［国内特集② ］

愛しのさくらんぼ

旬の味覚に出あう旅へ

企画=金子美佐子／小林絵梨／黒木貴士文=槙原有希

丸くてかわいらしい、“果物の宝石”さくらんぼ。艶やかな赤い果実は、初夏の訪れを彩る旬の味覚です。夏と冬、昼と夜の寒暖差が甘みの強い果実が育つために適した条件。その上に生産者が手間暇をかけ、たっぷりの愛情を注いでおいしいさくらんぼが実るのです。「もっとおいしいものを」という想いから、佐藤錦、紅秀峰、月山錦など、さまざまな品種が誕生しています。食べ頃を迎えるさくらんぼを、とりたてで楽しむ旅に出かけましょう。キラキラと宝石のように輝くさくらんぼが待っています。

笛吹川温泉で寛ぎ
“フルーツ王国やまなし”で
さくらんぼ狩りを堪能

太陽の恵みを受けた真っ赤な宝石を味わう

桃やぶどうの生産地として知られる山梨県は、さくらんぼの生産も盛んな“フルーツ王国”です。甲斐市に位置する「ヤモト農園」を訪れ、質の高い佐藤錦や紅秀峰などのさくらんぼ狩りを楽しむ旅からご案内しましょう。「三越伊勢丹プレミアムクルーザー」でめぐる２日間のバスの旅です。

数々の農業賞を受賞し、味や質に定評のある「ヤモト農園」では自然肥料を与え、やさしい甘さのさくらんぼを育てています。すべての実が均一に日差しを受けて真っ赤に色づいたさくらんぼとなるように、影をつくる葉を切り落とす葉切りの作業が行われています。収穫する木が垣根状に低くなっているので、体に負担をかけることなくさくらんぼ狩りを楽しむことができます。訪れた人が「感動」という言葉で表現するほど、その味わいは格別です。

さくらんぼが実る「ヤモト農園」

お泊まりは笛吹川温泉「別邸坐忘」へ。富士山を背に、笛吹川のほとりに広がる約３,０００坪の敷地に、天然温泉の露天風呂付き離れや日本庭園、古民家を改装した食事処などが佇み、客室は別邸離れを含み全２０室と贅沢な空間です。小路を歩くと、水車や古民家、畑や小川が広がり、まるで山里を歩いているような懐かしい想いに包まれることでしょう。今回のコースでは、それぞれに趣の異なる露天風呂付きの８室をご用意しています。美肌の湯として親しまれる高アルカリ性の源泉で心身をリフレッシュし、お食事は茶懐石料理をご堪能ください。

離れが点在する笛吹川温泉「別邸坐忘」
全８室の離れの客室はそれぞれに趣が異なる

富士山の伏流水に水源を発する忍野八海や、世界遺産としての価値を国内外に伝える「山梨県立富士山世界遺産センター」など、さらに山梨県の魅力を楽しめるスポットにも立ち寄ります。「アルプスの少女ハイジ」の世界が広がる「ハイジの村」は人気のテーマパーク。約７,０００本のバラが咲く園内でゆったりとお過ごしください。

バラの香りに包まれる「ハイジの村」

“さくらんぼの王様”佐藤錦と
紅秀峰を食べ比べ
山形の温泉宿に憩う

品種改良を重ねて誕生した佐藤錦と紅秀峰

全国のさくらんぼ収穫量の７割以上を占める山形県。この地にさくらんぼがはじめて入ってきたのは１８７５（明治８）年頃といわれています。この時代に全国各地でさくらんぼ栽培が試され、霜害や台風被害が少なかった山形では生産量が抜きん出て伸びました。また、山形は圧倒的な知名度を誇る品種、佐藤錦の生まれ故郷です。

東根市の篤農家、佐藤栄助さん（１８６７〜１９５０年）が、風味が良く、日持ちして育てやすいさくらんぼを目指して品種改良を続け、黄玉とナポレオンを交配して生まれました。艶々とした鮮紅色の実は“夏のルビー”とも呼ばれています。口に入れると、繊細な甘さと爽やかな酸味のバランスが絶妙な果汁がじゅわっと広がります。また、紅秀峰は佐藤錦と天香錦をかけ合わせて誕生した比較的新しい品種です。佐藤錦よりひと回り大きく、濃厚な甘味と、果実に張りがあり食べ応えがあります。佐藤錦と紅秀峰を食べ比べ、山形の人気の温泉宿で寛ぐ「三越伊勢丹プレミアムクルーザー」（片道は新幹線）の旅に出かけませんか。

特別なさくらんぼ狩りと安らぎの温泉宿へ

上山市の観光果樹園「高橋フルーツランド」を訪れる３コースでは、特によく育った佐藤錦と紅秀峰を収穫できる“プレミアムなさくらんぼ狩り”を体験することができます。通常では入場することができないエリアで、粒が大きく高品質な味わいを思う存分にご堪能ください。農園に併設されたカフェ「HATAKE STYLE」では季節のフルーツをふんだんに使ったパフェをお楽しみいただきます。

季節のフルーツをたっぷりと使ったパフェ

宿は天童温泉「天童荘」、またはかみのやま葉山温泉「名月荘」に泊まるコースをご用意しています。「天童荘」は、前身を「鰻や」として明治初期に創業した宿。匠の技を感じる総平屋建て数寄屋造りの離れ「離塵境」とモダンなインテリアが融合する「東亭」から構成された、日本の情緒を感じる宿でお寛ぎください。お食事は、一子相伝のもとに受け継がれた伝統の味「鰻の蒲焼き」をはじめ、山形ならではの旬の素材を使った天童荘懐石を。細やかな季節の移り変わりを感じる、二十四節気にちなんだ演出が施されています。美しい器とともに、季節の味わいをご堪能ください。

広大な敷地に趣の異なる客室が配されている「名月荘」。和風の佇まいに洋風のエッセンスを加えた独自の趣がある空間には、故郷に里帰りしたような安らぎの時間が流れています。開放感あふれる露天風呂や四季の彩りを感じられる大浴場で旅の疲れを癒してください。夕食は、地元で獲れた山と海の幸を使った会席料理をお楽しみいただきます。一皿ひと皿に、旬の味わいを香りとともに五感で感じて欲しいという料理長の想いが込められています。３コースのうちの２つは１泊２日の旅。もっとゆったりと宿で過ごしたいというご要望に応え、名月荘に連泊するプランもご用意しました。

かみのやま葉山温泉「名月荘」で旬を味わう会席料理を
天童温泉「天童荘」の離れ「離塵境」の露天風呂

佐藤錦の食べ放題を楽しみかみのやま温泉で寛ぐ

毎年ご好評をいただく佐藤錦の食べ放題を楽しむ「三越伊勢丹グランドクルーザー」利用の２日間のバス旅もご案内します。宿泊先はかみのやま温泉に佇む和の宿「葉山館」。眺望にこだわった和洋室の「翠葉亭」と坪庭を望む和室の「華葉亭」、２タイプのお部屋からお選びください。２日目には、見頃を迎えて紫と白のコントラストが輝くように美しい「長井あやめ公園」も訪れます。

隠れ家のように佇む、かみのやま温泉「葉山館」
約５００種１００万本ほどのあやめが咲く「長井あやめ公園」

愛しのさくらんぼ旬の味覚に出あう旅へ

月山錦を味わい
山形の豊かな食材を堪能
山形ローカルガストロノミーに舌鼓

黄色いさくらんぼと米沢牛のシャトーブリアン

旬を迎えるさくらんぼと山形の豊かな食材を堪能する２日間の旅をご案内しましょう。山形の特産である３つの食材を味わいながら、美食をテーマとして山形の知られざる魅力を感じていただく旅です。

１つ目の食材は、なかなか出あうことができないさくらんぼ、月山錦。寒河江市にある「さくらんぼ会館」を訪れ、糖度１８度以上でL玉の佐藤錦のさくらんぼ狩りと、貴重な月山錦を試食することができます。月山錦の特徴は黄色い実であることと、一般的な国産のさくらんぼと比べると大粒であること。引き締まった果肉は酸味が弱く、甘さが口のなかに広がります。１本の木からの収穫量が少なく、栽培も難しいことが希少性の高さの要因となっています。

市場になかなか出回らない月山錦

２つ目の食材は、米沢牛のシャトーブリアン。神戸、松阪と並び日本三大和牛の１つに数えられる米沢牛は、豊かな香りとおいしさに定評があります。実は、このコースを企画したのは、お客さまとの会話で「これまでに食べた牛肉のなかで、米沢牛のシャトーブリアンがとてもおいしかった」という情報をいただいたことに端を発します。国の登録有形文化財であり、日本百名庭の庭園でもある老舗料亭「山懐料理吉亭」で、この旅のためだけにご用意したシャトーブリアンをご堪能ください。１頭につき８００グラム弱しか取れない部位の特別メニューです。風雅な織元の屋敷で味わう贅沢な美食時間となることでしょう。

国の登録有形文化財であり、日本百名庭の「山懐料理吉亭」
赤身ながらとても柔らかくきめが細かい米沢牛のシャトーブリアン

全国のそば通を唸らす山形屈指の名店で板そばを

３つ目は１９２０（大正９）年創業の名店「あらきそば」でいただく山形名物の板そばです。「最上川三難所そば街道」沿いにある店舗は、江戸時代末期に建てられた茅葺屋根の古民家。この旅では、特別に開店前の時間帯に入店し、貸切りでお食事をお楽しみいただきます。

山形伝統の板そばは、山形県内陸部で古くから食べられているそばです。大きな長い板や木箱にそばを盛り付け、農作業や集会のあとに振る舞っていたのが由来といわれています。「あらきそば」は地域で大切にしてきた食文化を守り続けていることなどが評価され、２０１５年にフランス外務省が選ぶ世界各地のレストランランキング「ラ・リスト」に東北で唯一ランクインしました。秋田杉でつくられた板の器に盛られた板そばは、迫力満点。黒くて太く、強いコシがあるのが特徴です。噛むほどにそばの香りが口のなかに広がり、野趣に富むその味わいは、衝撃的なそば体験となることでしょう。そばの実は、地元村山産の「でわかおり」を使用。その日の朝に挽いたばかりの新鮮なそば粉を使い、当日の温度と湿度に合わせて、すべて手作業でそば打ちが行われています。挽きたて、打ちたて、茹でたてにこだわった山形の板そばの最高峰です。風情たっぷりの空間で、すすることが難しいほど極太のそばをお楽しみください。

「あらきそば」の板そばはにしんの味噌煮とともに
渾身のそば打ちはすべて手作業で行われている

話題のホテルで体感する置賜地方の伝統食の力

宿泊先となる「NIPPONIA 白鷹源内邸」では、置賜地方で受け継がれてきた伝統食を取り入れたローカルガストロノミーをお楽しみいただきます。

２０２１年４月に開業したこのホテルは、着物の世界を起点に地域の魅力を伝える“きもの・リトリートホテル”としても注目を集めています。チェックイン後は、着物に親しみながら滞在を楽しめる着付け体験をすることができます（オプション）。米沢藩主だった上杉鷹山ゆかりの蔵屋敷である奥山源内邸の５つの建物が８つの客室に生まれ変わり、敷地内には母屋を中心に武具蔵、金庫蔵などさまざまな造りの蔵が点在しています。古い味噌蔵を改修したダイニングで、風土の恵みである野菜や果物を主役とした、この地ならではのお料理をご堪能ください。多彩な山形の美食を楽しみ、濃密な２日間を過ごしましょう。