[ 海外特集① ]

11年ぶりに開いた「聖なる門」が待つ

感涙のサンティアゴ大聖堂と
世界遺産のパラドールへ今こそ

企画=森脇潤 文=浅見浩司
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大香炉 ボタフメイロなど特別プログラムで聖年体験

エルサレム、ローマと並ぶキリスト教三大聖地の1つが、スペイン北西部・ガリシア州の州都「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」です。大聖堂のあるオブラドイロ広場を中心とした旧市街全体が世界遺産に登録されており、巡礼者でなくても祈りを捧げたくなるほどの圧倒的な荘厳さと、憧れの聖地に到着した人々の晴れやかな笑顔で満ちています。

毎年数十万人もの人々が巡礼する一大聖地となったきっかけは、エルサレムで処刑されたイエス・キリストの12使徒の1人である聖ヤコブの墓が、9世紀にこの地で発見されたこと。時は、キリスト教徒によるイベリア半島の国土回復運動「レコンキスタ」の真っただ中であったため、聖ヤコブとサンティアゴ・デ・コンポステーラがイスラム教徒と戦うキリスト教徒の精神的支柱になったといわれています。

旅のハイライトは、ピレネー山脈越えの遥かなる巡礼路の終着点「サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂」。そして今回特にご注目いただきたいのが、大聖堂の背後に位置する「聖なる門」。これは、聖ヤコブの祝日の7月25日が日曜日にあたる「聖年」だけ開かれる門で、周期は6年、5年、6年、11年。本来は昨年が11年ぶりの聖年でしたが、コロナ禍により1年延期となり、今年その扉が開かれています。この門を通るとすべての罪が赦されるといわれているため、聖年にはひときわ多くの巡礼者が訪れます。今回を逃すと、次は5年後。1世紀に14回しかない、まさに特別なチャンスといっていいでしょう。

  • イメージ イメージ 巡礼の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂。11年ぶりの聖なる年を迎える歓びに湧く街では、3つの特別プログラムをご用意。旅をより印象的に彩ります。

ツアーで大聖堂をご案内いただくのは、ガリシア州唯一の公認日本人ガイドの堀いつこさん。聖なる門から内部の見どころまで、複雑な宗教的背景を含め、わかりやすく解説していただきます。また、大聖堂内でぜひご覧いただきたいのが「ボタフメイロ」。これは、重さ約53キロもの巨大香炉を振り子のように大きくダイナミックに振る儀式で、通常は決まった祝日などにのみ行われるもの。今回の旅では、三越伊勢丹ニッコウトラベルのお客さまが大聖堂を訪れるタイミングで、特別に執り行っていただけることになりました。

  • イメージ 聖年の前年12月31日午後、11年ぶりに開かれた「聖なる門」
  • イメージ 荘厳な堂内で世界最大級の香炉が大きく宙を舞うボタフメイロの儀式

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スペイン・ガリシア州唯一の
公認日本人ガイド 堀いつこさん
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日本人で唯一のガリシア州公認観光ガイド。サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学で観光マネージメント修士課程修了。同大学で留学生サポート業務を約4年経験。2019年にサンティアゴ巡礼専門の旅行会社に就職。「サンティアゴやガリシアの魅力を伝えるのが私のミッション」と語る。

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500年以上の歴史を持つ 世界遺産のパラドールに宿泊

 サンティアゴ・デ・コンポステーラでご体験いただけるもう1つのとっておきが、大聖堂のすぐ隣にあるパラドールでの2連泊です。パラドールとは、中世の古城や王侯貴族の館などを改装したスペインの国営ホテルのこと。ここのパラドールは、1509年にカトリック両王として君臨したイサベル1世とフェルナンド2世の命により建設されたことから、「カトリック両王のパラドール」とも呼ばれています。500年以上前の厳かで壮麗な雰囲気をそのまま残す、世界遺産の一部でもあるパラドールに滞在する時間は、自身が当時の王侯貴族になったかのような気分になれるかもしれません。ツアーでは、大聖堂をガイドしていただく堀さんに、見どころあふれるパラドール内の美しい回廊や中庭、絢爛豪華なレストランなど、建物自体の魅力についてもご解説いただく予定です。

  • イメージ イメージ かつての王立宿泊所を改装した、壮大なサンティアゴ・デ・コンポステーラのパラドール
  • イメージ イメージ 重厚な内装に歴史を感じる、パラドールのレストラン

また、大聖堂を訪れた日の昼食は、ガリシア州らしい海の幸を中心とした新鮮な食材がずらりと並ぶ「アバストス市場」へ。見学後の昼食で実際に召しあがっていただく食材を堀さんより説明。市場併設の大人気レストランで特別メニューをご堪能いただきます。

  • イメージ 巡礼を達成した人の歓喜に包まれるサンティアゴ旧市街
  • イメージ ガリシア州の伝統料理として愛される「タコのガリシア風」
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北スペインとポルトガルの見どころに胸躍る2つの旅

今回ご用意した、サンティアゴ・デ・コンポステーラを訪れるツアーは、北スペインの特徴的な街々をめぐる旅とポルトガルを周遊する旅の2つ。北スペインのツアーでは、美食で知られるバスク地方の玄関口・ビルバオから入り、中世の街並みが残るレオン、ローマ時代の城壁の街ルーゴなどをゆったりめぐります。なかでも特にご紹介したいのが、レオンで2連泊する、12世紀が起源のパラドール。ここは、ルネッサンス建築の傑作といわれる修道院だった建物で、完成までに20年以上も要しました。長さ100メートルにおよぶ外観は圧巻の美しさです。

  • イメージ イメージ 2017年12月から2年以上をかけて改修されたレオンのパラドール

ポルトガル周遊の旅は、リスボン、ポルトを中心に名だたる見どころをじっくり楽しみます。たとえば、1日半をかけて街を探訪するリスボンでは、1584年に天正遣欧少年使節の4人が滞在した「サン・ロケ教会」や、桃山文化の最高傑作といわれる狩野内膳作の南蛮屏風が展示される「国立古美術館」へ。日本とポルトガルの強い結びつきを実感できるでしょう。

  • イメージ イメージ ポルトで3連泊する優雅な隠れ家ホテル「インファンテ・サグレス」
  • イメージ 北スペインのツアーで訪れる、ガウディ設計のアストルガ司教館
  • イメージ 少年使節の面々も息を呑んだであろう壮麗なリスボンの「サン・ロケ教会」