れたのがきっかけです。
Q:「にっぽん丸」のあるあるを教えてください。
A:停泊の次の日はなぜか元気がない。
Q:「にっぽん丸自慢」を教えてください。
A:第一に客船であること。今は行かれませんが、海外に行ける機会、期間が多いことです。乗組員の仲間意識が高いこと。私の仕事に関しては、主たる食材の原料は一から仕込み、余った部分はソースや出汁などに生かしていることです。
Q:思い出に残る港は?またその理由をお聞かせください。
A:ギリシャのロードス島。島全体がパワースポットでした。
3月26日(土)いよいよ出航迫る!
にっぽん丸のクルーの仕事や日常が垣間見られたでしょうか。
3月26日の出航に向け、お客さまに喜んでいただけるよう、クルーもそれぞれの持ち場で準備を整えています。ぜひ、船上でお会いしましょう。