山形県の名物は、さくらんぼだけではありません。県北西部に位置する庄内平野は食材の宝庫。日本海の豊かな海の幸、鳥海山の山の幸。肥沃(ひよく)な大地が育む米や野菜など、良質な食材が採れる初夏の庄内美食旅へご案内しましょう。
まずは庄内藩の城下町・鶴岡市の田園のなかに佇む木造2階建てのホテル「スイデンテラス」にご宿泊。客室は木の温もりを活かしシンプルで居心地良く、館内の至る所に出羽三山の主峰・月山と田園の織り成す絶景を楽しめるスペースがあります。
お食事は、自社農園で有機栽培した野菜をはじめとする地元食材を使った味わい深いお料理。大浴場は源泉かけ流しで、フィンランド式サウナもあります。6月は青々と茂る稲が風にそよぐ音も優しく、のどかな雰囲気が味わえます。
次は、江戸時代から北前船の拠点となり、繁栄を極めた港町・酒田を訪れます。かつて料亭文化が華やかでしたが、今では“酒田フレンチ”といわれる地元の食材を活かした独創的なフランス料理の店が多く点在しています。そのなかでも革新的で芸術的な料理で評判なのが「Restaurant Nico(ニコ)」。オーナーシェフの太田舟二さんは祖父、父と3代続くフランス料理人。地元庄内産の金華豚、黒バイ貝、ズイキ芋、赤ネギなどの選び抜かれた食材を用い、ほかでは食べられない芸術作品のようなランチをいただきます。
魅力的な観光も忘れてはいけません。クラゲの展示種類数が世界一で人気の加茂水族館。「五月雨を集めて早し最上川」と松尾芭蕉に詠われた最上川舟下り。そしてもちろん、旬を迎えるさくらんぼ狩りもお楽しみいただきます。
3月号でご紹介し、多くの反響をいただいている豪華観光客車「或る列車」ツアー。貸切りで博多から由布院まで、車窓景観とこだわりのランチコースを堪能します。今回は下車後、別府に移動してからの宿泊ホテルと観光をご案内します。
2019年に開業した「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」は、別府の繁華街や温泉街から離れた高台にあります。館内に入ると別府石、伝統工芸品の竹細工やオブジェが置かれた、まるで美術館のような吹き抜けの大空間が広がります。その奥の大窓からは別府湾と、至る所から湯けむりがたなびく、別府の町の大パノラマが見渡せます。
客室は竹や木があしらわれた、和モダンな空間。テラスにはソファーも設えてあり、ゆったりと寛げます。夕食は、地元の新鮮な食材を活かしたシェフこだわりの洋食をお召しあがりいただきます。
大浴場の温泉は「美肌の湯」として知られる明礬(みょうばん)の湯。別府石でできた露天風呂からは、別府湾と市街地が一望できます。夜は宝石をちりばめたような別府の町の夜景をご覧ください。
翌日は源泉のさまざまな奇観が見られる「地獄めぐり」にご案内。さらに、江戸時代の城下町の風情が残る杵築(きつき)にて、創業約300年の「若栄屋(わかえや)」の鯛茶漬けをご用意しております。秘伝の胡麻だれに漬けた新鮮な鯛の切り身が、絶妙な味わいです。
まぶしい初夏の光のなか、日常を忘れて心身ともにリフレッシュする旅へ出かけてみませんか。