“移動する展望台”といわれる客船の上から眺めてみたい場所はいくつかありますが、海岸線の美しさを堪能できるニュージーランドのフィヨルドランド国立公園はその1つといえます。太古より変わらない自然景観を海から訪ねると、客船のバルコニーやデッキなどからゆったりと壮大な世界遺産をじっくりと心ゆくまで堪能できます。
この国立公園を含めたニュージーランドとオーストラリアを船旅で訪れるコースが登場しました。「ゆったり度2」の設定で、徒歩での観光を減らし、楽に旅を満喫できます。
乗船するのは客船マジェスティック・プリンセスで、世界三大美港の1つといわれるシドニーから出航。港の象徴オペラハウスを眺めながら、クルーズがはじまります。航行中の大きな見どころは、大型客船の高い目線から3つのフィヨルドを眺められること。船にいるだけで壮大な航行風景が窓の外やデッキに広がり、合間に食事や船内の催しなどを楽しみます。
見どころの1つ、ニュージーランドを代表する風景が見られる「ミルフォード・サウンド」は、入り江に沿った道路がないため、訪問するにはクルーズが最適。「サウンド」とは、入り江を意味し、氷河によって削られた山々が高さ約1,000メートル以上にわたって海面からそそり立っています。眼前には岩山のマイターピーク(海抜1,692メートル)などが鋭角にそびえます。険しく切り立った山々の表面は岩石が多いため雨が浸透しにくく、降った雨が滝となって流れる幻想的な風景をご覧いただけるでしょう。
続いてクルーズする「ダウトフル・サウンド」「ダスキー・サウンド」も、陸路での訪問が難しい場所であ静寂のなかに秘境の自然が広がります。「ダウトフル・サウンド」は、18世紀の英国人探検家キャプテン・クックの船がこの入り江を発見、入り込んだら再び戻れるか疑わしい(=ダウトフル)と考えたのが名前の由来といわれています。周囲の山は比較的低く、空と入り江が一体化した風景が楽しめるでしょう。狭い水路を航行中、運が良ければイルカなど海の野生動物に遭遇する機会もあるかもしれません。
このクルーズでは、ニュージーランド5都市とオーストラリア3都市をめぐります。オセアニアをめぐるクルーズのなかでも寄港することが少ないタスマニア島を訪れるのもうれしいポイント。郊外のボノロン・ワイルドライフ自然保護区で、有袋類タスマニアデビルやウォンバット、コアラなどを見ることができます。美しい州都ホバートや、オーストラリア開拓使時代のジョージアン様式の建物が残るリッチモンドも訪れます。
また、ニュージーランド南島では、フィヨルドクルーズの後、ダニーデンとクライストチャーチへ。昔から南極探検の拠点となっているクライストチャーチでは、国際南極センターで、南極の環境を再現した疑似体験をお楽しみいただけます。
最後の寄港地はニュージーランド北島のロトルア。地熱地帯にある北島で2番目に大きいロトルア湖や、1日に10回以上も熱湯を噴き上げる世界三大間欠泉といわれるポフツガイザーを見学します。ロトルアには先住民マオリの人口が多く、マオリ文化の伝承を目的に創設された民俗村テ・プイアでマオリ族のショーなどをお楽しみいただけます。
旅の出発は1月と日本は真冬の時期。寒い日本を離れ、夏のオセアニアで潮風に吹かれながら、手つかずの大自然をお楽しみください。