[ 海外特集① ]

スイス二大景勝列車に全区間乗車して

マッターホルン特等席へ

by 3100 Kulmhotel Gornergrat

企画=坂口智一 文=浅見浩司
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想像を絶する荘厳な大自然に目のくらむようなアルプスの名峰の数々を堪能できる今回の旅で最もご注目いただきたいのが、山岳ホテルとしてはスイス最高地点に建つ「3100クルムホテル・ゴルナーグラート」です。まさに、ここに泊まる人だけが体感できる特別な時間と、全区間乗車するスイス二大景勝列車の魅力について、「ツェルマット観光親善大使」の山下詠美子さんにお話を伺いました。

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山下詠美子(やました えみこ)さん

スイスの名峰マッターホルンの麓町、ツェルマットの観光親善大使。

また以下の企業、観光局の在日代表を兼任。

氷河特急、ゴルナーグラート鉄道/マッターホルン・グループ(ツェルマット)/ブリエンツ・ロートホルン鉄道/クライネシャイデック・ホテルベルビューデザルプ/ロマンチックホテル・シュバイツァーホフ・グリンデルワルト/バーゼル観光局/ホテル・ピラトゥスクルム/ゴッタルド・パノラマ・エクスプレス

ドイツ語通訳および通訳案内士

(株)スペースタイムネット勤務

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マッターホルンと対峙する 快適そのものの山岳ホテル

氷河特急の発着点であり、マッターホルン観光の拠点として賑わうスイス・ツェルマット。ここから登山鉄道で終点のゴルナーグラート駅まで上ったところにあるのが「3100クルムホテル・ゴルナーグラート」です。名前にあるとおり、標高約3,100メートルに立地しており、天を貫くような標高4,478メートルのマッターホルンを自分の目線とほぼ同じ位置で眺めることができます。

  • イメージ イメージ 「ゴルナーグラート鉄道」で、標高3,000メートル超の終着駅へ

「ホテルが生まれたのは1894年です。当時、大英帝国として世界を席巻していたイギリスからスイス旅行にくるようになった富裕層の人々をもてなすために、ツェルマットの村人たちが自らの手でつくり上げたものと聞いています」と、山下さんが建設の背景を説明してくれました。その後、内装は時代に合わせ繰り返し改装されてきたものの、外観は1909年に改築した当時のもの。客室はわずか22室で、どの部屋からもマッターホルンかモンテローザの威容を望めるといいます。おもしろいのは、周囲に見える山名と標高を客室名にしていること。

「お部屋は4478号室です、とか言われたら驚きますよね」と山下さんが言い添えてくれました。

  • イメージ イメージ マッターホルンと向き合う「3100クルムホテル・ゴルナーグラート」は、各部屋にシャワーを完備した快適なホテル
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静寂が支配する 天空の特別な時間へ

まさに360度の壮大な峰々の景観が楽しめるゴルナーグラート展望台には昼間の時間帯、麓のツェルマット村に宿泊する観光客やハイカーなどが数多く訪れます。

「でも、その人たちが最終列車で下っていってしまうと、山頂に残るのはその日の宿泊客とホテルスタッフだけ。風の音以外は何も聞こえない、天空の特別な時間の幕開けです」と山下さん。その最初のドラマは、夏場、夜9時頃から繰り広げられる優美な夕景シーン。静寂のなか、南東のモンテローザ山群に夕陽が当たり、雪をまとった山肌が鮮やかなピンク色に染まる光景には、思わずうっとりしてしまうそう。そして夜の帳が下りると、漆黒の闇。ダイヤモンドを散りばめたように輝く満天の星々は、何度見ても思わず息を呑むほどに美しいとのお話しでした。

  • イメージ イメージ 山岳ホテルの宿泊者だけが見られるモルゲンロート

「さらに圧巻なのが、夜明け前、マッターホルンの先端が真っ赤に染まるモルゲンロートです。その神秘の瞬間に立ちあえるのは、ここに泊まった人だけの特権といっていいでしょう」と、山下さん。また、山上のホテルでありながら、本格的なお料理を堪能できるのも見逃せないポイントです。朝食は、ビュッフェスタイルのアメリカンブレックファストを、夕食は、スイス伝統料理のコースを人気のスイスワインとともに優雅に楽しめるとのことでした。

  • イメージ 山を部屋名に、その標高を号数にした客室
  • イメージ マッターホルンビューの快適なホテル客室(一例)
  • イメージ スイスアルプスの峰々を望むホテル内レストラン
  • イメージ 地元の食材を使ったコースディナー(一例)
  • イメージ ホテル周辺に現れるシュタインボック(アルプスヤギ)
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氷河特急とベルニナ線で アルプスの大自然の懐へ

「マッターホルンの特等席ともいえる山岳ホテルを目指すなら、氷河特急とベルニナ鉄道で」というのが山下さんのおすすめ。氷河特急は、サンモリッツからツェルマットまでの約280キロを8時間ほどかけて走行する“世界一遅い特急列車”。291の橋と91のトンネルを通り抜けながら、美しい森や険しい渓谷など、スイスアルプスならではの見どころを余すことなく楽しめるといいます。

  • イメージ イメージ 深い渓谷、美しい森、アルプスの名峰などが車窓に連続する氷河特急

「大きな展望窓が天井まで続くパノラマカーは開放感たっぷり。広い座席には、沿線各地の説明などを日本語で聞けるイヤホンも用意されています」と山下さん。また、キッチンカーで調理されたコースランチを座席まで持ってきてくれるので、車窓の風景を眺めながら、温かい料理をゆったり味わえるとのことでした。

一方、ベルニナ線が走るのはイタリアらしい陽気な雰囲気の街ティラノからサンモリッツまでの2時間余りの行程。高低差が1,800メートル以上にもなる起伏に富んだルートなので、季節の移ろいを感じるような劇的な景色の変化が楽しめるといいます。

  • イメージ イメージ イタリアからスイスへ。アルプスの峠を越えて走るベルニナ線

「実際に、以前私が乗った時も、列車が標高2,253メートルの最高地点を過ぎたあたりで、真夏なのに雪が降ってきたことがあります」と山下さんは話してくれました。世界遺産にもなっているこの路線のハイライトといえば、360度ぐるりと回るループ橋と、乳白色の湖「ラーゴ・ビアンコ」。そのほかにも、雄大なベルニナアルプス、パリュ氷河など、感動的なシーンの連続なので、ぜひ一度は体験をとお話しされました。

今回のツアーでは、ベストシーズンの予約が難しい、「3100クルムホテル・ゴルナーグラート」のマッターホルンビューのお部屋をご用意することができました。“山岳ホテル”という言葉のイメージとはかけ離れた、快適そのものの客室からはじまる特別な時間をどうぞお楽しみください。