揺るぎないこだわりとともに楽しむ「憧の旅」。それは、自分が物語の主人公になる“ときめきの旅”。今回ご紹介する旅のテーマは「アート」。そのうえ「美食」にもこだわりました。芸術の秋、食欲の秋にふさわしい週末旅に出かけて、北陸の新たな魅力を発見してみませんか。
アメリカのニューヨーク・タイムズ紙で「2025年に行くべき52カ所」に選ばれた富山市。世界から熱い視線を集めるなか、北陸から工芸・アートの魅力を発信するイベント「GO FOR KOGEI」が今年も開催されます。
このイベントは2020年からスタートし、毎年開催されています。6年目を迎える今年のテーマは「工芸的なるもの」。およそ100年前に民藝運動を提唱した柳宗悦の言葉をテーマに、作家や職人が素材・技法と向き合う態度から生まれるさまざまな実践を通し、それらがつくり出す多様な暮らしの姿を提案していきます。
「工芸という言葉が一般的に使われるようになった明治時代以前は、美術や工芸の垣根はなく、美的なものづくりは穏やかにつながっていたのではないか」という視点から、工芸とは何かを捉えなおし、ものづくりが受け継がれてきた北陸から、新たな工芸の見方を発信するプロジェクトです。
会場は昨年同様に、金沢の伝統や芸術文化を色濃く残す「ひがし茶屋街」を擁する東山エリアと、北前船の寄港地として繁栄した富山市岩瀬エリア。伝統的な町並みが残る両エリアでは、昔ながらの暮らしが営まれています。そこに工芸・アートがプラスされることにより、新たな街の魅力を感じていただけることでしょう。
今回はアーティスティックディレクターの秋元雄史さん自ら案内する特別企画です。東京藝術大学名誉教授であり、数々の美術館館長を務め、美術に精通されている秋元さんとともに両エリアを見学。工芸やアート鑑賞初心者にもわかりやすい、秋元さんの解説を聞きながら金沢市と富山市の両方を旅する貴重な機会となります。
今年の参加アーティストはこれから発表される予定ですが、昨年は総勢37名の作品が展示されました。東山エリアは、かつては多くの職人の工房が軒を連ねていたといわれる地域。住宅街のなかにカフェやギャラリーが点在し、工芸と暮らしが密接に結びついています。このエリアでは作品展示とともにさまざまなイベントも開催。体験を通じて、工芸のある豊かな暮らしを感じることができました。
富山駅から車で約15分の距離にある岩瀬エリアは、桝田酒造店が中心となり、歴史ある町並みをもとに食や工芸などを加えながら新しい姿へと再生した地域。このエリアでは、この地の特性を活かした工芸や現代アートの作品展示が行われました。多様な表現が入り混じる新しい風景は、訪れた人々の記憶に刻まれました。
「アート」だけでなく、こだわりの「美食」では、金沢と岩瀬にある予約の取りにくい人気店を訪れます。
1日目の夕食は、金沢市木倉町商店街に佇む「旬房 さかい」で日本料理を。旬の食材を使った繊細な料理を求めて、各地から食通が訪れる名店です。店主の酒井浩平さんは、大阪の「なにわ割烹」の流れを汲み、金沢の割烹「浜長」で修行し、2013年に独立。五感を満たす料理をゆっくりとご堪能ください。
2日目の昼食に訪れるのは、2020年1月に東岩瀬町にオープンした「G E J O(げじょう)」。オーナーシェフの下條貴大さんは、地元富山のフランス料理店や寿司店で修行後、海外へ。フランス、イタリア、スペインなどヨーロッパ各国をめぐり、ブルガリアではプライベートシェフを務めるなどして腕を磨きました。型にはまらない自由な発想から生まれる寿司をお楽しみいただきます。
土曜日からはじまる3連休を利用する旅で、「アート」と「美食」を通じて北陸の新たな魅力を体感してください。