“日本列島”と言葉が表すとおり、7,000近い島々が南北に点在する日本。北は礼文島から南は波照間島まで、キラ星のように輝く島々を探訪できるこの国の旅人は何と幸せなことでしょう。
ご案内するのは、1993年に日本初の世界自然遺産として登録された屋久島を訪れ、悠久の大自然にふれる旅。オーベルジュ型リゾートホテルに連泊しながら、ウミガメの産卵または孵化シーンに立ち会い、洋上で戯れるイルカの姿や幻想的な「苔むす森」を目のあたりにするほどに、“生命(いのち)の島”と呼ばれるこの島の息遣いまでが聞こえてきそうです。
鹿児島県佐多岬から65キロほどの距離にも関わらず、屋久島では太古の時代に迷い込んだような別世界が待ち受けています。この島は、およそ1,400万年前に海面に隆起した花崗岩で形成。九州最高峰の宮之浦岳をはじめとして、標高1,000メートルを超える山々が沿岸部からそびえる様は、海に浮かぶ山岳のよう。“洋上のアルプス”と謳われる光景が機窓に現れるとともに、旅心が高鳴ります。
屋久島といえば、まず思い浮かべるのが樹齢数千年におよぶとされる直径約3~5メートルに達する杉の巨木。「縄文杉」、「紀元杉」と名付けられているものの、品種自体は日本各地に植生する杉と同じ。にもかかわらず長寿な理由は、栄養分の少ない花崗岩で覆われた土壌で時間をかけて成長するため、高緻密で堅固になるから。また、抗菌性のある樹脂を多く含むため、腐りにくいからと考えられています。
もう1つの特徴は、深淵な森と多雨に恵まれた屋久島は苔の楽園であること。国内で確認されている約1,900種のうち、約600種を見ることができるそうです。温暖帯から冷温帯までの植生が、標高に沿って垂直分布していることも特徴です。屋久島ならではの地形や天候が、世界的にも類を見ない生命の営みをもたらしているのです。
原生林がクローズアップされがちな屋久島ですが、南の島ならではの海の豊かさも見逃せません。この島は、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧種として掲載されているアカウミガメやアオウミガメの北太平洋地域最大級の産卵地。ご案内する旅では、産卵期の7月下旬に1回、孵化期の9月上旬に2回、このツアーのためだけに専門ガイドをお招きし、ウミガメ観察を体験していただける機会をご用意しました。
舞台は、潮騒が静かに聞こえてくる夏の夜の栗生浜(くりおはま)です。息を潜めていると、やがてウミガメがその大きな姿を現し、数十センチ掘った穴のなかにピンポン球状の卵を産み落としていきます。その数、100個ほど。数十分かけて涙を流すかのように母ガメが産卵するシーンは、厳粛な生誕の儀式に立ち会っているかのよう。太陽の光と砂浜の地熱によって温められた卵は、60日ほどで孵化。健気にも母なる海をめざす赤ちゃんガメの姿に、思わず声援を送りたくなることでしょう。
それにしても、一生のほとんどを海のなかで暮らすウミガメが、なぜ産卵時だけ砂浜に上陸してくるのか? 広大な北太平洋沿岸にあって、屋久島の砂浜を目指してくるのか? その神秘なる生命の摂理に感嘆するばかりです。
日常を忘れ、のんびり、ゆったり過ごす屋久島の旅。その拠点として選んだのが、海を見晴らす高台に佇むオーベルジュ型リゾートホテル「sankara hotel&spa屋久島」です。客室は木材を基調にしたアジアンモダンで統一。大人の隠れ家にふさわしい洗練さと重厚感、そしてナチュラルな雰囲気に心和みます。バトラーによるきめ細やかなサービスやプールの先端がそのまま海に溶けこむかのようなインフィニティエッジのプール、オーガニックハーブを使ったスパサロンで癒しのひと時を満喫しましょう。
オーベルジュに相応しい、屋久島ならではのガストロノミー体験も心躍ります。カジュアルに愉しめる「ayana(アヤナ)」と、オープンキッチンの本格フランス料理「okas(オーカス)」。雰囲気の異なる2つのレストランで、島の美味をお召しあがりください。
アクティビティも、2コースからお選びいただけます。その1つは、船をチャーターしての「ドルフィンウォッチング」。2つ目は、苔に覆われた光景も幻想的な「苔むす森」のトレッキングです。
今年こそ離島で旅の物語を紡ぎたいと願う皆さまにとって、生命のエネルギーに包まれながらゆったりと過ごす屋久島は、とっておきの選択になるでしょう。
屋久島は「島に呼ばれた人」だけが訪れることができるといわれております。その屋久島の食材をふんだんに用いた地産地消のフレンチを味わうオーベルジュ型リゾートホテルです。屋久島の恵みを感じながら、最上級のおもてなしや美食を堪能し、トレッキングやドルフィンウォッチング、ウミガメ観察などお楽しみください。