都会ではまだ暑さが残る頃、自然豊かな高原では、ひと足早く季節の移り変わりが感じられます。今回は、景勝道路のドライブやロープウェイなどの乗り物を利用しながら、眼前に、そして足元に広がる景観を気軽に楽しみます。ご案内するのは、いずれも日本百名山の磐梯山と谷川岳。変化に富む自然景観に彩られた山岳美を、お疲れなくご覧いただけます。
広大な磐梯朝日国立公園に含まれる磐梯・吾妻エリアでは、磐梯山や吾妻山の迫力ある山岳風景や美しい水の色を呈する湖沼など、多彩な自然景観が魅力です。一帯を結ぶように延びるのが磐梯山ゴールドライン、磐梯吾妻レークライン、磐梯吾妻スカイラインという3つの景勝道路。秋のはじまりに2泊3日の旅で、この3つのルートをドライブしながら、多彩に移り変わる景色を楽しみます。
「会津富士」とも呼ばれる磐梯山は、1888年に山頂一帯を一瞬にして吹き飛ばす大噴火を起こしました。その噴火で出現したのが、桧原湖や五色沼をはじめとする大小の湖沼群や、北麓に広がる裏磐梯高原一帯の景勝地です。磐梯山ゴールドラインを行けば、荒々しい噴火口が望める黄金平や、木立の向こうに静寂の桧原湖を望む湖望台、猪苗代湖を一望する山湖台など、雄大な風景に次々と出あえます。このルートの終点近くにあるのが五色沼。その名のとおりに、色合いが異なる青色の湖水を湛えた小さな湖沼が点在しています。天候や時間帯などで、風景の色彩や雰囲気など印象が異なるのも興味深いところです。
ゴールドラインから10分ほどで、小野川湖や秋元湖などを結んで延びる磐梯吾妻レークラインに入ります。穏やかな湖と深い渓谷が織り成す風景のなかでも、中津川渓谷と、そこにかかるアーチ状の橋からの眺めは必見です。その先に、吾妻連峰に沿うようにして延びる道が磐梯吾妻スカイライン。コーナーを過ぎるたびに新しい風景に出あえます。最大の見どころは火山噴火で生まれた浄土平。東に秀麗な吾妻小富士、北側には今も噴煙を上げる一切経山の荒々しい風景が広がっています。
お泊まりは五色沼も徒歩圏の裏磐梯レイクリゾートに連泊。大自然を満喫しながら、朝夕の散歩もゆっくりお楽しみいただけます。
紅葉が見頃となる10月中旬、長野、新潟、群馬の県境に位置する上信越高原国立公園内の苗場山と谷川岳へ訪れます。どちらも登山者に人気の山ですが、今回はゴンドラとロープウェイを利用して、お疲れなく壮大な眺めをたっぷりと楽しみます。
スキー場として知られる苗場。冬はスキーヤーを運ぶ日本一の長さ(約5.5キロ)を誇る「ドラゴンドラ」に乗車します。ゆっくりとアップダウンを繰り返すゴンドラから、足元に広がる秋の色づく景色をご覧ください。
谷川連峰や越後三山の山並み、足元には紅葉の森を流れ落ちる渓流や、エメラルドグリーンに輝く湖の煌めきを眺め、斜面を下る時には紅葉のなかに吸い込まれていくような迫力ある感覚を味わえます。片道およそ約25分間の空中散歩は、想像を超えた贅沢な体験となるでしょう。
翌日は谷川岳へ向かいます。山麓と谷川岳の尾根にある台地・天神平をつなぐ約2,400メートルのロープウェイに乗車して、紅葉のパノラマを楽しみます。
天神尾根周辺ではミネカエデやナナカマドが赤く染まる頃。抜けるような青空の下、高度が上がるにつれて、山々の彩りが鮮やかさを増していきます。この秋は、ぜひダイナミックな紅葉狩りへお出かけください。