清津峡の深い谷を彩る木々が静かに季節の移ろいを語る頃、自然の織り成す景観を愛でつつ、話題の石川雲蝶の作品を楽しむ1泊2日の新潟の旅をご紹介します。
石川雲蝶は幕末から明治にかけて活躍した彫刻家。30代のはじめに江戸から新潟に移り住み、魚沼地域に数多くの作品を残しました。作品は木彫りに留まらず、石彫りや絵画にまでおよぶことから“日本のミケランジェロ”とも呼ばれています。
雲蝶の作品の最大の所蔵寺である永林寺には、100点余りの彫刻が残されています。雲蝶は約13年の歳月をかけ、寺に寝泊まりしながら、本堂の建て替えの設計から各種彫物など多くの作品を制作しました。本堂欄間の「龍」や位牌堂欄間の「天女」など、極彩色に彩られた見事な透かし彫りに驚かされます。
西福寺・開山堂の彫刻や絵画も見逃せません。なかでも圧倒されるのが、堂内の天井に施された大彫刻『道元禅師猛虎調伏の図』。穏やかな表情で座禅を組む禅師、黒雲とともに現れた龍、その龍に追われる虎など、今にも動き出すかのよう。昨年のツアーにご参加いただいたお客さまからは「雲蝶は知らなかったが大変すばらしく、驚かされました」などのお声を伺いました。
昼食は、樹齢約1,500年の大欅に見守られて佇む明治時代のお屋敷を改築した「欅苑」で。自家菜園や地元の旬の食材をふんだんに使った一品料理はもちろん、米どころならではの味も堪能できます。そのおいしさに、「お米」をお土産に求められるお客さまもいらっしゃいました。
滞在は、広大な敷地に建つ築約200年の古民家を移築した旅館「ryugon」。落ち着いた居心地の良い空間は、どこにいても寛げます。“雪国ガストロノミー”と称される郷土料理のお食事も、ゆったりとお楽しみください。
続いては11月下旬に紅葉を求めて出かける、1泊2日の京都の旅。散り紅葉が印象的な嵐山の祇王寺を訪れます。『平家物語』に登場する、平清盛の寵愛を失った白拍子祇王(しらびょうしぎおう)が、妹や母とともに尼僧となり、ここで生涯を過ごしました。竹林や苔庭、草庵に降る散り紅葉の鮮やかな光景が、訪れる人の心を打ちます。
そして、見逃せないのが実相院の「床もみじ」。庭園の燃えるような紅葉が、黒光りする漆塗りの床を染め上げる様は、まさに一幅の絵。時が止まったかのような光景を心ゆくまでご堪能ください。
京都ならではの秋の景観とともに、楽しみなのがお食事です。これまでのツアーに参加されたお客さまから好評をいただいている2つの名料亭へご案内します。1日目の夕食は、北区鷹峰の和情緒に満ちた日本料理「おたぎ」。メニューは店主の馬場一彰さんが振る舞う「おまかせ」のみ。上質な季節の食材を用いた、見た目も美しいお料理を一品ごとに味わいます。2日目の昼食は、京都を代表する老舗料亭「室町和久傳」へ。京丹後の新鮮な魚介や農家直送の野菜を用いて生まれる逸品をご賞味ください。どんな素材がどう料理されて供されるのか、考えただけで気持ちが浮き立ちます。