美しい稜線を描く、ニセコのシンボル羊蹄山。その姿から雪が消えゆく頃、この地に短い夏が訪れます。爽やかなこの季節に、清々しい羊蹄山が見える宿でゆったりと寛ぎ、積丹半島まで足を延ばして煌めく海を眺める……。ここで待っているのは、初夏ならではの彩りに包まれた、どこまでも優雅なリゾート時間です。
積丹半島から大きくせり出した神威岬(かむいみさき)では、幻想的な碧(あお)に出あえます。水平線まで広がるのは、まばゆいばかりの「積丹ブルー」。透明度が高い海だからこそ見られる深い彩りに、思わず息を呑むことでしょう。高さ80メートルほどの断崖絶壁が続く岬、島武意(しまむい)海岸は、そそり立つ巨岩と色鮮やかな海が、絵画のような風景を織り成す景勝地です。
いくつかの湖沼が点在しているニセコ山系の高原でも、青く輝く水面に出あえます。原生林のなかに現れる神仙沼は、そのなかでも特に美しいとされる沼。きらめく水面が、神秘的な世界へと誘います。
優雅な旅のひと時を包み込んでくれるのが、おおらかな自然を感じられるホテル。「パーク ハイアット ニセコ HANAZONO」は、全室に広々としたリビングとダイニングを備え、窓の外の絶景に調和したモダンな空間が広がります。しっとりとした風情で静謐な時を味わうなら、わずか18室の離れ客室のすべてに、源泉かけ流しの露天風呂を設えた「楽 水山」。どちらの宿も、部屋から壮観な羊蹄山を望むことができます。
寛ぎのリゾートを満喫しながら、大自然が生み出したブルーの煌めきに心解き放つ時間。初夏の息吹あふれるニセコの山々と積丹の海が、旅をやさしく満たしてくれることでしょう。
太陽が力強さを増す7月の北海道は、花々に彩られる美しい季節を迎えます。この時期に訪れたいのが、大雪から富良野、十勝を結ぶ全長約250キロにわたる北海道ガーデン街道。この道を行けば、街道沿いに点在する名だたる庭園を一度に訪れることができます。街道沿いには、ガーデナーの思いが伝わる、個性あふれる庭園が点在し、それぞれ趣ある花と緑の風景を楽しめるのが魅力です。
旭川の「上野ファーム」は春から秋にかけて可憐な花を咲かせる宿根草を中心にしたガーデン。 富良野の「風のガーデン」はオールドローズが揺れる優雅な英国式庭園。この2つの庭園をガーデン街道の発起人の1人である上野砂由紀さんが手掛けます。
十勝では、日本初のコニファー(針葉樹)ガーデンで知られる、歴史ある「真鍋庭園」。忘れてならないのが、十勝を一望する小高い丘に広がる「十勝ヒルズ」。花はもちろん食や農にも重きを置き、おいしい香りのするバラなどの食用花やハーブなども育てています。
それぞれの庭園は1時間ほどで移動できる距離で、気軽に訪問できます。どこも個性豊かに大地を彩り見飽きることがありません。ガーデン街道ではありませんが、「ファーム富田」の大地を埋め尽くすようなラベンダー畑も人気です。
一歩足を踏み入れれば、生命力に満ちた花と緑を愛でる幸せな時間が流れます。
断崖絶壁の海岸線が続く世界遺産知床。陸路ではなかなか近づけない、奥深い大自然が魅力です。緑が濃くなる6月、約3時間にわたる遊覧船クルーズで、手つかずの大自然が広がる半島を海から眺めるのは、想像以上にダイナミックな体験でしょう。
カモメに見送られながらウトロ港を出港した船は、断崖のすぐ近くを航行。乗客たちは眼前に迫力ある知床半島の景観を眺めながら、半島の突端・知床岬まで向かいます。幌別川(ほろべつがわ)を越えると、いよいよそこは世界遺産エリア。目の前には、知床連山の伏流水が岩の割れ目から流れ出るフレペの滝、硫黄山から湧き出した温泉が川に合流しているカムイワッカの滝など、断崖から海に流れ落ちる滝が次々と現れます。
しばらく進むと、今度は断崖の間に珍しく開けた岩場の海岸が見えてきます。ここは、半島のちょうど真んなかに位置するルシャ湾。野生のヒグマが姿を現すポイントとして知られ、波打ち際まで来るヒグマと遭遇することも。
波に浸食された奇岩群や豪快な滝などを見ながら、さらに進むと、やがて半島最先端の知床岬。段丘に立つ知床岬灯台が最果ての地を感じさせます。この辺りでは、陸から目を離して、少し離れた海面の観察もお忘れなく。水面近くを泳ぐイルカやクジラ、シャチなどを見られることもあります。