3年ぶりの規制のないゴールデンウイークを迎え、日本各地がかつての賑わいを取り戻しつつあります。一方、海外渡航も3月に隔離期間が短縮、1日あたりの入国人数を増やすなど、規制は少しずつですが緩和されはじめています。そこで今号から3回にわたり、当社社員によるヨーロッパ現地視察の様子を実際に撮影した写真とともにお届けします。第1弾はセレナーデ号が航行するドイツとオランダ。着々と準備が進むセレナーデ号と現地の最新の情報をご紹介します。
出発は、主に国際線が発着する羽田空港第3ターミナル。チェックインの際に航空会社の地上係員にワクチン接種証明書を提示すること以外は、以前とまったく変わらずスムーズに手続きが終了。活気を取り戻しつつある空港をあとに、ヨーロッパへ向かいました。
機内はおおむね半分の席が埋まっており、日本人はビジネス客が中心のため全体の3割程度と、まだヨーロッパ方面へ向かう人は多くないようでした。ドイツの入国審査ではパスポートと航空券を見せるだけで完了。以前と変わらずで拍子抜けするほど。特別な書類や検査は一切必要ありませんでした。
いよいよ、建物の外へ。回転扉を抜けると、きれいに晴れ渡った青空、新緑の香り、空港独特のコーヒーと、人いきれが合いまった懐かしい匂いが待ってくれていました。以前と変わらないもの、2年半のうちに変わってしまったものとに思いを馳せながら、最初の目的地へ向かいました。
今回は、ドイツで2年ぶりの開催となる国主催の旅行商談会「ドイツ・トラベル・マート(GTM)」に参加することも旅の目的の1つ。ドイツ全土から売り込みのため、地方の観光局やホテル、バス会社やレストランなどさまざまな業種の人々が集結。こうした商材を求めて世界各国から1,000人ほどが参加し、広大な会場で一堂に会し、商談を行います。日本よりも先に多くの規制を撤廃したドイツでは、旅行の需要が急激に回復。会場で話したドイツ鉄道の担当者によると、すでに鉄道の利用客数が2019年と同水準に戻っているそうです。こうした状況もあり、銘々が積極的に熱を帯びた商談を繰り広げている姿を目の当たりにして、私も自然と力が入りました。
GTMの商談会は2日間にわたり、初日は南ドイツのバイエルンの田舎町にある、オーバーアマガウで開催。10年に一度、そして村人総出でつくり上げる「キリスト受難劇」が、コロナ禍で延期となっていましたが、今年ようやく開催されるという地でもあります。2日目はドイツ最高峰としても知られるツークシュピッツェ山の標高2,900メートルを超える展望台へ。いずれもまだ訪れたことがないという方にぜひご案内したい場所です。
活気みなぎるGTMも無事に閉幕し、ドイツからセレナーデ号の待つオランダへ。利用したのはドイツ新幹線ICE。最高速度は時速320キロと、日本の新幹線と同等のスピードを誇り、座席ごとに、その席の利用者の行き先が電光掲示される最先端の設備も。多くのコロナ関連の規制が撤廃されたドイツですが、列車などの密閉空間ではマスクの着用が義務付けられ、乗客の皆さんも守っていたため、安心して乗車できました。
セレナーデ号は今、オランダ東部の街、アーネムの郊外に係留されています。私が最後に乗船したのは2019年の秋。11月にライン河の航行を終え、そこから2年以上もお客さまにご乗船いただかなくなるとは、想像もできなかったことです。船籍のあるオランダでは、冬期も含め、航海士などが常に乗船していなければならないという法律があるため、船の状態は前と変わらずに維持されています。それを自分の目で確認できて、ほっと胸をなでおろしました。
船内では、ラウンジ、レストラン、各客室、添乗員デスク、屋上デッキ、キッチンなどを1つひとつ確認しながら回っていくうちに、さまざまな思い出もよみがえってきました。お客さまからいただいた温かいお言葉の数々、叱咤激励、添乗員同士で話し合ったことや船員たちの真剣なまなざし。航海士たち数名以外は誰もいない今の寂しい船内ではなく、また以前のように多くのお客さまとともにクルーズをしたい、という思いを新たに感じた瞬間でもありました。
現在、日本への帰国時にはPCR検査を受けるなど、入国の手続きに普段より時間がかかる状況ですが、外国ではすでに以前と変わらず旅を楽しめるようになっています。また、日本もまもなくこうした規制が欧米並みに緩和されるとの報道もされています。10日間の滞在でしたが、ウクライナ問題による影響もまったくありませんでした。セレナーデ号の秋のクルーズへの準備も着々と進行中です。ぜひ皆さまとご一緒できることを心より楽しみにしています。